庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

自民党政権は高度経済成長時代の成功に囚われている。

2013-12-14 | 経済問題

安倍自民党内閣の経済政策の根底にある認識は、まず富裕層にお金が潤沢に回る様にすることで、贅沢品や交際費関連の消費が増える筈である。

この消費増加の効果が順番に回りまわって、其の周りにいる普通の人達にもお金が潤う様になるから、全体に消費が増える。

時間がかかる弱点はあるが、これを続けて行けば、必ず全体の経済は好転する。

これが、いわゆる「トリクルダウン」による経済活性化の理屈となっている。

日本が高度経済成長の時代には、この理屈で、日本全体の経済成長は確実に中間層の給料に反映されて、消費が好循環に増大した。

 

では先進国が軒並みに経済成長が鈍化した現代で、この理屈が正しいと言えるのかは、おおいに疑問がある。

世界の最富裕国である「アメリカの現状」を、参考にしてみてはどうだろう。

経済学者の「クルーグマン氏」は、この数十年には、アメリカ人の所得格差は拡大している、と指摘している。

アメリカの小売業に従事する従業員(管理職でない)のインフレ調整後の賃金は、1974年に比べて3割も減少している。

この間にアメリカ全体は40年間ではるかに豊かな国になったにもかかわらずだ。

 

アベノミクスの支持者は次の様な説明を持ち出してくるだろう。

この間に貿易に自由化が大幅に進んで、中国などの新興国での商品生産が活発になり、価格競争が激しく進展した。

だから、人件費の引き下げが必須となり、それでも引き下げが無理な業種は、生産地を新興国に移転しているからだ。

製造業の一般従業員の給料が抑制されたり、引き下げられるのは、貿易自由化のもたらす結果による。

だから為替レートを引き下げて、価格競争力を強化するのが必須なのだ。

 

「ちょっと待って下さいよ。」

と言うのは、小売業の従業員まで、新興国の安い賃金の影響を受ける理由には、なっていないではないか。

経団連の旧産業の経営人たちは、少しくらいの利益が増えてきても、やはり自由貿易が更に進む「グローバル化経済では、給料を増やせない。」と言う。

つまり、価格競争力を維持するために、製造業の賃金を抑制してきたために、その他の販売・サービス業までもが、給料を引き下げられて来たのである。

「グローバル化経済社会」に入った現代は、「トリクルダウン」は起きないのだ。