庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

日本のデフレは大手企業が作り出した企業エゴである。

2013-12-21 | 経済問題

日本の経済の停滞は、20年に渡って賃金を抑制したり、正社員を減らして賃金を抑え易い派遣社員の比率をあげるなどの、企業経営が元凶であった。

民間の企業活動の本質は【利益のあくなき追求】であるから。規制を緩和して市場競争を激化させれば、人件費の削減に向かうのは理の当然である。

この理屈は19世紀からなんら変わっていないのだ。

それに歯止めをかけることが、法制度による規制であり、労働者の権利を守る労働三法(労働基準法、労働組合法、労働関係調整法)の歴史がある。

 

今回の安倍政権が景気回復の空気作りで、利益を増やした企業には「賃金の引き上げ」が責務であるという「風向きを作りだした」のは一面では成果である。

だが空気を作るだけでなく、給料引きあげの「実効性のある制度」を作るのが、本来の政府の役割で、その面では【安倍政権は失格】であることは明確だ。

政府が出来る役割は、現行の法制度では「最低賃金の引き上げ」が出来る。

これを「民主党政権時代」には、公約で「時給1000円に順次、引き上げて行く」、としていたが、実行力不足で微々たる引きあげしか出来なかった。

だが、安倍政権は引きあげの目標すら掲げることをしない、テイタラクである。

 

その代わりに、物価上昇目標を掲げて円安に誘導して、大企業の輸出に有利な状況を作りだしている。

これによって、名目上の利益は増加して、海外に資産や製造設備を持っている企業の「円換算の価値」は大きく向上している。

これで、グローバル展開している大企業は、事業拡大をやり易くなって、さらに海外への進出速度を速めることで、利益の増大に邁進できる。

グローバルな大企業には、日本の働く人の給料の増収などは、視野の外にあるので「政府が要請している」のに、応えるポーズを採るだけに済ませている。

 

規制緩和を実施して、企業活動を活性化する方向は経済にとって、好環境であり望ましい方向である。

しかし、コト人件費の削減につながる様な規制改革は、賃金デフレを助長することになり、経済の回復にとっては逆方向になるのだ。

少なくとも、円安は15%も進んでしまったのだから、最低賃金は15%以上は引き上げると宣言しなければならない。

そうすれば、大企業の社員も給料アップの『押し上げ効果』に浴するのだ。

利益優先の企業活動を給料アップさせるには、政府の役割であると認識せよ。