庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

電力会社は先送りしてきたツケをすべて国民負担に回す。

2013-12-08 | 核エネルギー・原子力問題

電力会社は原発が動かせないという理由で、昨年から電気料金の値上げが必要だとして、経済産業省に申請して大幅な値上げを獲得した。

国民は、不安のある原発を再稼働するよりは、電気料金の値上げを飲んで、原発事故の再発を避けることを優先した。

その国民の理解のよさに乗じて、電力会社は軒並み黒字化して、経営陣の高額な収入を確保している。

その電力会社に貸し付けしている金融関係各社も、貸付金の利子で儲けを増やして、国民生活に負担を押しつけながら、高額の収入を得ている。

 

その上に稼働開始から30年以上経過している原発は、新規の安全基準を満たす為の経費負担を考慮すると、早急に廃炉をして損失処理をする必要がある。

だが、電力会社は【廃炉処理による損失額】を避けようとして、「再稼働申請に向けた対策工事」を続ける姿勢で、老朽原発も維持し続ける扱いにしている。

そのための経費は、2012年度だけで1.2兆円に達しているが、これもすべて電気料金に加算されて、国民に負担を回すだけで、電力会社の損失はない。

電力会社と貸付の金融機関を守ることが、制度上の最優先の扱いになっている。

 

安倍政権は、これらのムダな維持費や、無駄な投資になりかねない「再稼働の為の追加工事費」を、すべて電力料金に上乗せすることを承知している。

それならば、「原発の再稼働を国民が認めることで、電気料金の値上げを回避できる。」と約束しているのか、と言えばそうではない。

「稼働開始から30年以上経過している原発」は、予定の稼働率より大幅に低い実績であるから、廃炉に要する費用の積み立て金は不足しているのだ。

結局、残された原発の後始末には、再稼働の如何にかかわらず、膨大な積み立て不足金と、全く見通しのついていない、放射性廃棄物の最終処分までに要する経費が、完全に不足している。

 

安倍政権がモクロミどうりに、原子力規制委員化の安全審査をタテにして、「原発再稼働は安全」と宣言して、電力会社に稼働を認めたとしよう。

すると、電力会社は原発の稼働によって、火力発電の燃料費が削減できるから、

発電経費が下がる筈だ。

しかし、電力会社は絶対に電力料金の値下げは、計画には一切いれない。

その代わりに今度は、【廃炉費用の積み立て不足】に充てる為に電気料金の値上げを申請してくる、コトに間違いない。(続)


国民に不公平を強いることばかり実施する自民党政権。 

2013-12-08 | 核エネルギー・原子力問題

安倍自民党政権は、エネルギー政策の見直しを「自民党の政権ビジョン、公約」には掲げないで、経済産業省の官僚群に丸投げの状態である。

このほど経済産業省は、今までの失策には極力触れない様に、原子力発電維持路線を曖昧のママにして、原発の依存度を少しずつ減らしていく路線とした。

政府の正式なエネルギー政策は、菅内閣が2011年3月11日以前に策定した路線の、「原発増設。原子力発電依存度50%」の長期計画であったから、これよりもマシになる、との自己満足路線である。

 

ところが、原発大事故によって、原発台増設路線は破綻し、野田内閣においては、15%程度の原発依存度を引き下げて、運転経年の多い原発から順次廃炉にして、2030年代には減圧依存度をゼロにする、方針に転換した。

これは、原発を即時ゼロにするのは電力不足を招くから、との説明であったが、実際には各電力圏内の節電と融通電力で、電力不足は問題ではなくなった。

原発依存の「唯一の説明理由」は、火力発電の燃料費の増加によって、発電コストが上昇するので、国民負担が増えるから「原発は再稼働」するのは、国民生活の為である、としている。

 

実際の電力会社の経営状態は、2013年9月期の決算で、各電力会社は軒並みに業績を回復して黒字決算である。

特に事故を起こした東京電力は、2011年度は4000億円の赤字であったのに、2013年度9月期の中間期で1400億円の黒字になっている。

それでも、政府は東電の事故処理の為に「5兆円までの東電に貸し付ける」仕組みになっていて、この借金は、東電が電力料金を値上げした儲けをふやし、何十年もかけて返済させることになっている。

つまり、電力消費者の負担で、東電を儲けさせて事故処理をしようというのだ。

 

そして、東電の株主責任は問われずに、貸付をしている銀行や金融機関の債権を守り抜くことが最優先となっている。

銀行やその関連投資家のお金持ちに損失を出させないことが第一優先で、これの為には、国民が不安を言おうが「原発再稼働」の路線を維持する。

もし原発の再稼働が大きく遠のけば、廃炉処理に追い込まれる原発が多数にわたり、電力会社の財務状況が原発廃炉の損失で一挙に悪化する。

原発を再稼働に向けて動いている姿勢さえ示せば、廃炉になることは避けられるので、その間は「維持費を出し続けて電力料金で回収する」のである。