電力会社は原発が動かせないという理由で、昨年から電気料金の値上げが必要だとして、経済産業省に申請して大幅な値上げを獲得した。
国民は、不安のある原発を再稼働するよりは、電気料金の値上げを飲んで、原発事故の再発を避けることを優先した。
その国民の理解のよさに乗じて、電力会社は軒並み黒字化して、経営陣の高額な収入を確保している。
その電力会社に貸し付けしている金融関係各社も、貸付金の利子で儲けを増やして、国民生活に負担を押しつけながら、高額の収入を得ている。
その上に稼働開始から30年以上経過している原発は、新規の安全基準を満たす為の経費負担を考慮すると、早急に廃炉をして損失処理をする必要がある。
だが、電力会社は【廃炉処理による損失額】を避けようとして、「再稼働申請に向けた対策工事」を続ける姿勢で、老朽原発も維持し続ける扱いにしている。
そのための経費は、2012年度だけで1.2兆円に達しているが、これもすべて電気料金に加算されて、国民に負担を回すだけで、電力会社の損失はない。
電力会社と貸付の金融機関を守ることが、制度上の最優先の扱いになっている。
安倍政権は、これらのムダな維持費や、無駄な投資になりかねない「再稼働の為の追加工事費」を、すべて電力料金に上乗せすることを承知している。
それならば、「原発の再稼働を国民が認めることで、電気料金の値上げを回避できる。」と約束しているのか、と言えばそうではない。
「稼働開始から30年以上経過している原発」は、予定の稼働率より大幅に低い実績であるから、廃炉に要する費用の積み立て金は不足しているのだ。
結局、残された原発の後始末には、再稼働の如何にかかわらず、膨大な積み立て不足金と、全く見通しのついていない、放射性廃棄物の最終処分までに要する経費が、完全に不足している。
安倍政権がモクロミどうりに、原子力規制委員化の安全審査をタテにして、「原発再稼働は安全」と宣言して、電力会社に稼働を認めたとしよう。
すると、電力会社は原発の稼働によって、火力発電の燃料費が削減できるから、
発電経費が下がる筈だ。
しかし、電力会社は絶対に電力料金の値下げは、計画には一切いれない。
その代わりに今度は、【廃炉費用の積み立て不足】に充てる為に電気料金の値上げを申請してくる、コトに間違いない。(続)