庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

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原子力発電の負債から目を逸らさせる秘密保護法の奇策。

2013-12-11 | 核エネルギー・原子力問題

経済産業省は「エネルギー基本計画」の原案を12月6日に示した。

民主党政権が、2012年の野田内閣の末期に、「2030年代に原発ゼロ」を目指すとした基本方針を白紙から見直すとして、【原発は重要なベース電源】に転換する計画と打ち出している。

「原発に頼る比率は可能な限り引き下げて行く」としているが、数字は一切示さずに、曖昧なままの表現で済ませている。

どれくらいの原発を稼働させるのかは、「必要とされる規模を十分に見極めて」、原子力規制委員会の審査を経て「安全性が確保された」原発は稼働を進める。

 

この方針に転換するに当たって、「使用済み核燃料の最終処分」には、従来どうりの「核燃料からプルトニウムを取り出す再処理路線」を続ける。

これによって、プルトニウムを管理するリスクは増大し続ける「不安」がある。

その残さ物には、放射性物質が残って「数百年単位で貯蔵する必要」がある。

原子力産業界は、この再処理路線を維持すれば、使用済み核燃料の行き場がなくなってしまう状態から、一時的に逃れられる。

最終処分地決定まで、時間稼ぎをすることに膨大な経費をつぎ込んでいるのだ。

 

安倍政権と経産省の原子力官僚は、原発の負の遺産をできるだけ隠して、最終処分地の責任を次世代に先送りして、難題から逃げ回る方針を選んだのである。

この様な無様な状態を、国民に知られたくないので、マスメディアが大騒ぎをしている【秘密保護法】の強行審議を進めて、国会の騒乱状態をモノともせずに、不完全な審議のママに成立させてしまった。

安倍政権は、この為に内閣支持率を低下させたが、その程度の犠牲を払ってでも「原発維持路線への転換」を決める方策を講じたのである。

 

廃炉費用の積み立て不足は、原発再稼働の可能性があるうちは、大きな問題にされないで済ませられる。

プルトニウムは、実現困難な「プルサーマル稼働」で消費することにしておく。

【使用済み核燃料】は再処理路線の維持で、責任を逃れて次世代にツケを回す。

六ヶ所村の再処理工場が動き出せば、建設費のムダ使い批判から逃れられる。

これだけのメリットのある「原発維持路線」への転換は、できるだけ目立たない様に進めるに限るのだ。

秘密保護法の強行採決の影に隠れて、粛々と経産省官僚の仕掛けが進む。

弱小のバラバラ野党とマスメディアは、この奇策にまんまと載せられている。