鳴り物入りで経済対策の第一弾として、「超金融緩和」を進めると宣言し、日銀の独立性などお構いなしに、政治的介入でアベノミクスをはじめた。
その成果は、「円安誘導」に成功して、世界中から投機資金を呼び込んで「株式市場の活性化」により、株価の上昇という【見かけの景気回復】に表れている。
しかし、その反面の貿易収支の赤字拡大が増加して、遂には、経常収支が赤字になって、日本は停滞期から収縮期に移行した様である。
デフレ経済からの脱却は、物価上昇率がプラスに転じて、2%程度の上昇率を目安としている。
輸入品の価格が上昇して、エネルギー経費の増加で、輸送費の分が物価上昇に反映することで、デフレ経済から脱却している、と言えるのか疑問が膨らむ。
株価上昇で恩恵を受けた一部の資産家以外は、みんな物価上昇で困るのだが、アベノミクスの推進者たちは、お構いなしに円安誘導を成功と見ている。
1割の資産家が恩恵を受けて、9割の国民が損害を受けるのが、「アベノミクスの第一の矢」であることが、1年足らずで実証できた。
第二の矢の「国土強靭化」と旗を立てて、公共工事を大幅に増やしてきた。
この成果は、大震災の復興事業が遅れる効果を生みだし、建設資材の価格上昇を引き起こしている。
これも、一割の建設関連産業が恩恵を受けて、その他の産業はその「トリクルダウン効果」が現れるのを待っている状況だ。
政府の借金を増やして公共工事で需要不足を補う方策は、すでに、効果が限定的であると実証されている。
それでも借金が出来る間は、景気の下支え効果があるので、止められない。
安倍政権のやることは、基本的な国民の心理が理解出来ていないことに、欠陥があるのだ。
日本の長期デフレ経済は、生活が豊かになったが、実は将来に対する希望や夢が縮小して、今の生活維持を優先している次世代が大半になっている。
自民党政権時代に、格差社会を拡大させて、将来生活に不安を増加させてきた。
民主党と自民党の原発依存社会の破綻で、エネルギーの将来に不安を起こした。
長年の放漫財政による借金の積上がりは不安どころか、危機寸前である。
9割の国民に不安増大の生活を強いるので、極力、おカネを使わないのだ。
これが慢性的な需要不足となって、デフレ経済を長期化させている原因である。