経済社会の安定には、雇用の創出が必須であり、失業率が高い国では社会不安の増大が大きな問題になっている。
グローバル企業は、その企業経営上の利益の観点からのみ雇用を作りだして、利益が期待できない場合は、雇用も切り捨てるのを躊躇しない。
国はこの企業のエゴを知っているから、「生産拠点を海外に移転するぞ!」という企業の言い分に弱い。
だから、最低賃金は低く抑えて雇用形態も自由化して「非正社員」の割合を増やし続けることを容認してきた。
その結果は、賃金水準の低い非正社員層の低賃金に引きずられる様に、正社員の給料までもが、引き下げられて抑制され続けた。
可処分所得の減った働く人が増えると、【総需要は減少】して行き、賃金デフレが原因で「長期のデフレ経済に突入」してしまった。
歴代政府は、この需要不足に対応するために、「借金を増やして」でも総需要不足を補う「ケインズ政策」を忠実に実施してきた。
しかし、肝心の賃金デフレには無策を続けたために、経済は好転しないで、「借金政策を継続する」状況が続いてしまった。
その間には、政府に脅しをかけた「グローバル企業」の海外転換は活発になって、多くの雇用が海外へ流出している。
結局、グローバル企業の言うことを聞いて実施した政策は、低賃金の働く人を増やしただけで、雇用の流出を止めることはできない。
その海外移転の時期を「少しだけ遅らせる効果」はあったかもしれないが、経済が好転しない国内市場には、グローバル企業にとっては投資する魅力もない。
つまり、国内の市場の活性化が「最大の優先課題」であって、それには、『労働分配率の増加、最低賃金の引き上げ』が、適確な政策なのである。
グローバル企業が必要ではない、ということではなく、「グローバル企業の言うこと」を優先して聞く必要はない。
政府も自治体も、企業誘致のためには、「働く人たちの給料ダウン」を図ることを止めるのが、最優先の政策なのである。
賃金レベルが上昇して、経済市場が活性化すれば、グローバル企業は呼ばなくても我先に進出をしてくる。
その時期には、最低賃金の低さなどは、グローバル企業には関係ない話なのだ。