経済発展の象徴であった自動車の普及が、この10年間くらいは停滞気味で、国内の販売台数は、減少の一途であった。
ところが、この状況が変わりつつあり、今までは特殊の省エネ車と考えられていた「ハイブリッド車」は、自動車の中でステータスとして認められる高付加価値の仕様と考えられる時代に入った。
つまり最新型の自動車に要求される『先進性の象徴』は、化石燃料の使用量を削減する機構が、積極的に採用される時代になったのである。
今や新型の乗用車には、必ず「上級仕様としてのハイブリッド車」が、商品のバリエーションとして用意されている。
なかには、『ハイブリッド車のみ』が設定されて、従来のガソリンエンジン仕様は造らない車種も増えている。
『ハイブリッド車』を用意できない企業の乗用車は、ガソリンエンジンの燃料消費性能を向上させることが、生き残る生命線である。
自動車各社は、その先に先進仕様として、『プラグイン・ハイブリッド車』の開発と市場への発売を競う段階に入り、その燃料消費率の改善は目覚ましいレベルに向上する。
20km程度の短距離は、充電した電力のエネルギーだけで走行するので、ガソリン使用量に換算した「燃料消費率性能」では、60km/リットルと超えるレベルに達している。
つまり、直接にガソリンを消費して、エンジンで動力に変えるよりも、電力としてバッテリーに充電して、それでモーターを動かす方が効率が良いのだ。
この様な『プラグイン・ハイブリッド車』が普及し始めるのは、2020年代に入ってからであろうが、その時期には電力が不安のない状態で供給されることが、不可欠なのである。
また、短距離走行に適した「電気自動車」の普及も、少しずつ加速して、2020年代には、本格的な普及拡大期になる。
その段階になって、「原子力発電」に大きく依存している様では、次世代乗用車を購入することをためらって、不安を持ったままにおかれる。
供給される電力が「クリーンで安定している電源」であることが、次世代自動車のステータスである。
電力源が、疑惑の多い原発に依存しては、高付加価値も帳消しになってしまう。