日本はバブル崩壊後の経済停滞時期に、経済活動の閉塞状態を打ち破るには、「構造改革・規制緩和」が優先的な課題である、とされた。
当時は【高度経済成長期に増殖した利権構造】が、いたるところにはびこってしまい、経済活動の自由度を奪って「民間活力」を引き出す邪魔をしていた。
その象徴的な出来事は、「郵政金融に群がる利権構造」の破壊であった。
これに挑んだ「小泉政権」は、戦後に増殖してきた「郵政マネー」の隠れた利権構造を転換させることに成功し、国民は構造改革路線を支持したのである。
この構造改革との関連政策で、「規制緩和」と呼ばれる改革路線を、企業活動を優先する雇用形態の自由化が便乗して、「賃金デフレの原因」を招いてしまった。
【規制緩和は一概に有益とはいえない】と明確になったのに、いまだに、アベノミクスでも「規制緩和は善」とばかりに唱える有識者が多い。
【有害な規制】と『格差を是正するに有効な規制』とを、正確な議論の上で実行すべき方向を選択すべきである。
同様に大企業は国民に利益をもたらすか?という議論も、正確なデータを分析の上で、規制緩和すべき課題と、逆に規制を課すべき問題を明確に分ける。
【賃金デフレの原因】となる様な規制緩和は今すぐに見直して、むしろ、規制を課す法制度を実現すべきであろう。
この規制に対して反対する様な行動を採る企業は、【悪いグローバル企業】と判断してよいだろう。
働く人の賃金上昇につながる規制強化に賛同する企業人が経営する企業は、『良いグローバル企業』と見做してよい。
この方向に沿って、「グローバル企業のランク」を、公表する方策も検討されるべきである。
企業業績を「売上高」「株価利益率」【株価総額】などで、評価する慣習を止めることを法制化するのも良い。
その反面として、「従業員の給料総額」「社会事業への貢献度」「寄付総額」などを第三者機関で評価の上で公表する。
この様な制度が実現すれば、投機家ばかりを向く大企業も変質するだろう。
資本主義制度を採用している上で、その弊害を是正するには、従来の常識を再検討して、実行可能な制度を総智を集めて実現すべきである。
企業の社会的価値を正確に知らせることが、格差是正社会への第一歩となる。