甍の上で

株式会社創瓦 社長 笹原真二のブログです。

4月のマンスリー

2014-04-28 17:53:52 | Weblog
    セウォル号沈没事件
 16日、韓国の珍島沖で起きたセウォル号沈没事件は、修学旅行の高校生を含む死者187名、行方不明者115名という大惨事となっている。また避難誘導を怠ったとして船長以下乗組員11名が逮捕されるという異常な事態に陥っている。
 報道によると沈没の原因は、客室の増設によって重心が上がったこと、積載重量987tに対して3.6倍の3600t(申請・一般貨物657t車150台・実際には一般貨物1157t車180台)の過積載があったこと、これによってさらに重心が上がり船のバランスは不安定になった。車に対しては4つのタイヤの固定が必要なのに2つのタイヤしか固定していなかったこと、コンテナはチェーン固定がロープでの固定しかしていなかった等々、重大な事故を招くことになった。
若い航海士による高速での針路変更によって、荷崩れを起こしたコンテナ、積載していた車が片側によってバランスを崩し、船の復元力は3.6倍の過積載に耐えられず転覆、横転したまま2時間漂流して沈没したという。
日本であれば、仮に転覆したとしても2時間の漂流の間に乗客を助けることができていたのでは?、それ以前に3.6倍という過積載は無かったであろう。
船長が避難誘導もせずに救助船に乗り込んだというニュースを見たときは、開いた口が塞がらなかった。乗客に「動かないでください」という船内放送でパニックを起こさないようにしたことは理解できる。必ず助けに来てくれると信じていた高校生は、漂流中の2時間どんな思いで過ごしていたのだろうか?楽しいはずの修学旅行が・・・彼らはどうすることもできずに船内に取り残されて海の中へ沈んでいった。そんな中22歳の女性乗務員は自分の着ていたライフジャケットを高校生に渡して「乗務員の退避は最後、みんなを助けたあと私も行くから」と言って亡くなっていた。そんな女性乗務員と避難誘導もせずに退避した船長。漂流中の2時間、打つ手は無かったのだろうか?
関係者への聞き取り調査では、避難訓練もろくにしたことがないということも明らかになってきている、日本では考えられないことだ。救命ボートも留め金具が錆びついて動かなかったという報道もなされている。事故以前の安全対策が疎かになっていた。3.6倍の過積載にしても、コンテナの固定にしても、安全対策とは程遠いことが当たり前のように行われていたのではないか?それは運行会社だけの問題ではなく、取り締まる行政側にも問題はあったはずだ。
そんなことを考えていると、大惨事には至らなかったが、日本でもよく似た事例はあった。JR北海道の不祥事、車輛火災事故、脱線事故。レールの歪み等、安全に関する点検のずさんさが浮き彫りにされた。食品偽装にしても同じことが言える。事の大小の差はあるものの、我々の生活、仕事の中にも同じような問題の根っこは潜んでいる。決して対岸の火事として見過ごしてはいけない。    
 2014年 4月28日              笹原 真二
コメント
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