甍の上で

株式会社創瓦 社長 笹原真二のブログです。

3月のマンスリー

2013-04-01 20:01:34 | Weblog
     韋駄天様のお話
 3月3日の日曜日、重玄寺(井原市芳井町)で画聖雪舟の報恩忌が行なわれた。(雪舟終焉の地は、山口市、島根県益田市等、いくつかあるが、「東福寺誌」「吉備物語」等の文献に重玄寺終焉説が出ている)藤井宗俊住職からは、法要後、広島県世羅町の修善院住職神田敬州和尚(世羅高校陸上競技部OB)が「韋駄天様のお話」という法話があるということでお誘いをいただいていた。
「駅伝シーズンになると、新聞、TVニュース等でごぼう抜きをしたとか、とんでもなく速く走った選手に対して「韋駄天走り」という言葉が使われていますが、そもそも韋駄天とは、仏教の神様の一人韋駄天様のことで、お釈迦様が亡くなった後、捷疾鬼という足の速い鬼が仏舎利を奪って逃げた。この時、韋駄天様がこれを追って取り戻したという逸話から「韋駄天走り」という言葉が生まれた。
韋駄天様は寺院を守る神様で、特に禅宗では庫裏の厨房にまつられていることが多い。それは、韋駄天様がお釈迦様のために方々駆け巡って食べ物を集めてきたという逸話から「御馳走様」という言葉が出来たと言われている。
農家の方が田んぼを走り回ってコツコツと様々な仕事をして米をつくり、畑では野菜を作って収穫する。山の猟師は森を走り回って獲物を獲る。漁師は船で海の上を走り回って魚を捕る。それを流通業の方が運んでくれる。いろんな人達が走り回って食べる物を我々のところに届けてくださるから、食事を頂くことができる。だから「御馳走様」という言葉は「御、馳せ走る様」と書いて、走るという意味の漢字が二つ使われ、敬うという意味の漢字も二つ使われている。仏教の教えから「ごちそうさま」という言葉が使われているのです」
 法話が終わったあと、なるほどと感心していた時、ある方が「韋駄天様」とはどういう字を書くのですかと質問された。考えてみると「韋駄天様」の駄は「駄馬の駄」ではないか。韋駄天走りであれば、「駿馬(サラブレッド)の駿」の方が合っているのではないかと思うのだが「駄馬の駄」だから、改めて感心した。昔の人は面白い字を当てたものだ。
 公務員ランナーの川内優輝選手のマラソンは、練習も試合も関係ないかのようないつも韋駄天走り。力を使い果たしてゴール後は度々医務室へ。ゴール手前で倒れたこともある。決してサラブレッドの選手ではないが、最強の駄馬だ!
韋駄天走りはサラブレッドの特権と思っていた。しかし彼を見ていると、韋駄天様の意味と重なって見えてくる・・・どちらも一所懸命走り回っている。そして川内選手はゴール後必ずコースに向かって一礼「御、馳せ走る様」と言って感謝しているような・・・神田敬州和尚の韋駄天様の話から韋駄天様も川内選手も、ものすごく身近に感じている。
             2013年3月27日       笹原 真二
コメント
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