いにしえの警告
20日、土曜日の夕方、TVを付けると報道特集で「なぜ?神社の手前で大津波は止まったか」という番組をやっていた。4月下旬に三陸大津波で被災した町を回った時、多くの神社があるのに鳥居が倒れたり、社殿が壊れたりしていなかったことが不思議に思えた。お墓の墓石も同じで、もちろん倒れているものもあるのだが、街の被害に比べると意外に倒れていなかった。やはり、神様や仏様、目に見えない何かの力が働いているのではないかとさえ思えた。
番組では福島県沿岸部の82の神社を浸水地図に照合していくと、多くの神社が浸水線の上に並んだ。南相馬市の八龍神社では、津波が手前10mほどの高さまで来ていた痕跡が映し出される。また照崎神社では、御神木に津波の痕跡が残されていたが、社殿は無事だった。
相馬市の「津(つのみつ)神社」には昔から「津波の時は「津神社」まで逃げれば助かる」という言い伝えがある。その言い伝えに従って多くの人が助かった。市長は「多くの人たちが、ここに逃げ込んで助かったのは、御先祖様のおかげだ」と先人に感謝をしていた。
仙台市若林区にある「浪分(なみわけ)神社」は慶長三陸大津波(1611年)の際、この地で波が二手に分かれたという言い伝えがあり、「浪分神社」となったという。この慶長三陸大津波の教訓は、江戸時代の宿場町の位置にも表れている。津波の浸水域を外すように点在しており、街作りに活かされていた。
教訓は地名でも残されている。「栗はくれ、崩れた土地」「柿は欠、土地が削り落されている」「理は梅、土砂で埋まった場所」等、地名研究家は、このような漢字が使われている地域は、「注意せよ!」という先人からの警告だと言う。
少し前のTVニュースで、北海道大学の平川一臣教授らが、宮古氏の地質調査から「貞観地震」の規模が東日本大震災並みのマグ二チュード9級だった可能性があることを明らかにした。過去6000年の間に6回の大規模な津波があったことを示す痕跡も見つけたという。
報道特集では「古文書にも出てくる記載も踏まえて議論された」という東北電力女川原子力発電所の敷地の高さは14.8m。東京電力の福島第一原子力発電所は、津波の高さを最大5.7mと想定。2009年東京電力に対して学者が貞観地震の痕跡から危険を訴えたとき、「大きな津波が発生したという積極的な証拠は得られなかった」と回答したという。国策ともいえる原子力発電所を作るのに会社が違うとはいえ、このスタンスの違いに唖然とした。同時に経済産業省、原子力保安院の無策ぶりに驚いた。・・・しかし、このようなことは、我々の生活の中、仕事の中においても実際にあることだ。もっというなら、自分自身の中にある。決して他人のせいには出来ない。 2011年8月27日 笹原 真二
「いにしえの警告は」先人たちの実体験から発せられていた。
20日、土曜日の夕方、TVを付けると報道特集で「なぜ?神社の手前で大津波は止まったか」という番組をやっていた。4月下旬に三陸大津波で被災した町を回った時、多くの神社があるのに鳥居が倒れたり、社殿が壊れたりしていなかったことが不思議に思えた。お墓の墓石も同じで、もちろん倒れているものもあるのだが、街の被害に比べると意外に倒れていなかった。やはり、神様や仏様、目に見えない何かの力が働いているのではないかとさえ思えた。
番組では福島県沿岸部の82の神社を浸水地図に照合していくと、多くの神社が浸水線の上に並んだ。南相馬市の八龍神社では、津波が手前10mほどの高さまで来ていた痕跡が映し出される。また照崎神社では、御神木に津波の痕跡が残されていたが、社殿は無事だった。
相馬市の「津(つのみつ)神社」には昔から「津波の時は「津神社」まで逃げれば助かる」という言い伝えがある。その言い伝えに従って多くの人が助かった。市長は「多くの人たちが、ここに逃げ込んで助かったのは、御先祖様のおかげだ」と先人に感謝をしていた。
仙台市若林区にある「浪分(なみわけ)神社」は慶長三陸大津波(1611年)の際、この地で波が二手に分かれたという言い伝えがあり、「浪分神社」となったという。この慶長三陸大津波の教訓は、江戸時代の宿場町の位置にも表れている。津波の浸水域を外すように点在しており、街作りに活かされていた。
教訓は地名でも残されている。「栗はくれ、崩れた土地」「柿は欠、土地が削り落されている」「理は梅、土砂で埋まった場所」等、地名研究家は、このような漢字が使われている地域は、「注意せよ!」という先人からの警告だと言う。
少し前のTVニュースで、北海道大学の平川一臣教授らが、宮古氏の地質調査から「貞観地震」の規模が東日本大震災並みのマグ二チュード9級だった可能性があることを明らかにした。過去6000年の間に6回の大規模な津波があったことを示す痕跡も見つけたという。
報道特集では「古文書にも出てくる記載も踏まえて議論された」という東北電力女川原子力発電所の敷地の高さは14.8m。東京電力の福島第一原子力発電所は、津波の高さを最大5.7mと想定。2009年東京電力に対して学者が貞観地震の痕跡から危険を訴えたとき、「大きな津波が発生したという積極的な証拠は得られなかった」と回答したという。国策ともいえる原子力発電所を作るのに会社が違うとはいえ、このスタンスの違いに唖然とした。同時に経済産業省、原子力保安院の無策ぶりに驚いた。・・・しかし、このようなことは、我々の生活の中、仕事の中においても実際にあることだ。もっというなら、自分自身の中にある。決して他人のせいには出来ない。 2011年8月27日 笹原 真二
「いにしえの警告は」先人たちの実体験から発せられていた。