なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

月刊レジデント2016年月号

2016年04月19日 | Weblog

 月刊レジデントの2016年1月号「かぜくらい診られますよって本当ですが?」を読んでいた。「かぜの予防に関するエビデンス」藤谷好弘先生には、かぜ予防に有効とされる「マスク」「うがい」「手洗い」のエビデンスについて記載されている。エビデンスといっても症例数が少なすぎたり、方法に問題があったり、良質なものはないらしい。確かに研究として行うのは難しそうだ。

 「マスク」は明確なエビデンスはないものの、飛沫が鼻腔や口腔内に入るのを防いで、ウイルスへの暴露を減らす可能性はある。どちらかというと、かぜの患者さんがマスクをして(咳エチケット)、周囲への飛沫の拡散を予防する方が大事だ。マスクは適切に着用する必要があり、あごにかけたり、口だけ覆ったりしては効果がない。

 「うがい」の予防効果は賛否両論ということだが、有効というものもあり、昔から習慣としてしている人にあえて止めさせることはないという。なんだか、そっけない記載だった。ポピドンヨードは特に必要がなく、水で1日数回のうがいでいいようだ。時間を決めてやるのか、数回といっても何回なのかと言い出すと、きりがない。

 「手洗い」は予防効果が証明されているそうだ。くしゃみや咳などで拡散したウイルスは数時間から数日生きているので、手洗い(手指衛生)は効果がありそうだ。病院では原則1処置1手洗いだが(守るのは困難)、一般の人はいったい1日何回手洗いをすればいいのだろうか。共用物品に触るごとに手洗いをするのは到底無理だ。

 他にも興味深い記載があり、すごくいい。月刊レジデントで以前に「循環器救急疾患」の特集が単行本化されたが、この特集も内容を増補して単行本化してほしい。

 

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胆嚢癌?

2016年04月18日 | Weblog

 若い外科医が消化器科医に68歳女性のCT画像をみせて、相談していた。1週間前から右季肋部痛があり、内科医院を受診した。両側肺にCTで見ると陳旧性と判断される線状陰影があり、血液検査で炎症反応が軽度に上昇していることから、肺炎として経口抗菌薬で治療をされていた。良くならないので先週末に当院受診となった。CTで肝右葉全体に広がる病変を認めた。

 一見して肝膿瘍かと思ったがどうも違うようだ。発熱はなく、外来に普通に歩いてきている。炎症反応上昇と肝機能障害は軽度だった。CTでは胆嚢を指摘できない。今日外来を再受診するので、腹部エコーと腫瘍マーカー提出を追加するということだった。CEAとCA19-9は正常域だった。クラビット内服を処方していたが、炎症反応と肝機能は若干だが軽快している。腹部エコーでは壁の不規則な肥厚を伴って胆嚢が描出された。膿瘍(液体)かと思われる部位は思ったより充実性の変化だった。胆嚢癌が肝床部から肝臓へ進展しているのだろうか。患者さんの希望で、当地の基幹病院へ紹介することになったが、さらに大学病院へ紹介になるかもしれない。

 昨日入院した嘔気の続く51歳男性は、今日上部消化管内視鏡検査を行った。医局で話をしていたので、隣で消化器科医もいっしょに見ていた。胃は穹窿部から前庭部まで、びらんが散在していた。浅い線状潰瘍と表現したほうがいいところもあった。十二指腸休部にも多発性にびらんがあった。少なくとも嘔気を説明する病変はあったことになる。食事を出してもいいと言ったが、あまり乗り気ではなかったので、とりあえず夕から流動食とした。

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脳梗塞

2016年04月17日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。89歳男性が右半身麻痺で救急搬入された。呼びかけても疼痛刺激でも開眼しないが、反対側の左上下肢を盛んに動かしている。これまで左頭頂葉と右後頭葉に脳梗塞に既往があった。頭部CTで出血性病変はなく、頭部MRIで左MCA領域に梗塞巣を認めた。脳萎縮があるので、脳浮腫がきても呼吸抑制はないと判断される。急性期を過ぎても、右半身麻痺・失語症・嚥下障害が残ってしまうと予想される。嚥下障害で経口摂取できない時に家族と相談することになりそうだ。

 

 あとは他県から観光に来た人たちも救急搬入された。ひとりは車で当地の山に来たが、緩いカーブで一瞬意識が消失して、路肩の方に突っ込んだ。スピードはあまり出ていなかったのと、ブレーキをかけたのかもしれない。救急隊の話では車のフロントがへこんだが、エアバックは茶道しない程度だという。救急隊到着時には意識清明で、特にこれといった外傷もなかった。高血圧症・糖尿病・心房細動で大学病院に通院しているという。血糖は167mg/dlと低血糖ではない。頭部CTは異常なし。心電図は心房細動があるが、心拍数は正常域にあって、除脈~pauseはない。大学病院で今月ホルター心電図を受ける予定だったという。症状があっての検査ではないそうだが。JAFといっしょに一旦置いてきた車のところまで行って戻ってきた奥さんと一緒に帰宅とした。新幹線で帰るという。

 もう一人は別の他県から来て、お城の天守閣に登った時にめまいがして嘔吐が続いた。救急隊から連絡があった時に、回転性かどうか聞いてもらった違うという。ただ、救急隊は眼振を認めていた。搬入時には眼振は認めなかった。やはり回転性でも周囲の景色が流れるのでもないと言っていた。その後奥さんに訊くと、発症時には天井が回ると表現したそうだ。BVVPでいいようだ。外来で経過をみているうちに、症状消失して帰宅となった。

 当院看護師さんの夫、51歳男性が4日前から嘔気嘔吐が続いて、食事がほとんどとれないと受診した。腹痛はなく下痢もない。先々週に風邪症状と高熱が3日間あったが、それは軽快消失した。4日前には頭痛で内科医院から当院に紹介されて、頭部CTが施行されたが異常なしだった。今は頭痛はない。2月に検診を受けていて異常はなかった、上部消化管内視鏡検査・便潜血(2日)も異常がない。今日の血液検査でも異常はなかった。奥さんの希望もあり、入院として点滴を継続して、明日腹部エコーと上部消化管内視鏡検査を行うことにした。

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感染症学会

2016年04月16日 | Weblog

 昨日と今日は、感染症学会に出ていた。化学療法学会と、化学療法学会と感染症学会の合同学会には行ったことがあるが、感染症学会だけに行ったのは初めて。昨日は午前中消化器感染症のシンポジウムを聴いて、午後は総合診療科や集中治療科と感染症科のコラボのシンポジウムを聴いた。諏訪中央病院の佐藤泰吾先生が発表していた(山中克郎先生との共著「ダビンチのカルテ」を持っている)。今日は午前中はワクチンのシンポジウム、午後は結核病学会との共同シンポジウムを聴いた。本来の目的であるICD講習会は、疲れてすっかり休んでいた。印象に残ったのは下記のふたつの講演だった。

 「潰瘍性大腸炎(UC)は腸内細菌感染症」(東京慈恵医大柏病院消化器肝臓内科・大草克典先生)  免疫異常自然発症腸炎ラットは無菌状態では腸炎を発症しない、またUCでは腸内細菌叢microbiotaの乱れが起きる(gut dysbiosis)ことから、UCは腸内細菌感染症と判断される。Fusobacterium variumが起炎菌。これを抗菌薬(ATM療法=AMPC1500mg+TC1500mg+metronidazole750mg)で 除菌すると、ステロイド離脱率が改善する。またProbioticsによる治療は寛解維持に有効。つまりgut dysbiosisをantibioticsとprobioticsで改善させることができる。会場からの質問に答えたところでは、fusobacterium variumの保菌率は28%、テトラサイクリンは効くがミノマイシンは効かない、ホスホマイシンも効くようだ、サラゾピリンは抗菌薬だが効かない、再発してもATM療法がまた効く、という。

 「抗酸菌感染症の現状と将来展望」(新潟大学呼吸器感染症内科・菊地利明先生)  結核菌が飛沫核感染して胸膜下に初感染巣を形成する(肺門リンパ節への進展を合わせて初期変化群)。結核菌の増殖を免疫力で抑えられないと感染から引き続き発症する(一次結核症)。免疫力で抑えられても結核菌は生き続けて、潜在性結核感染症となる。90%はそのまま経過して一生発症しないが、10%が免疫力低下で発症する(内因性再燃=二次結核症)。

 潜在性肺結核感染症から、ステロイド・免疫抑制剤・生物学的製剤・血糖コントロールの悪い糖尿病・低体重(低栄養)・胃切除・喫煙などで内因性再燃が起きやすい。特に生物学的製剤を使用する時は結核に対する総合的な評価を要する。潜在性肺結核の診断には、IGRA(interferon-γ release assay)のQFT・T Spotを使用する。感度はそこそこ高く・特異度は高い(陰性的中率が高い)。今一つではあるが、診断するには今のところこれしかない(結核が発症しても陰性のことあり)。IHNで治療するが、発症防御率は93%で、100%ではない。

 非結核性抗酸菌症NTM(主にMAC症)。土壌の常在菌。ヒト-ヒト感染はしない。NTMは150種類以上あるが、全部がヒトに感染するわけではない。aviumとintracellulareのMACで80%を占める。NTMは増加していて、2000年からは結核を上回っている。治療はCAM600~800mg/日(15~20mg/kg)分1~2+EB15mg/Kg(750mgまで)分1+RFP10mg/kg(600mgまで)分1。これにSM15mg/Kg(またはKM)を週2~3回。菌陰性化はSMありで71%、SMなしで51%。2年間でも3割は陰性化しない。陰性化しても半数(48%)は1年以内に再増悪する。病像は二つに分かる。線維空洞型は、喫煙歴のある中高年男性に多く、1~2年で急速に進行、速やかに化学療法を行い手術も考慮する。結節気管支拡張型は、喫煙歴のない中年女性に多く、5~10年で緩徐に進行、治療開始の明確な基準がない。

 菊地先生の講演は東北大学の准教授のころに聴いたことがあり、分かりやすい講演をされるので好きだった。この後、シンポジウムで結核の基礎的な知識・診断・治療・潜在性結核感染症の治療と聴いた。学会場で「画像と病理から学ぶ結核・非結核性抗酸菌症」を購入した。

 ランチョンセミナーの「結核と非結核性抗酸菌症に関する話題」で「結核の基礎知識」の、イブニングセミナーの「感染管理ベストプラクティスを始めよう」で「感染管理ベストプラクティス」の小冊子をいただいた。感染管理の手技は個々人で大分違うので、文章だけではなくイラスト付きの張り紙を使用すること、どのくらいできているか個人ごとに項目別にチェックすることが重要だそうだ。花王で出しているその小冊子を看護師さん用に3冊注文した(たぶん病院に送ってくれるはず)。

 

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何のウイルス?

2016年04月15日 | Weblog

 一昨日(水曜日)の夜に施設入所中の60歳代前半の男性が受診した。月曜日から発熱があり、鼻汁・咳も少しある。もともと精神遅滞・てんかんがあり、ヘッドギアを付けている。自力歩行できるが、転倒の可能性が高い。日中に内科医院を受診して、ブルフェン・メイアクトを処方されていた。日中食事はとれていた。夜になって39℃の発熱で、ふらふらして歩行できなくなって施設職員が連れてきた。

 当直医は外科医だった。自宅に連絡が来て、どうしたものかということだった。インフルエンザ迅速試験は陰性だった。胸部X線、さらに胸部CTも撮影したが、肺炎の陰影はなかった。尿検査は異常なし。白血球数9000と上昇している。施設入所者5~6人が発熱しているという。入院もありだが、そうなれば個室だろう。施設職員は付き添いできないそうだ。結局、翌日の午前中に内科外来を再受診してもらうことにた。

 翌日(木曜日)外来でインフルエンザ迅速試験を再度やってみる予定だったが、施設職員の話では、発熱している入所者を受診させたが、全員インフルエンザ迅速試験は陰性だという。どうもインフルンザ以外のウイルスらしい。他のウイルスの迅速試験をやるべきか。患者さんご本人は解熱していた。朝検査するかもしれないので絶食で受診するように言われていた。咽頭発赤はない。胸部聴診も異常なかった。話をしたところでは、意識障害はない。食べられそうかと訊くと。食べたいと言う。

 外来のベットでう休んでもらって、売店で何か買ってきて食べてもらうことにした。病棟の仕事をして、昼まで経過をみたが、体温が上がってくる様子はない。ピークは過ぎたのだろう。おにぎりをちゃんと食べたそうだ。夕方になると37℃台の発熱はまだ出ると思われたが、ピークは過ぎていると判断された。そのまま施設で経過をみてもらうことした。

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小脳梗塞

2016年04月14日 | Weblog

 内科の若い先生から、画像を診てほしいと言われた。内科クリニックからの紹介でめまいの84歳女性が受診していた。頭部MRI拡散強調画像で左小脳半球に脳梗塞を認めた。意識は清明で、特にふだん認知症の症状がある人ではないという。右小脳虫部にも梗塞巣があったのがよくわからない。神経内科医(当院1名のみで脳外科医はいない)は今日から脳卒中学会に出かけていた。

 小脳梗塞だと急性期は専門医に診てもらうのが好ましい(脳外科医もいる病院)ということで、地域の基幹病院の神経内科に紹介することにした。向こうでも学会に行っている先生もいると思われたが、一番上の先生に電話で連絡すると、快く(若い先生はあっさりと表現していが)引き受けてくれた。当院の神経内科医が不在であることを強調するようにアドバイスしていた。

 夜になって妹からメールが来た。お姑さが小脳梗塞で当院を受診して、基幹病院に紹介されたという内容だった。お姑さんの名前を正確に覚えていなかったが、言われてみればそんな名前だったと気が付いた。認知症などない、しっかりもののお姑さんだった。急性期の治療が終われば、当院に回されてリハビリになるので、再来週には当院に入院しているかもしれない。

 今日は糖質制限で高名な江部康二先生の「人類最強の糖質制限論」SB新書を買ってきた。新書は随分過激なタイトルを付けるものだ。

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病院の同窓会

2016年04月13日 | Weblog

 以前勤務していた病院の同窓会の案内状が届いた。町立の小さな病院だったが、地域の基幹病院ができることになり、持っていた病床分がそちらに統合されて、衛星診療所になった。小規模な統合例だが、東北の他の地域でも地域の基幹病院に統合されて、その周囲に衛生診療所や分院的な小規模病院が配置されている。すでに病院がなくなって10数年が経過していた。発起人は集まって何かするのが好きだった放射線技師さんだった。ちょうど定年になったころだと思うので、それで思いついたのだろう。まだ診療所に残っている看護師さん、基幹病院に移って頑張っている看護師さんや技師さん、辞めてしまった看護師さんなど、その後の経緯はいろいろ。当時の院長先生は、現在私立病院の院長をしていて、たまに講演会でお見かけする。

 内科に60歳代男性がめまいで紹介された。内科の若い先生が診て、吐血したという話を聞き出して(精神病院に通院している患者さんだった)、検査で貧血も認めた。消化器科で上部消化管内視鏡検査をして、胃角小彎に古典的な?潰瘍を認めて、露出血管があった。エタノール止血してクリップもかけた。医局で来月の当直表を作っていると、潰瘍を電子カルテの中にある画像で見せてくれた。内視鏡の画像も今回電子カルテに取り込まれるようになって便利だ。心窩部痛があるので、鎮痛剤のハイペンを飲んでいたそうだ。当然逆効果だが。

 昨夜は胆管癌でステントを挿入された80歳代男性が、急性胆管炎で入院していた。高熱での救急搬入だった。これで3回目の入院になる。抗菌薬点滴静注で解熱して心窩部痛が軽快すると、すぐに元気になる。昨夜の抗菌薬投与ですでに今日は元気になっていた(肝機能は結構上がっていた)。また1~2週間で退院できるだろうか。

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とりとめのない診療

2016年04月12日 | Weblog

 今日は管理会議でひとつの病棟を地域包括ケア病床にすることが決まった。当院は300床6病棟で、そのうちひとつの病棟が回復期リハビリ病棟にしている。10月から地域包括ケア病床(病棟)ができると、急性期病床が200床になる。

 今日は施設から10日前からの後頸部痛で80歳代後半の女性が、嘱託医の紹介で受診した。疼痛部位が後頸部なのか耳後部なのか左肩なのか、訊くたびに変わってよくわからない。首を回しにくいのは間違いないようだ。意識清明(たぶん)で明らかな発熱はない。膝痛や手関節痛はない。頸椎偽痛風を疑って、頸椎CTで歯突起周囲の石灰化をみたが、ありそうだなというくらい。炎症反応は上昇していた。頸椎偽痛風疑いとしてNSAID(セレコックス)で経過をみることにした。

 80歳半ばの女性が糖尿病の教育入院になって1週間経過した。今時珍しい昔からのノボリンN朝1回打ちで治療されていた。HbA1c9%くらいでもう少し下げたい。一人暮らしで難聴がひどい。外来でインスリンの種類を変更するのが不安だったので、入院とした。インスリンをトレシーバ同単位(8単位)として、DPP4阻害薬とのBOTにした。空腹時血糖は正常域で、昼夕の血糖はまだ少し高めだったが、それほど厳しく下げるつもりはない。高齢者で、そうしてもインスリンなしでは許容師がたい高血糖になる時は、このトレシーバ+DPP4阻害薬の組み合わせを愛用している。

 糖尿病・高血圧症で通院している80歳代半ばの女性は、2~3週間前に黒色便(タール便)が出て、その後は普通便になったという(直腸指診で普通便確認)。定期の血液検査で貧血を認めた(Hb11から9)。今日内視鏡検査を行ったが、胃粘膜萎縮(ピロリ菌陽性)とコアグラの付いたびらん散在を認めた。潰瘍や癌はなかった。症状がある時はもっと多発性にびらんがあったのかもしれない。もともとPPIは内服しているので、粘膜保護剤を追加して、貧血の程度を再検することにした。改善しなければ大腸検査を考慮する。

 入院は80歳台前半の男性(中等度の認知症)で誤嚥性肺炎。何度か入院しているが、抗菌薬投与で元気になると不穏が目立つということを繰り返している。奥さんも慣れていて、抑制同意書にあっさりサインしてくれる。

 本当に、毎日とりとめのない診療だ。

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NSAID潰瘍

2016年04月11日 | Weblog

 施設からの紹介で94歳女性が受診した。2~3週間前から嘔気を訴えて、施設で点滴をしていたが、良くならないという。先月初めまで当院の循環器科にうっ血性心不全で入院して、退院後に入所していた。

 どこまで検査するかだが、案外元気なので外来でできることは一気に全部やることにした。うっ血性心不全自体は特に悪化していなかった。消化管検査は上部はできるとして下部は難しいと思われたので、まず胸腹部CTで明らかな消化管と膵臓の腫瘤の有無をみることにした。

 放射線科の女性技師から連絡が来て、右乳癌がありますということだった。右腋下リンパ節も腫脹していて、転移と判断される。肺と肝臓に転移は指摘できない。ただし、循環器科のサマリーにうっ血性心不全が全体に改善しているのに左胸水はとれないとあり、癌性胸膜炎かもしれない。

 この方は肝障害の既往があり、詳細は不明だが、CTでみると明らかに肝硬変だった(脾腫と軽度の腹水もある)。アルコール性・ウイルス性ではないので、自己免疫性肝炎か原発性胆汁性肝硬変が疑われる。

 これだけで食事をとれないのは説明がつかず、上部消化管内視鏡検査も行った。まず胃前庭部小彎に胃潰瘍があった。表面にコアグラが点状についている。そして十二指腸球部から後球部にかけて多発性潰瘍を認めた。全部に鮮血が付着していた。多発性出血性胃十二指腸潰瘍だった。

 この方は循環器科入院中の処方をみると、腰痛~下肢痛でセレコックスが処方され、PPI(ネキシウム)も処方されていた。施設に入所してからは処方が変更されていた。NSAIDはボルタレン(ジクロフェナク)になり、PPIからタガメット1錠になっていた。要するにNSAID潰瘍だった。NSAIDを中止して、点滴とオメプラール注で治療を開始した。

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5年ぶりのてんかん発作

2016年04月09日 | Weblog

 昨日は日直で出ていた。28歳男性がけいれん発作を起こして救急搬入された。中学2年生でてんかん(特発性全般てんかん)と診断された。治療はデパケンを内服していた。最後の発作は5年前で、その後発作がなく、2年前に抗てんかん薬は中止して経過をみていた(通院はしていない)。当院の神経内科から脳神経の専門病院の神経内科医(てんかん専門医)に紹介されて、そちらの判断だった。もっとも患者さんの希望に沿った面もあるようだ。

 今日は午前中からパチンコをしていた(パチンコ台の点滅はてんかん誘発につながると思うが)。昼を過ぎて全身のけいれん発作を起こして、口から泡を吹いていたそうだ。お店からの通報で救急隊が向かった。救急隊到着時はけいれんは治まっていて、床に座り込んでいた。問いかけの対する反応が悪かった(救急隊はJSC3と表現していた)。

 当院搬入時は意識清明で普通に会話ができ、これまでの経緯を教えてくれた。念のため、点滴ラインをとって外来で経過を見ていたが、夕方になっても特に発作もなく、帰宅とした。遠方の専門医の病院まで行くのは希望せず、当院の神経内科外来を希望したので、週明けに今後の治療を相談してもらうことにした。

 日直の時の救急搬入は他の2名。前日に転倒してから動けなくなったパーキンソン病の74歳男性は、救急隊が骨折はないようですが、と言って内科で搬入されたが、普通に右大腿骨頸部骨折だった(整形外科に入院)。自宅で倒れているところを訪問したヘルパーさんに発見されて救急搬入された86歳女性は右肺炎だった。

 内科の当番なので、そのまま病院に泊まっていたが、当直帯で2名入院した。78歳男性は同程度の認知症の妻と二人暮らしで、高熱で動けなくなって救急搬入された。インフルエンザB型陽性。食欲もなく、短期入院とした。もう一人は施設に入所中の91歳女性で、大腿骨頸部骨折と脳梗塞の既往がある、当院ではあまり聞いたことのない施設だった。救急隊が5か所の病院に搬入要請したが、断られたそうだ。当院の当直医が引き受けた。白血球数3万、CRP30と炎症反応が著明に上昇していた。感染症は肺か尿路かと検査したら、肺炎があり、尿混濁があり、なぜか膵臓周囲から後腹膜にかけて浸出液があった。膵臓自体は腫脹していないし、血清アミラーゼは正常域だった。血液培養2セットと尿培養をとって(痰はとれず)抗菌薬を開始した。責任者である義理の弟さんには、できる範囲で治療はするが、厳しそうだと伝えた。

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