なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

「救命センター カルテの向こう側」

2016年04月03日 | Weblog

 土日は都立墨東病院救命救急センター・浜辺祐一先生の「救命センター カルテの向こう側」集英社を読んだ。プロローグには、阪神淡路大震災のあった20年前から勤務しているとある。「こちら救命センター」から5冊目の著書になり、こちらもずっと愛読してきた。

 「孤独死」 自宅(アパート)で倒れているところを発見された60歳代後半の男性。昏睡・下顎呼吸・徐脈・血圧測定不可から治療開始。広範な脳梗塞と判明。クラッシュ症候群からの高カリウム血症で人工透析、下腿のコンパートメント症候群で減張切開。人工呼吸器からは離脱でしる見込みだが、意識障害は継続。若い先生は救命救急センターとしての治療を精いっぱい行ったが、部長(浜辺先生)は果たして患者さんはこんな治療を希望しているのかと思う。

 「刺創」 心窩部と前頸部に刺創のある70歳代男性。心窩部の傷は心臓に達して、心タンポナーデを呈している。手術により救命したが、意識が戻ると、妻を殺したと証言。寝たきり状態の妻の介護に疲れて、無理心中を図った。集中治療室から出た時から、警察官が張り付き、退院後はそのまま逮捕されて警察署へ連行された。助けたことは本人にとって良かったのかどうか。

「リピ-ター」 警察から自宅で死亡した60歳代男性について問い合わせが来た。過去に急性心不全で繰り返し救急入されるが、少し良くなると点滴に引き抜き、血まみれの大立ち回りを演じて勝手に退院してしまっていた(治療費の支払いもしてにあらしい)。半年墨東病院に搬入されていないことから、他の救命救急センターに直近の搬入(と搬入後の騒ぎ)があるはずと回答する。

「同意書」 飲酒して自転車で自爆事故の40歳代半ばの男性。フリ-エアーがあり、腸管穿孔による急性腹膜炎と判明。遅れて病院に来た父親は手術同意書へのサインを拒否する。その息子は仕事につかず、酒浸りで、置いた両親に家庭内暴力を働いていた。

 など、いつもながら、救命救急センターでの治療で九死に一生を得て良かった良かったとならない話?が満載で興味深かった。

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