なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

前回のドクターG~微小血管狭心症

2016年04月30日 | Weblog

 NHKの総合診療医ドクターGをできるだけ全部みるようにしている。前回のドクターGは岡山大学の片岡仁美先生で、微小血管狭心症の症例だった。微小血管狭心症、知りませんでした。

 冠動脈造影で描出されない100μm以下の微小冠動脈の機能異常で胸痛・心筋虚血が起きる。閉経期の女性に多く、エストロゲン減少が関与する。症状は労作時、安静時に起きる。硝酸薬に対する反応は半数以上で不良だそうだ。冠攣縮性狭心症に合併することもある。治療はCa拮抗薬。

 番組では、研修医がすぐに狭心症と判断した。その後に、何か所かの病院を受診して異常なしとされたことや、心因性の要素が大きいようなエピソードがあり、精神的なものという判断に変わった。そして最後に、あまり医師の間でも認識されていない病気となった。

 これまで診たことがあったのだろうか。動悸ではなく、はっきりした胸痛・背部痛が発作的に起きるという訴えだと、心因性で片づけることはない。受診時の心電図で虚血性変化がなければ、ホルター心電図は行う。最近だと、冠動脈CTを行う。冠動脈の狭窄がなければ、冠攣縮性狭心症疑いとして、循環器科と相談してCa拮抗薬を処方して経過をみるか、そのまま循環器科に紹介する。Ca拮抗薬が効けば、そのまま冠攣縮性狭心症(診断は違うが)として治療を継続するだろう。

 循環器科の若い先生に訊いてみたが、治療で使用するCa拮抗薬は、ヘルベッサーRを使う派とコニールを使う派があるそうだ。東北大学の下川教授はコニール派とのこと。それにしても、今時は一般向けのテレビ番組で知らない疾患を勉強するというのが面白い。

コメント (1)
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