なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

マイコプラズマ肺炎

2015年09月19日 | Weblog

 火曜日に40℃の発熱で女子高生が救急搬入された。救急当番の外科医から肺炎で入院依頼がきた。5日間40℃が続いていて、意識朦朧という救急隊の記載があったが、診に行った時は案外会話はしっかりしていた。前週末から高熱と咳があり、近医で治療を受けていた。前日にはペントシリンの点滴(2回)とジスロマック2g内服の治療を受けていた。胸部X線で右下肺にスリガラス様(もうちょと濃いか)の陰影を認めた。白血球数は正常域で(CRPは25と高い)、胸部聴診所見は異常なく、マイコプラズマ肺炎と考えられた。マイコプラズマ迅速試験(抗原)は陰性。入院治療とした。

 前日にジスロマックを内服しているが、マクロライド耐性の問題もあるし、40℃なので追加したくなった。ミノマイシン点滴静注の追加かクラビット内服のどちらにしようかと考えて、年齢的にちょっとひっかかるがクラビット内服にした。翌日には37℃台になり、翌々日には平熱となった。補液も2日だけして、3日目には食欲良好だったので中止した。

 ジスロマックが効いてきたのかもしれない。非定型肺炎のカバーはそれに任せて、細菌性肺炎カバーでセフトリアキソン点滴併用にするべきだったか。解熱すればすぐに退院することも考えて、今回はちょっとずるくやってしまった。3日目からは普通に売店に買いものに行ったりして、4日目に元気に退院した。1回のだけの測定だが、4日目のマイコプラズマ抗体は160倍だった。

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総胆管に結石があった

2015年09月18日 | Weblog

 昨日紹介した外科医から、総胆管にも胆石があるよ、と言われた。先週80歳代半ばの男性が2回の心窩部痛発作で受診した。昨年12月に基幹病院消化器科で総胆管結石に対する内視鏡治療を受けた後に、ラパ胆を勧められたがことわっていた。腹部エコーと腹部造影CTで当然残っていた胆嚢結石が描出された。胆嚢炎の所見はなかった。胆道系の拡張はない。今回はラパ胆を受けるというので、上部消化管内視鏡検査と術前検査を行って、一昨日外科に回していた。

 外科医は紹介された日の午後にMRCPを入れていた。昨日その読影レポートが出てきて、総胆管に2個の結石があった。陥頓はしていない。総胆管は何ごともないようなまったくの正常径だった。胆嚢結石は小結石なので、2回の心窩部痛は胆嚢結石が総胆管内に落ち込んだための症状だったのかもしれない。明日外来に来るので、総胆管の内視鏡治療をした病院にまた送るよ、ラパ胆もあっちでやってもらおうかな、と言われた。すみませんでした。

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低カリウム血性周期性四肢麻痺

2015年09月17日 | Weblog

 日曜日の日直の時に40歳男性が四肢麻痺(特に両下肢)で救急搬入された。この方は5年前にも同様の症状で入院していた。その時は、当直だった外科医が主治医となって、カリウム製剤の補充を行って4日で退院している。今回も血清カリウムは1.9と低下していた。

 数か月に1回くらい同様の症状が出現するが、軽度の時は自宅で様子をみるのみで受診しないそうだ。自分で頑張るというので、どうするのかと訊くと、野菜ジュースを飲むと言っていた。症状が出現し始めると自分でわかるので、自己流の対応を始めるのだった。カリウム製剤を病院からもらっておいて、症状が出始めたら内服すればと提案すると、それもそうですねとのんびりした返答だった。

 今回も自己流でやってみたが、悪化して動けなくなったので救急要請した。ベット上で下肢が少しだけ動くのみだった。上肢はテーブルまでは上がるが、それ以上は上がらないので、入院後の食事摂取も不自由だった。カリウム製剤の内服を開始して、点滴もちょっと併用した。翌日には血清カリウム2.0とわずかな上昇(誤差範囲か)だった。翌々日には2.7になって、トイレまで歩行できるようになった。2.5以上あれはいいらしい。

 仕事はしておらず、生活保護を受けていた。この年齢でよく認定されたと思うが、切られるのが心配という。症状軽快後はすぐに退院したがったので、カリウム製剤を持たせて退院にした。明日自宅に電話して、症状がなければ手持ちのカリウム製剤を中止して、無治療の状態で外来で血清カリウムを再検する予定だ。甲状腺機能と念のため原発性アルドステロン症のスクリーニングを行うことにした。

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けいれん発作のその後

2015年09月16日 | Weblog

 日曜日の日直の時に発熱と痙攣で救急搬入された40歳代半ばの男性(精神遅滞・てんかん)は、翌日までににセルシン20mg・ホストイン20ml(1500mg)を使用した。月曜日に神経内科外来で診ている先生(大学病院からの応援医師)に相談した。交代で来ているが、その先生も3回診察したことがあった。診察室になかなか入って来ないこと、入ってきたも診察医と目を合わさないこと、発語はないこと、周囲に注意を向けないために転倒をくりかえしていること、などを教えてもらった。痙攣が治まってからも、ほんやりした状態が続き、経口薬の内服は困難なことを伝えると、NGチューブからの注入を勧められた。その日もセルシンを10mgの追加投与をした。

 発熱の原因として、肺炎・尿路感染・胆道感染は否定的だった。脳炎・髄膜炎の可能性はある。しかし炎症反応の上昇がほとんどなく、初日にセフトリアキソンを1回点滴静脈注して翌日には解熱していたことから、結局髄液検査はしなかった。提出した血液培養・尿培養は陰性だった。

 翌々日の朝にははっきりと開眼していた。病室に行くとこちらをちょっと見た。もともと発語がない(声は少し出す)ので判断が難しい。たぶん普段の状態なのだろうと思った。初日から痙攣が治まると不穏がひどく、抑制されていた。病棟の看護師さんに相談すると、今日はこのままでいきましょうと言われた。NBチューブからの抗痙攣薬の注入(デパケンとイーケプラ)を継続した。イーケプラは2日で定常状態に達するので、2日は確実に入れる方がいいと判断した。

 昨日から今日まで痙攣はなく、意識も清明で経過したので、NGチューブを抜去する予定だった。予定だったが、その前に抑制をすり抜けて自分でNGチューブを抜去していた。昼から抗痙攣薬を内服してもらった(嫌がって吐き出そうとしたが、何とか内服)。食事も完食だった。抑制をはずすと一人では置けないので、抑制は明日の退院まで継続とした。案外おとなしくしていた。前回の痙攣での入院時は不穏がひどくて2日で退院していた。今回は痙攣の程度がひどかったので、少し長くなった。とにかく抗痙攣薬をきちんと内服してもらうよう、同居の3兄弟の中で、一番信頼できる弟さんにお願いすることにした。

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統合失調症で糖尿病

2015年09月15日 | Weblog

 内科クリニックから20歳代半ばの男性が紹介された。統合失調症で精神医療センターに通院している。最初は地元の精神科医院に通院していたが、内服するとボヤーッとするので(そこの処方は種類も量も多い)、現在の病院へ紹介してもらったという。1種類の抗精神薬のみで落ち着いている。血糖検査でHbA1cが10%以上あったので、内科を受診するように言われてクリニックを受診したが、2回処方しただけで当院に紹介された。

父親が糖尿病だという。クリニックで検査した抗GAD抗体は陰性だった。2型糖尿病が早期に出現したタイプのようだ。体重は標準体重より20Kg多かった。精神科で治療を始めてから体重増加したのではなく、もともと肥満があった。

 メトホルミンのみ処方されていたので、今日はそれにDPP4阻害薬を追加した。それで少し経過をみるが、GLP1受容体作動薬のいい適応かもしれない。注射に抵抗がなければだが。1ケ月分を処方した。

 気管支拡張症・慢性呼吸不全(HOT)の60歳代後半の男性に、今回検査で診断された直腸癌(肝転移・肺転移)の説明をした。手術は現実的に難しいが化学療法を受ける気があるか訊くと、受けると言う。院内の中心的な外科医に相談すると、切除手術適応はないだろうと言われた。癌で詰まる時、排便により貧血が進行するのであれば、硬膜外麻酔+腰椎麻酔で人工肛門増設はできるが、肝転移の大きさからみてそれも意味がない。化学療法、それも比較的にマイルドな方が無難という結論になった。

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精神的に不安定

2015年09月14日 | Weblog

 昨日の日直の時に20歳代後半の女性が意識障害ということで救急搬入された。当地に住んでいる兄のアパートに突然やって来た(自分で車を運転して来た)。問いかけに答えず、トイレに入ってから倒れた。呼びかけても答えないため、兄が救急要請した。

 確かに傾眠状態のようになっている。時々開眼したが、また目を閉じてしまう。問いかけても発語はなかった。頭部CT・胸部X線・心電図・血液検査を行ったが異常はなかった。点滴しているうちに、少しずつ良くなって車椅子でトイレに行けた(なかなか出てこなかったが)。県庁所在地の実家から母親がやってきた。仕事のことで悩んでいてと言う。左前腕にリストカットの後が5本くらい付いていたが、最近のではないようだ。ふらふらするので、一晩入院させてほしいと母親が言うので短期入院扱いで入院とした。必ず母親が付き添うという条件を付けた。

 今朝から嘔気を訴え、興奮していたそうだ。そうだと言うのは、その間病棟の看護師さんが対応してくれていて、病院に出てきてから報告を聞いたから(忙しい医師を夜間~早朝に起こさない配慮)。有症状時の指示をうまく選んで、安定剤や制吐剤を投与していた。病室に行ってみると、興奮は少し治まっていたが、時々気持ち悪いと叫んでいた。このまま精神科につなげた方が良いと判断された。

 以前、睡眠薬を過量に飲んで救急搬入された総合病院に電話してみた。精神科医は出ずに、相談員が出た。外来初診では受けていないという。精神科救急を大々的に行う予定と新聞に出ていた病院だが、体制はまだ整っていないのか、この程度では軽すぎるということなのか。診てもらえそうなお勧めの精神科病院を訊くと、そこは親切に電話番号まで教えてくれた。

 一番目に言われた精神科病院に電話すると、やはり相談員の方が出た。事情をお話しすると、診てもらえることになった。ただ救急搬入は避けてほしいという。両親が来ていたので、父親が自家用車を運転して、母親が後部座席で支える形で行ってもらうことにした。病棟から駐車場の車まで、車いすを出した。

 リストカットだからボーダーラインと短絡的に結び付けるのはまずいのかもしれない。病名をどうしていいかわからないが、何かつけなくてはならないので、当院の入院病名はとりあえず心因反応としておいた(紹介状には病名は記載しなかった)。

 当地の高校看護科で講義を少ししているが、私の後の講義は精神科の講義だったことがあり、その紹介した病院から若い精神科医が来ていたのを思い出した。2年前くらいにヒステリー発作で頻回に来ていた当地の女子高生は最近来ていないが、進学してこちらにはいないのかもしれない。

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けいれん発作

2015年09月13日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。神経内科外来に通院している40歳代半ばの男性(精神遅滞・てんかん)が高熱・痙攣で救急搬入された。搬入後に20~30秒の痙攣があって、その後に1分以上痙攣が続いて、セルシン注を行っておさまった。デパケンとイーケプラを内服しているはずだが、デパケン(パルプロ酸)の血中濃度は測定感度以下できちんとは内服していないようだ。ホストイン注の初期量投与を開始した。

 この方は兄と弟との三人暮らしだった。普段から転倒してあちこち打撲しているが、昨日は右額部を打撲して傷ができていた。発語はなく、会話は成り立たないそうだ。歩行も通常の歩行ではないのかもしれない。幸いに頭部CTでは頭蓋内に異常はなかった。救急要請した弟は仕事をしているが、兄はしていないという。薬はその兄が飲ませているというが、患者さんほどではないが理解力に問題があるのかもしれない。

 発熱の原因検索を行ったが、肺炎はなく、尿路感染もなかった。打撲症+切傷だけでも原因になる可能性はあるのかもしれない。炎症反応上昇はごくわずかだった。Fever work-upとして、血液培養・尿培養は提出した。以前、痙攣で神経内科に入院した時も病棟での不穏がひどく、すぐに退院になっていた(神経内科医は来週半ばまで夏休み中)。

 病棟に入院後に診に行くと、ベット上で動き回っていた。家族(弟)の方からも抑制が必要なことを言われたそうだ。明日ちゃんと食事をとれるようなら、早期に退院させるしかないだろう。精神科病院の管理の方がいいような気はする。いざという時に入院させてくれるかもしないから。

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直腸癌

2015年09月12日 | Weblog

 気管支拡張症・慢性呼吸不全で在宅酸素療法を受けている60歳代後半の男性が、肺炎を併発して内科クリニックから紹介された。入院後は抗菌薬投与で軽快して、治癒退院の予定だった。喀痰培養で緑膿菌が検出された。入院中に排便時に血液が付着して、それは半年前からあるという。 直腸指診でがっちりと腫瘤(癌)を触れて、直腸癌だった。

 下部消化管内視鏡・上部消化管内視鏡・胸腹部造影CT・スパイロ・心エコーと検査と進めた。肝臓に転移があり、肺にも小結節があり、転移と思われる。スパイロは当然混合性障害がある。心エコーによる心機能評価だけは正常だった。来週の外科カンファランスに検査をした消化器科医が出すことになっているが、手術は難しそうだ。肺の問題がなければ、当然手術を行って、術後化学療法になるはずだが、麻酔科・外科はどう判断するか。

 一人暮らしで連絡する身寄りはない。何かあったら、市役所の担当者に連絡することになっていた(入院時に挨拶に来ていた)。本人に病状をお話して今後のことを決めることになる。

 昨日高血圧症で通院している80歳台半ばの男性が、腹痛が1週間に2回あったと内科新患を受診した(受診時には腹痛なし)。昨年末に黄疸で受診して、胆嚢結石・総胆管結石と診断された。内視鏡的総胆管結石摘出術を基幹病院消化器科に依頼した。その後いったん退院となって、外科でラパ胆を行うよう勧められたが、断ってしまった。今回は肝機能障害・炎症反応上昇はなかった。腹部エコーでも胆嚢炎の所見はなく、胆嚢結石そのものによる心窩部痛だった。家族が基幹病院に連絡したそうだが、ふだん通院している当院を受診するように言われたそうだ。手術に同意したので、当院の外科で手術することにした。胸部・腹部X線、心電図、スパイロ、心エコー、上部消化管内視鏡検査と一気に検査して、来週腹部造影CT(外科に相談したら時間が経過しているのでもう1回するよう言われた)を行って外科紹介にすることにした。

 以前この患者さんの居住地の病院にいて、当院に移った。しばらくして、ひょっこり当院を受診してきて、その後継続して通院している。高血圧症の治療だけなので、近くで診てもらうよう勧めたが、そのまま通院している。理由はなじんでいるからだそうだ。

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脳室内出血

2015年09月11日 | Weblog

 20歳代前半の看護師さんが早朝に頭痛で救急外来を受診した。当直は外科医で、受診時に過呼吸になっていたことから、勤務のストレスかなあと思うながら念のため頭部CTをとった。結果は脳室内に出血を認めた。脳出血ではなく、くも膜下出血とも言い難い。脳動脈瘤破裂による脳室内出血なのだろうか。頭部MRIまでは撮影せず、脳神経外科のある病院へすぐに救急搬送した。当直医もまさかの結果で驚いていた。看護師さんが勤務する病棟の医師たちも驚いていた。3日前に病棟の歓迎会でいっしょに飲んだばかりだそうだ。何とかうまく治療してもらって、できるだけ後遺症が少ないことを祈るしかない。

 大雨の影響が県内に出ている。当地域は幸いに被害が少なかったが、大きな被害を受けた地域では地元の病院だけで対応できない可能性が出てきた。病院のDMATに待機の指示が出て、遠方から当院に入院依頼が来るかもしれないという。DMATのうち病院に残る係りの先生が連絡窓口になって、各科に診療を依頼することになった。週末は通常の体制とするが、受け入れが多い時に応援を呼び出す(2番目、3番目まで)ことを確認した。内科新患担当の大学病院からの応援医師が渋滞に巻き込まれて送れたので(午前11時に到着)、その間外来を診ていた。同じ距離を通勤しているが、当方は混まない経路で来るので、普段より15分の遅れで病院に着いた。

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透析患者さんの糖尿病治療

2015年09月10日 | Weblog

 透析を受けている70歳代後半の男性が低血糖で入院して、透析を担当している先生(外科医)にインスリンの調整を依頼された。就寝前に何故か混合製剤が入っていたので、それを持効型少量に変更した。まずますの血糖で退院可能だが、もともとパーキンソンがあって動きが悪いため、家族がリハビリをされたので、まだ入院している。

 先日は別の外科医に糖尿病性足壊疽で入院して、処置を受ける60歳代後半女性の血糖コントロールを依頼された。この方は糖尿病腎症で透析を受けている。超速効型インスリンを毎食前になっていたが、空腹時血糖が200~250mg/dlで日中400台になることもあった。以前はHbA1cが7~8%台だったが、数か月前から10%以上になっていた。膵癌の併発はないようだ。

 自分が担当して糖尿病腎症から透析になった患者さんはここ10年で1名しかいない。数年後に透析になりそうな患者さんは3名いて、自分が診ているうちには透析導入にしたくない。他の病気で入院した時に担当することはあるが、透析患者さんを直接診ることはないので、実は透析患者さんの糖尿病治療はあまり経験がない。

 当院で透析担当の腎臓内科医が退職してしまい、大学病院の専門医と、透析に詳しい外科で移植をやっていた先生が透析の診療を担当している。常勤の透析医の確保が一番の課題だ。

 (透析患者さんの糖尿病治療)

 透析患者ではHbA1cが低値になる傾向があり、参考程度。透析開始前に随時血糖180~200mg/dl、グリコアルブミン(GA)値(基準値11~16%)20%未満を目標とする。心血管イベント・低血糖傾向があればGA値24%未満。ただし、ネフローゼ症候群ではGAは低値となる。

 透析液中のブドウ糖濃度は0~150mg/dlで、透析前血糖が高値の場合、透析中に急速に血糖値が低下し(透析液中にブドウ糖が拡散)、透析直後に血糖が著明な高値になることがある。透析中に血中インスリン濃度が低下するため、透析後の高血糖を防ぐため、透析後のインスリン追加投与を要することもある。透析日と非透析日のインスリン投与量と投与時間を変更することもありうる。

 DPP-4阻害薬は、ジャヌビア・ネシーナ・・スイニーは減量慎重投与、エクアは常用量を慎重投与、トラゼンタ・テネリアは常用量で使用。α-GIはベイスン・グルコバイが常用量で、セイブルは慎重投与。速効型インスリン分泌促進薬は、スターシス(ファスティック)が禁忌で、グルファスト・シュアポストが慎重投与。アクトスは禁忌。SU薬も使いにくい。

 とりあえず、無難なトラゼンタ5mgを投与して、追加するならグルファスト、あるいは超速効型インスリンを少量から、それで空腹時血糖が高い時は持効型をごく少量併用する。透析による影響を考慮しながら、ちょっと高めくらいでというところか。まず食前血糖150~200mg/dlまで下げてみよう。腎臓内科でGAを想定しているのを見たことはない(たぶん)。

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