なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

慢性閉塞性肺疾患の急死

2014年05月08日 | Weblog

 79歳男性が、基幹病院の呼吸器科からの紹介でリハビリ目的で当院に転院した。もともと慢性閉塞性肺疾患(肺気腫)があり、診断がついた10数年前に禁煙はしたが、すでに気腫性変化があり、肺炎の併発で何度か入院したそうだ。今年の3月に呼吸困難で同院に入院したが、気胸を併発して、呼吸器外科のある病院へ転院して肺部分切除術を受けた。その後戻ってきたが、低酸素血症・高炭酸ガス血症があり、労作時といったも少し動いただけで息切がするし、手術前後に臥症状態が続いたための筋力低下もあって廃用症候群になっていた。

 そこでベットの空きがある、いつもの当院へリハビリ目的で転院となった。食欲はあって、意欲もあったが、なにしろ息切れで1か月経ってもリハビリが進まなかった。実際はベットサイドのポータブルトイレに移動するのが、やっとだった。介護保険を今回申請して今月末に認定のめどがたり、自宅にベットを入れて療養生活をする準備をしていた。感染の併発などで増悪した時は人工呼吸を要するので、その時は紹介先の呼吸器科へ転送するつもりだった。人工呼吸は気胸の再発を覚悟しなければならない。

 連休最後の5月6日に少し酸素飽和度が少し下がって、安静時の酸素量を労作時の酸素量(1L増量)に上げていた。7日にはそれで酸素飽和度は正常化して、発熱もなく食欲も普通で自覚症状としては変化がなかった。また明日にでも酸素量を戻そうと思っていた。ところが、昨日夜に急に呼吸停止となり、結局そのまま戻らず、死亡確認になってしまった。肺炎が併発していたのかもしれないが、わからなかった。特に呼吸困難・胸痛はなかったので気胸の再発ではないだろう。家族には大変申し訳ない結果になってしまった。

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病棟の下痢患者

2014年05月07日 | Weblog

 連休(先週)前から病棟で下痢の患者さんが数人出て、検査が行われた。ノロウイルスとCDの検査が提出されたが、前例陰性だった。施設入所中の寝たきり、あるいは胃瘻造設の患者さんで、誤嚥性肺炎で入院している。抗菌薬投与がなされていて、そのための下痢の可能性もある。中止できる人では肺炎で投与した抗菌薬を中止した。入院する前から嘔吐下痢があった患者さんもいる。同じ施設に入所している患者さんがいて、持ち込み感染かという声もあった。

 その病棟に新規の入院患者さんを入れないようにして、経過をみることになった。整腸剤のみ症状のあるほぼ全員に処方された。もっとも胃瘻からの注入が多いが。できる範囲で隔離も行う。感染管理の看護師さんが、感染管理をお願いしている大学の先生の指示で大活躍していた(いちおう院内に感染管理委員会はある)。

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急性薬物中毒

2014年05月06日 | Weblog

 昨日病院で夜に入院した患者さんを診察して医局に戻っていると、当番の先生(入院があった時の内科系の当番)が急性薬物中毒の患者さんの話をしていた。30歳代女性で、ふだんは精神科病院に通院している。その病院から処方されている、テグレトールとセパゾンとリスパダールを1週間分いっぺんに飲んだそうだ。飲んでから3時間経過して受診しているので、時間が経つともっと上昇する可能性が高い。消化器科医なので、というわけでもないのだろうが、NGチューブを挿入して胃洗浄を行って活性炭を注入した(その後嘔吐した)。3時間目の胃洗浄は効果があるかどうかわからない。じぶんだったら、やらなかったかもしれない。以前薬局に聞いたら、活性炭は置いていないという返事だったが、その後に購入したとも思えないので、前からあったのだろう。

 急性薬物中毒だと、連休中でなくても、その精神科病院で引き受けることはない(150床くらいの精神科の単科病院)。都心だったら、精神科救急で薬物中毒にも対応している病院があるのかもしれないが、地方では最寄りの病院が引き受けて、それなりに対応するしかない。テグレトールだと、不整脈が危惧されると言って、病室に上がっていった。

 受診した時は、病歴や経緯をしゃべっていたそうだが、その後薬の効果が出てきて寝てしまった(意識障害に陥ったと言うべきだろう)。それにしても、この患者さんの病名は何だろうか。年齢的には統合失調症かと思ったが、テグレトールが入ってるとよくわからない。

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夜に入院2名で病院へ

2014年05月05日 | Weblog

 昨夜は循環器科医が当直だった。夜に2名入院していて、今朝連絡がきた。ひとりは60歳女性でBPPVだった。昨日朝起床時から回転性めまい(頭位変換時)が起きて、自宅で経過をみていたが、症状が続いて受診した。頭痛・耳鳴・難聴はなく、頭部CTは異常なし。短期入院で経過をみることになった。小脳脳幹部梗塞などの鑑別には頭部MRIが必要だが、今朝には症状が軽快しているので、大丈夫だろう。明後日の連休明けに仕事があるので、明日の症状がさらに良くなれば退院したいという。病棟の看護師さんに、その辺の手続きについて指示を出しておいた。

 もう一人は87歳男性で、循環器専門の内科クリニックに心房細動・心不全(僧房弁・大動脈弁置換術後)で通院している。利尿剤がラシックス20mg・アルダクトンA50mg・ダイアート30mgと三種類処方されていた。アリセプト・メマリーの処方もあり、アルツハイマー型認知症もある。数日前から食事がとれなくなって受診していた。それなら日中に受診してもらえばいいのだが、まあ家族の事情があるのだろう。昨日から500mlの点滴が持続で入って、今日は食事がしたいという。昼に全粥刻み食を出したら1/3くらいは食べた。このまま1日500mlの点滴で数日経過をみていいようだ。奥さんに聞くと、循環器科の薬は適当に飲んでいて、けっこうあまっているが、先生には言ってないという。利尿剤の効きすぎによる脱水症ともいえない。心電図では判定しがたいが、CK・LDH・ASTの上昇がある。心筋障害が加わった可能性があり、慎重に経過を見る必要がありそうだ。循環器科で入院させてもらいたいところだが、高齢認知症ということで内科入院になった。

 特に予定もないので、午後は病院で看護科の講義の準備をすることにした。大した用もないのに、病院にダラダラといるのも嫌いではないというのは、古い世代だからだのだろう。

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今日は日直ー肺胞低換気

2014年05月04日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。小児科医もいるので、内科(成人)のみの診察になる。受診数は小児科の方が多い。施設に入所している65歳男性が誤嚥性肺炎で受診した。約20年前に脳出血(橋出血)で倒れて、何か所かの病院を経て施設に入所していた。胃瘻による経管栄養を受けていて寝たきり状態だった。うなるくらいで発語はない。血液ガスをみるとPaO2が60mmHg・PaCO2が90mmHg・pH7.35(酸素0.5L/分)だった。COPDらしさなはない。体格は肥満があり、肺胞低換気のようだ。舌根沈下があって、経鼻エアウェイを挿入するといびき音は軽快した。入院治療としたが、どこまで治療をするかの判断が難しい。

 連休中らしく、首都圏から行楽にきた30歳代後半の女性(ダウン症)が家族と受診した。車で山から下りてくる途中から嘔吐が始まり、受診時も断続的に続いていた。興奮して過換気になっていた。今日屋外で活動するには暑かったのではないか。点滴とプリンペラン静注に、少し迷ったがアタラックスPの点滴静注も入れて経過をみることにした。

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発熱と関節痛ー成人発症Still病?

2014年05月03日 | Weblog

 昨日看護科の講義が終わって、医局に戻って休んでいた。麦茶を飲みながら(インスタントの水出し)、連休中に読みたい医学書をどれにしようかなと考えていると、内科の若い先生が、Still病らしい患者さんがいますと報告に来た。医局にあるコンピュータの画面で検査結果を見ながら、経過をきいてみた。2週間くらい前から発熱が続いているそうだ。当院に入院して8日が経過していた。

 まず糖尿病で通院している内科クリニックを受診した。風邪でしょうと言われて、処方を受けた。上気道症状はなかった。これを風邪といってはいけないが、数日は発熱で重症感もなけれれば、いきなり精査はしないだろう。発熱が続いて、他の内科医院を受診した。そこから当院へ尿路感染症として紹介された。この先生は発熱が続いて肺炎がないと、尿路感染症として紹介する。当院受診時の尿検査は、尿糖(4+)、尿蛋白(1+)以外に異常はなかった。すでに抗菌薬と投与されていた。頭痛・胸痛・腹痛はない。白血球数増加(13000~16000で推移)とCRP30と上昇していた。血清蛋白が軽度に低下していた。胸腹部CTで両側肺に今日吸い貯留が軽度になった。浸潤影らしくはない。血液培養は陰性だった。心エコー(経胸壁)で異常はなかった。抗菌薬と投与して、途中で変更していたが、発熱が続いて炎症反応は横ばいだった。そのうち関節炎の症状が出てきた。両側の膝関節(左が強い)の腫脹・熱感(軽度)があるが、発赤はない。藤関節・肩関節も少し痛い。

 リウマチ・膠原病のマーカーをひと通り出したが、いずれも陰性だった。NSAID内服は無効だった。昨日血清フェリチンを測定したら3万を越えていた。血清鉄は低下して、二次性と思われる正球性貧血(Hb10くらい)があって、白血球分画では好中球増加で芽球などはない。ただサーモンピンク疹はない。これまでの経過でもなかったらしい。病室に患者さんを診に行った。膝関節が痛いので、ベット上でじっと仰向けに寝ていた。確かに発疹はなかった。食欲はないが、半分くらいは食べている。咽頭痛はなかった(問診上)。肝機能障害が少しずつ悪化しているが、薬剤性も否定できない。リンパ節腫脹と脾腫はない。

 成人発症Still病疑いとして、(他院の)リウマチ膠原病科に紹介するところだが、連休直前の夕方だ。実はその日からプレドニンを開始していた。内服で30mg入れて、その後点滴で20mg追加したという、迷った気持ちが出ている。他に考えようもないし、連休中はプレドニン50mgで経過をみて、連休明けに改善していない時は、リウマチ膠原病科へ紹介する方針とした。

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看護科に講義に行く

2014年05月02日 | Weblog

 昨日施設入所中の79歳女性が発熱と痰のからみで受診した。大学の応援医師が診察して、胸部X線・血液検査をした。明らかな肺炎はなく、白血球数が少し上昇しているが、CRP1だった。酸素飽和度は正常で、血液検査で腎機能障害など特には異常ない。経口抗菌薬投与で帰宅となった。午後から内科外来の看護師さんに事情を聴いて、これは戻ってくるなあと予想していた。

 今日になって、痰がからんで施設では吸引できないので、連休中入院させてもらえないかと連れてきた。この患者さんは先々月に誤嚥性肺炎で入院して、それ以前から嚥下障害が進行して経管栄養の話がでていたこともあり、胃瘻造設して経管栄養を開始した。順調に経過して先月初めに施設に戻った。まあ発熱が続いたら誤嚥性肺炎だろう。胸部CTで確認してみると、肺や末梢に軽度だが、浸潤影があり、入院治療で経過をみることにした。

 今日は高校の看護科(専攻科なので短大1年生相当)の講義があった。担当は血液疾患だ。以前病院にいた腫瘍内科医がやっていたが、そのあとを引き継いだ。わかりやすい講義にして、国家試験問題が解きやすいように、試験問題からみたまとめのプリントを作成している。パワーポイントできれいな絵をみせて行いたいと思いつつ、いまだに実行していない。看護師さんも覚えることが多くて大変だ。3回の依頼だったが、時間がないので2回で終わらせてもらうことにしていて、今回が血液の基礎と貧血で、次回が白血球と血小板の話になる。

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深部静脈血栓症

2014年05月01日 | Weblog

 今日は、自宅で経管栄養を受けている81歳女性と、施設入所中の83歳男性が、誤嚥性肺炎で入院した。もうひとり80歳代の女性も誤嚥性肺炎で入院して、内科の若い女性医師が主治医になった。当院内科のいつもの風景だ。

 外来に通院して定期的に輸血を受けている78最女性のCT検査で、放射線科医から連絡が来た。最初は何のことかわからなかったが、名前を聞いて思い出した。当院に腫瘍内科医がいたころに。多発性骨髄腫で化学療法を受けていた。その先生が当地域の基幹病院に転勤になってからは、そちらに通院して治療を継続していた。その後、化学療法の効果が望めなくなり、貧血に対する輸血だけを定期的に行うようになって、当院外来で診るようにと戻ってきた。腫瘍内科の医局から外来応援で来ているので、その外来に合わせて通院していた。汎血球減少症が続いているが、患者さん本人は案外元気だった。

 2~3週間前から右下肢の浮腫が続いていた。今日定期の外来受診日で、外来担当医が念のため、深部静脈血栓症の可能性を否定するためと、造影CTをオーダーしていた(先生自身は午前中で帰っていた)。実際は下肢のf浮腫に左右差があり、特に動悸息切れはなく。心不全ではない。造影CTで右大腿静脈に血栓が認められた。放射線技師から放射線科医に連絡がいって、血管外科医も画像を見たそうだが、基礎疾患が骨髄腫で汎血球減少症があるので、「当科で診ましょう」とはならなかった。幸いに肺血栓塞栓症は起こっていない。

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