なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

閉塞性肥大型心筋症

2023年04月24日 | Weblog

 4月15日に記載した70歳男性のその後。

 4月11日に転倒して後頭部を打撲して、外傷性くも膜下血腫・急性硬膜下血腫・脳挫傷を来した。心電図でV1-3のST上昇があり、Ⅰ・aVL・V5-6でST低下・T波陰転化があり、トロポニンIの上昇もあった。

 地域の基幹病院循環器内科に連絡して搬送となった。脳外科と相談して、頭蓋内出血の経過を1日みたそうだ。出血の拡大がないのを確認して、心カテが行われた。左冠動脈前下行枝に90%の狭窄があり、PCIが施行された。

 心エコーで全周性の左室壁肥厚があり、右心カテの結果、閉塞性肥大型心筋症と診断された。道路で倒れていたのは、それによる流出路狭窄からの失神が疑われるということだった。

 そこまではよかったが、不穏(暴言・暴行)があり、入院継続が困難となった。退院も考慮されたが、一人暮らしなのでそれも躊躇われたそうだ。結局、精神科医が介入して抗精神薬が投与された。こんどは過鎮静になってしまい、誤嚥性肺炎を来して治療が開始された。

 

 4月17日に連絡が来て、転院を相談された。大分ご迷惑をおかけしたので、病棟と相談して翌々日に転院とした(翌日は同院から他の患者さんが転院予定だった)。

 すると、尿カテーテルを引きちぎって、先端が膀胱内に残り、泌尿器科処置が必要なので、3日後の転院にしてほしいと連絡がきた。3日後の4月20日に転院してきた。

 転院時は傾眠傾向になっていた。呼びかけると簡単な返事はするが、また目を閉じてしまう。ロナセンテープが2回貼付されていたので、とりあえず1枚に減量した。

 体幹抑制はしていたが、夜間に点滴を2回引き抜いて、四肢抑制も追加されていた。当院の看護師さんは慣れているので?、夜間に連絡は来ない。

 それでも翌日ははっきり開眼して、会話もできるようになっていた。日中と夜間で抗精神薬の量を変更することにした。転院前は内服も困難だったようだが、少量はできるので、夕にトラゾドン(デジレル)を入れたりして経過をみることにした。

 

 頭部CTでは両側の硬膜下水腫があり、内服が可能であれば、先方の病院で処方された五苓散を再開したい。胸部CTでは右肺に肺炎像があったが、思ったよりは軽快していた。

 転院した日に、叔父にあたる方と他県在住の弟さんが来てくれた。患者さんは地域の仕事をしていたが、物忘れがあり、できなくなっていたそうだ。

 最初の搬入時に、頭部CTで年齢の割に脳委縮があった。認知症(アルツハイマー型)が発症していたのだった。

 

 

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