なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

曖昧な診断のままで

2023年04月05日 | Weblog

 気になる患者さんがいて、別の先生の外来に通院している。現在91歳の男性で、貧血で通院していて輸血歴があるが、家族からもう輸血はいらないといわれている。

 

 2017年に市内の内科医院から当院に貧血で紹介された。Hb7~8g/dlで正球性からわずかに大球性の貧血で、鉄剤投与に反応しないので、という精査依頼だった。

 当時いた内科の若い先生が外来で診て、総蛋白9g/dl(血清アルブミンは3g/dl台)で免疫グロブリンが高値だった。多発性骨髄腫疑いで、がんセンターの血液内科に紹介していた。(IgG著増だが、IgAも高値でM蛋白ではなさそう)

 がんセンター血液内科では、「polyclonalな変化であり、多発性骨髄腫は否定的です」と判断された。「抗核抗体が2560倍と高値で膠原病が疑われるため、当地域の基幹病院の膠原病科に紹介しました」ということだった。(骨髄穿刺はしなかったようだ)

 当院からの紹介ではないので、膠原病科での結果は不明だったが、その後の家族への聴取からは「診断確定されなかった?」らしい。

 

 2020年には同じ内科医院から、肺炎で当院に紹介された。当時いた別の先生が担当した。肺炎・心不全として抗菌薬(スルバシリンABPC/SBT)と利尿薬投与して、軽快治癒している。

 卒後3年目の先生なので、当方に相談されたはずだが、上記の事情まで認識していなかったかもしれない。画像を見返すと、胸水に加えて心嚢液貯留もあって、これは肺炎の随伴症状らしくない。ただ肺炎・胸水の軽快と伴に心嚢液も軽快していた。

 

 この時もHb7.5g/dlで年齢的を考慮しても低いと思うが、肺炎・心不全の治癒後は内科医院に戻していた。(担当医は1年で移動)

 

 2022年に貧血の進行で当院を受診して、3月までいた内科の若い先生が担当して、がんセンター紹介のことなどを確認して、膠原病の検査も追加していた。

 抗核抗体は160倍と抗体値は低下していた。特異抗体として、抗Sm抗体陽性・抗SS-A抗体陽性・抗SS-B抗体も陽性だった。血球減少と漿膜炎をとると、ぎりぎりSLEとできなくもない。シェーグレン症候群としては、臨床症状がはっきりしない。 

「血液疾患は否定的で、膠原病は診断未確定」として、輸血で対症的に治療していた。2回輸血で入院して、家族から輸血はもうしなくても、ということになっていた。現在Hb5.7g/dlと低いが、それなりに食事摂取もできている。

 いまさらの感はあるが、SLEではという目で見直してもいいと思う。4月からは新任の内科医が担当になって、直接は関係していないのだが。

 

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