49歳女性が、4月6日に飼い猫に両手(右手背と前腕遠位、左手背)を引っ掻かれた。4市内の整形外科クリニックを受診して、創部処置と抗菌薬(セフカペンピボキシル=フロモックス)の処方を受けた。
4月8日になって、右手かた前腕全体の発赤・腫脹があり、当院へ紹介された。土曜日で、その日初めて日当直のバイトに着ていた若い内科医が診察した。右手の2か所に対して、左手は9~10か所も引っ掻かれているが、左手は熱感・腫脹・発赤はなかった。
受診時に発熱はなく、自宅でも少なくとも高熱はなかった。血液検査で白血球9900・CRP12.4と炎症反応の上昇を認めた。入院で抗菌薬点滴静注を行うことになった。血液培養2セットが提出されて、スルバシリン(ABPC/SBT)3gを1日4回投与が開始された。(担当はその日内科当番だった別の先生)
4日目に右足関節痛が出現して、2日間の発熱といったん軽減したCRPの再上昇を認めたが、その後は発熱はなくなり、炎症反応も軽快している。
プラチナマニュアルによれば、ネコひっかき病cat scratch disease(CSD)だと、菌はBartonella henselae。(唾液中にも菌がいる)CSDは自然治癒するが、アジスロマイシン(AZM)500mgを3日間使用とある。
イヌ、ネコの咬傷だと、菌はPasteurelka multocidaで、抗菌薬はアンピシリン/クラブラン酸(AMPC/CVA)、ドキシサイクリン(DOXY)、レボフロキサシン(LVFX)。口腔内嫌気性菌の混合感染になるので、実際はAMPC/CVAやABPC/SBTを用いることになる。
この患者さんは手荒れがひどく、ネコが保菌している菌の問題か、蜂窩織炎としての菌(連鎖球菌、ブドウ球菌)によるかわからない。後者?。
今回初めて日当直のバイトに来てくれた先生は、普段は東京都内の超有名病院で内科専攻医をしている。土日の入院指示を入れてくれていたので、入院の主治医となった先生は月曜日から診ていた。
入院の許可をもらうのに電話連絡が来ただけで会ってはいないが、電話の感じもよく、対処もしっかりしていると褒めていた。
(血液培養は2セットとも陰性だった)