なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

腰椎圧迫骨折

2023年04月11日 | Weblog

 4月6日木曜日に病棟のベット表を見た時に、外来通院している66歳男性が整形外科に入院しているのに気づいた。

 10日前から特に誘因がなく腰痛が出現して動くのが困難になった。整形外科外来(新任医)を受診して、家庭の事情もあり、入院を希望したのだった。

 腰椎圧迫骨折は、腰椎単純X線だと良くわからないが、腰椎MRI脂肪抑制T2強調画像だと良くわかる。(CTだと新旧の鑑別が難しいが、MRIだとそれもわかる)

 

 内科にはパーキンソン症状+認知症で通院している。家族は、施設で介護の仕事をしている40歳代の妻と妻の母親(車椅子使用)だった。

 2年前に内科の新患を受診して、外来担当の若い先生(卒後3年目の終わりごろ)から相談された。いつからか正確にはわからないが、少なくとも2年以上前から四肢の動きが悪くなり、仕事ができなくなっていたそうだ。その間、病院を受診していなかった。

 動きが悪くなってきても受診しなかったというのは、認知力低下があったと思われる。やっと受診させた家族の対応もよくわからないが。

 四肢の動きが悪いのは麻痺ではなく、運動調節障害でパーキンソン症状の無動(寡動)だった。筋強剛と振戦もあった。認知力低下があり、それが先行したが、少なくともパーキンソン症状と同時期に進行していたらしい。

 幻視と睡眠時の異常もあった(大声で叫ぶ+行動異常も)。パーキンソン病で認知量というよりは、レビー小体型認知症が疑われた。

 パーキンソンを伴う患者さんはうつ状態の印象があり、この患者さんもそういう印象はある。それとは別に、のらりくらりという感じで、もともとの性格的なものと思われる反応の仕方があった。

 脳神経内科医に相談したが、そののらりくらりが気に入らなかったらしく、「内科で診てよ」となった。(割とありがちな対応ではあった)

 睡眠時の行動異常に対して、一時的にクエチアピンを使用したが、その後は不要となった。クロナゼパムだけでいいと、家族から言われた。

 少量のレボドパ製剤だけで動きは良くなっていた。不安定さはあるが、自力歩行で通院していた。認知力障害があり、通院時は、仕事を休めない妻の代わりに、妻の母親がいっしょに来ていた。

 身体的には良い患者さんが、身体的には良くないが頭はしっかりしている妻の母親の車椅子を押して受診するという、不思議な受診形態だった。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする