なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

頭蓋内出血~転倒の原因?

2023年04月15日 | Weblog

 4月11日火曜日の午後0時半すぎに、救急隊から搬入依頼が来た。歩道上に倒れていた70歳男性を通行人が発見して救急要請してくれたそうだ。

 会話は可能だが、立てないようだという。救急隊員との会話が聞こえてきた。四肢の麻痺の有無を訊いたが、それはなさそうだ。来てもらうことにした。

 この方は一人暮らしで、離婚歴があった。子供はいるが、他県(関西)にいる。兄弟は隣の県に居住していた。民生委員がかかわっているが、その日は出かけていて来られないので、ふだんの様子はわからない。(後で今年は会っていないという親族の方が来ていた)

 

 搬入時、普通に会話は可能だった。生年月日と名前ははっきりと言える。ただ年齢は訊くと、答えられなかった。当院の名前の知っている。4月はわかるが、何日まではわからないという。(答える時に妙にハキハキした印象があり、元自衛隊員だった)

 朝起きて、朝食をとったことは覚えているが、何故外出して道路を歩いていたのかはわからないという。倒れた時のことも覚えていない。年齢の割に脳室拡張があり、前頭葉が萎縮しているように見える。認知力低下がもともとあった?。

 四肢の麻痺はない。運動調節障害(運動失調)もなさそうで、立てないわけでもないようだ。頭痛があるが、それは左後頭部のこぶ(皮下出血)のところだった。

 バイタルは血圧が240/170mmHgと著しい高値だった。高血圧を指摘されていたらしいが、治療は受けていない。頭蓋内疾患のためか、逆に高血圧性脳症なのか。

 点滴を入れて血液検査を提出して、頭部CTを行った。左後頭部の対側である右前頭葉にクモ膜下出血と脳挫傷疑いの所見がある。MRIは予約の検査が続いているが、待っていればできると言われた。

 いったんは脳外科のある病院で診てもらいたいが、このくらいだと保存的にみるだけなので、むずかしいかもしれない。救急室に戻って、ルーチン検査として心電図をとると、V1-3でSTが上昇していた。3-4mmの上昇なので、有意と思われる。ただ胸痛は何度聞いてもなかった。

 血液検査でトロポニンIとCK-MBが軽度に上昇していた。急性心筋梗塞の発症が疑われた。無痛性?。そもそも急に倒れた原因がわからないが、心臓発作なのか。心電図モニターでは正常洞調律で不整脈は認めない。

 

 地域の基幹病院の循環器内科に連絡して事情をお話した。心電図を送ってくださいということで、地域医療連携室からFAXしてもらった。

 MRIが空いたので頭部MRIも行った。薄く右硬膜下血腫もできていた。陳旧性のラクナ梗塞と微小出血の所見もあった。

 循環器内科から地域医療連携室に患者さんを搬送するよう指示が来て、救急搬送となった。循環器内科と脳外科のある病院の扱いとなってほっとした。急性期を過ぎて療養入院が必要な時はこちらで引き受ける。

(著しい高血圧で、治療としてはニカルジピンの静注だけ行った)

 

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