なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

急性心不全

2023年04月27日 | Weblog

 火曜日は新任の整形外科医が当直をしていた。午後7時半ごろに発熱・脱力で90歳男性が救急搬入された。

 3日前からかぜ(と思われる)症状があったそうだ。日中にデイサービスに行って38℃台の発熱を指摘されている。帰宅してから様子をみていたようだが、トイレに行ってから立ち上がれなくなって要請したという経緯だった。

 患者さんは心筋梗塞の既往があり、慢性心不全で他院に通院している。心臓ペースメーカー植え込み術後でもあり、何らかの徐脈性不整脈があったのだろうが、詳細はわからない。

 酸素飽和度は80%後半で酸素吸入が開始されていた。飽和度が90%程度で、救急室の向かいにある放射線科に移動して、CTが施行された。

 CTから救急室に戻ると、酸素飽和度が60%に低下した。気管挿管を行って用手的に人工呼吸を行うと飽和度が改善した。人工呼吸器管理が必要なため、地域の基幹病院に連絡すると、受けてもらえた。院内にいた先生(現在は内科を診ているがもともと外科医)が同乗して搬送となった。

 

 この先生は、当院では初めての当直になる。前の病院では年齢と立場から当直はしていなかったようだ。翌日に事情を知った先生方から「大変でしたね~」と労われていた。

 撮影された胸部CTをみると、両側肺野に肺うっ血~水腫の陰影があり、胸水もある。いわゆる肺炎・心不全だが、感染をきっかけに心不全が増悪したようだ。

 日中であれば当院で人工呼吸器管理を開始することはできた。ただそういう患者さんがひとり入ると、病棟の看護業務が厳しいことになってしまう。

 

 整形外科医は県内有数の病院に勤務されていたが、ご本人の言によれば「セミリタイア」として当院に来たそうだ。手術はもうしないで、主に外来診療をゆったりとしたいという希望だったようだ(脊椎圧迫骨折や骨折後のリハビリは入院で診る)。

 実際は体制が整えば手術をお願したいということになって、転任の思惑とは違う方向に進んでいる。

 以前、長年当院の整形外科に勤務されて、定年退職後に小規模病院に行かれた先生がいた。定年前の数年間は手術は若い先生方に任せていて、リハビリだけを診ていた。行かれた病院では手術を期待されて思惑が外れた、ということだった。

 

 

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