今回ご紹介するのは「太陽のパスタ、豆のスープ」(著:宮下奈都)です。
-----内容-----
結婚式直前に突然婚約を解消されてしまった明日羽(あすわ)。
失意のどん底にいる彼女に、叔母のロッカさんが提案したのは”ドリフターズ・リスト”(やりたいことリスト)の作成だった。
自分はこれまで悔いなく過ごしてきたか。
相手の意見やその場の空気に流されていなかっただろうか。
自分の心を見つめ直すことで明日羽は少しずつ成長してゆく。
自らの気持ちに正直に生きたいと願う全ての人々におくる感動の物語。
-----感想-----
結婚式の直前に突然婚約を解消される。。。
実は以前、ブログ友達が似たような記事を書いていたことがありました。
ブログ友達の弟さんが「結婚」に対してナーバスになってしまったらしく、幸い婚約を解消するような事態にはならなかったものの、ちょっと混乱があったようです。
なので「結婚式直前に突然婚約を解消されてしまう」という一見とんでもないような話が「意外とあり得るのかも…」とも思い、興味を持ったので読んでみることにしました。
最近注目している宮下奈都さんの作品というのもあります。
物語の主人公は、明日羽という20代後半のアラサー女子。
突然婚約を破棄されて失意のどん底にいる彼女に、叔母の六花(ろっか)さんが勧めてきたのが「ドリフターズ・リスト」の作成。
ドリフターズとは「漂流者」という意味とのことで、ドリフターズ・リストとは漂流する者の指針になるリスト。
茫然自失状態の明日羽には、そういった「やりたいことリスト」が必要だと叔母のロッカさんは考えたようです。
お笑いのほうのドリフターズをもじっての二人のやり取りはちょっと面白かったです。
あまり乗り気ではないながらも明日羽が作成したリストとともに、物語は進んでいきます。
そのリストに沿い、引っ越しをしたり、髪を切ったりしていく明日羽。
リストはちょくちょく書き足されたり削除されたりして変わっていきます。
その過程で色々なことが起き、どん底にあった明日羽の気持ちも少しずつ変わっていきました。
幼馴染みの美容師・京(きょう)に髪を切って貰ったり、京と一人暮らしの料理対策で「鍋」を買いに行ったり。
その京に紹介して貰った美容エステに行って、そこに現れたオーナー兼エステティシャン・桜井さんの気品高さや優雅な立ち居振舞いに圧倒されたなんてこともありました。
それと、何と言っても忘れてはならないのが、叔母のロッカさんの存在。
たびたび明日羽の前に現れては、その突拍子もない言動で明日羽を振り回していました。
でもこの飄々とした感じのロッカさん、一見何も考えていないように見えて、実は明日羽のことをよく見ていてくれました。
夕御飯をご馳走になるのが目的で明日羽のアパートに来るような日も度々でしたが、何気なく明日羽の話を聞いているようでいて、その実親身になって考えていてくれたと思います。
「あすわー、いるー?」とアパートの部屋を訪ねてくるのが作中恒例行事のようになっていました(笑)
---------------
「あのさ」
ドアを押して出ていきながらロッカさんが言った。
「がんばらなくてもいいんだけども」
「うん」
「あんたは自分で思うよりがんばってるよ」
「そうかな?」
「……たぶん」
どうせなら断言してよ、と思ったときにはもうドアは閉まっていた。
---------------
とかのやり取りも良い感じでした。
失意のどん底にいた人が、再び気力を取り戻していく物語。
文体も等身大で、心の中で思っていることをそのまま吐露している感じでした。
それが明日羽の悩める心そのもので、とても分かりやすく、読んでいて色々共感するものがありました。
全く何も悩まない人はほとんどいないでしょうし、多かれ少なかれ人は何かしら悩むもの。
明日羽の場合は一度失意のどん底まで行ったのですから、立ち直るのは容易なことではありません。
そこから再び前向きになるまでが丁寧に描かれていて、「頑張れ!」と声援を送りたくなるような、そんな小説でした。
※図書レビュー館を見る方はこちらをどうぞ。
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-----内容-----
結婚式直前に突然婚約を解消されてしまった明日羽(あすわ)。
失意のどん底にいる彼女に、叔母のロッカさんが提案したのは”ドリフターズ・リスト”(やりたいことリスト)の作成だった。
自分はこれまで悔いなく過ごしてきたか。
相手の意見やその場の空気に流されていなかっただろうか。
自分の心を見つめ直すことで明日羽は少しずつ成長してゆく。
自らの気持ちに正直に生きたいと願う全ての人々におくる感動の物語。
-----感想-----
結婚式の直前に突然婚約を解消される。。。
実は以前、ブログ友達が似たような記事を書いていたことがありました。
ブログ友達の弟さんが「結婚」に対してナーバスになってしまったらしく、幸い婚約を解消するような事態にはならなかったものの、ちょっと混乱があったようです。
なので「結婚式直前に突然婚約を解消されてしまう」という一見とんでもないような話が「意外とあり得るのかも…」とも思い、興味を持ったので読んでみることにしました。
最近注目している宮下奈都さんの作品というのもあります。
物語の主人公は、明日羽という20代後半のアラサー女子。
突然婚約を破棄されて失意のどん底にいる彼女に、叔母の六花(ろっか)さんが勧めてきたのが「ドリフターズ・リスト」の作成。
ドリフターズとは「漂流者」という意味とのことで、ドリフターズ・リストとは漂流する者の指針になるリスト。
茫然自失状態の明日羽には、そういった「やりたいことリスト」が必要だと叔母のロッカさんは考えたようです。
お笑いのほうのドリフターズをもじっての二人のやり取りはちょっと面白かったです。
あまり乗り気ではないながらも明日羽が作成したリストとともに、物語は進んでいきます。
そのリストに沿い、引っ越しをしたり、髪を切ったりしていく明日羽。
リストはちょくちょく書き足されたり削除されたりして変わっていきます。
その過程で色々なことが起き、どん底にあった明日羽の気持ちも少しずつ変わっていきました。
幼馴染みの美容師・京(きょう)に髪を切って貰ったり、京と一人暮らしの料理対策で「鍋」を買いに行ったり。
その京に紹介して貰った美容エステに行って、そこに現れたオーナー兼エステティシャン・桜井さんの気品高さや優雅な立ち居振舞いに圧倒されたなんてこともありました。
それと、何と言っても忘れてはならないのが、叔母のロッカさんの存在。
たびたび明日羽の前に現れては、その突拍子もない言動で明日羽を振り回していました。
でもこの飄々とした感じのロッカさん、一見何も考えていないように見えて、実は明日羽のことをよく見ていてくれました。
夕御飯をご馳走になるのが目的で明日羽のアパートに来るような日も度々でしたが、何気なく明日羽の話を聞いているようでいて、その実親身になって考えていてくれたと思います。
「あすわー、いるー?」とアパートの部屋を訪ねてくるのが作中恒例行事のようになっていました(笑)
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「あのさ」
ドアを押して出ていきながらロッカさんが言った。
「がんばらなくてもいいんだけども」
「うん」
「あんたは自分で思うよりがんばってるよ」
「そうかな?」
「……たぶん」
どうせなら断言してよ、と思ったときにはもうドアは閉まっていた。
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とかのやり取りも良い感じでした。
失意のどん底にいた人が、再び気力を取り戻していく物語。
文体も等身大で、心の中で思っていることをそのまま吐露している感じでした。
それが明日羽の悩める心そのもので、とても分かりやすく、読んでいて色々共感するものがありました。
全く何も悩まない人はほとんどいないでしょうし、多かれ少なかれ人は何かしら悩むもの。
明日羽の場合は一度失意のどん底まで行ったのですから、立ち直るのは容易なことではありません。
そこから再び前向きになるまでが丁寧に描かれていて、「頑張れ!」と声援を送りたくなるような、そんな小説でした。
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読んでみると確かに「太陽のパスタ」と「豆のスープ」は物語に関わってきているなと思います。
ドリフターズリストもまた興味深かったですね。
たしかに、一度どん底まで落ちたとしても、そこから得るものもあって明日羽は再び前を向けました。
人生山あり谷あり、頑張っていってほしいと思いますね♪
タイトルに興味惹かれました。タイトルとストーリーは、どのように繋がっているんだろう。
ドリフターズリストにより、色々な体験を経て、色々な人との出会いがあり、成長し、人間の幅が広がって行くと良いですね♪
人生まだまだこれからです♪