東京里山農業日誌

東京郊外で仕事のかたわら稲作畑作などをしていましたが、2012年4月に故郷の山口県に拠点を移して同活動をしています。

山口県へ帰省、原発にゆれる上関の散策

2011年08月21日 | ふるさと



 福島の原発事故で、日本中の原発が注目をあびています。私が毎年のように訪れる上関も例外ではないようです。テレビ報道で上関原発建設工事反対運動の模様が放送されていました。この放送を見てとても複雑な思いにかられた今回の上関散策でした。
 山口県の西端に位置する「下関」、東端に位置する「上関」、今回この上関を散策しました。いつもは、上関大橋を渡って最初に上盛山山頂の展望台に行くのですが、今回は中の浦側から長島の北側を回り込むように白井田を経由して四代に行きました。中の浦の山裏の西側には棚田のような田んぼがあったのですが、耕作放棄したのか10年ほど前に無くなってしまいました。今は葛で覆われてどこが田んぼ跡なのか山肌なのか全く分からなくなっています。20年ほど前でしょうか、その棚田を苦労してバイクで横断したことがあります。

                 長島から北に見える牛島や光市方面を遠望


 数年前に白井田に行った時、たまたま出会った地元のお年寄りの話が印象的でよく覚えています。それをまとめると、「原発賛否両論が町を二分して親戚同士でも喧嘩になることがあり、なかなかまとまらなかった。そのしこりが今でも続いている。お年寄りには反対意見が多く、若い人には賛成が少なくなかった。若い人は原発が来ることによって仕事が増え、この島を離れなくても生活できるようになることに期待感がある。」

      かつて造船で栄えた白井田      原発関連者が住むハウスがある蒲井
 

 そのお年寄りの話では、近年この島は若者の流出が激しかったそうです。例えば白井田小学校では昭和20年頃には300人もの子供が通っていたのに、20年ほど前に廃校になった当時には7人に激減していたそうです。20年も前に7人だけと言うことは、今は1人か2人しか子供がいないのではないかと思ってしまいます。子供がいないと言うことは、この子供を育てる若者もいないことになります。このような時に中国電力から原発の話を持ちかけられたとか。子供や若者がいなくなり村が存続できなくなる瀬戸際の時、このような話が持ち上がればどんな村でも悩むことは間違いないと思います。

      数年前のサツマイモ畑         同サツマイモ畑、今は誰も耕作せず
 

 白井田を通り、蒲井を経由して長島西端の四代に行きました。この小さな漁村の堤防に座って、のんびりと漁港の船などを見ながら休憩しました。この漁村、20年ほど前は伝統的な民家がたくさん並んでいましたが今は新しい家が増えました。今は盆のためか、大阪などのナンバーの車が多数ありました。

               静かな漁村四代の港内に係留された船の数々


 四代で休憩後、来た道を戻って上関大橋に戻りました。途中、原発建設現場に向かう道路への分岐点があります。数年前にその道に入ってみました。農道だったと思われる狭く荒れた道が続き、途中耕作放棄された田畑や誰も住んでいない廃家が数軒ありました。その廃家近くに、野生化したと思われる痩せた猫がいました。私が近づくとキッと目を見開いて藪の中に逃げてしまったのを覚えています。今は工事車両が通れるように整備されていました。その分岐点にはガードマンが常駐しています。原発工事に反対する人が入り込みトラブルになるのを避けるためではないかと思われますが、私には分かりません。何年も前からこの地点に必ずガードマンが常駐しています。

   四代から東方面の海岸線を見て     原発への道路分岐点付近の海岸線
 

 途中、上関のガソリンスタンドを訪問しました。私の中学生時代のクラスメイトがガソリンスタンドをやっていたのですが、船にガソリンを給油中に事故で亡くなったとの訃報を聞いて訪れました。一昨年本人と話をしたので驚きました。おだやかで誰でも親しみを覚えるような性格で、とても惜しまれます。休憩中なのかガソリンスタンドには誰もいませんでした。今度上関に来るときに再度訪問しようと思います。
 次に上関大橋の下にある灯台で休憩しました。今から50年位前でしょうか、この上関大橋が完成する前、ましてや原発など話題にもならなかった昔、この灯台に家族でよく来ました。そして、狭い海峡を通る船を眺めたものでした。当時、この灯台は観光名所の一つでした。今回もこの古い灯台で海峡を通る船を見ながら休憩しました。

       本土と長島を結ぶ上関大橋、今でも船がこの海峡を通る(丸は灯台)

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