湘南ライナー日記 SHONAN LINER NOTES

会社帰りの湘南ライナーの中で書いていた日記を継続中

権之助坂の母、慌てる

2009-07-23 23:42:54 | 仕事のついで東京散歩


また目黒の権之助坂に来たので、坂下方向に見えた古そうな商店街まで歩いてみた。
時間は11時半を少し過ぎたところ。
あの日、上から見えていたアーケードは『権之助坂商店街』だった。昔ながらのお肉屋さんとか、八百屋さんとか、パン屋さん、そして色褪せた暖簾が風に揺れる大衆食堂とか…と期待していたのだが、見事に裏切られた。
確かにアーケードで結ばれた建物一つ一つは古い。でも、そこに入居しているのは古くはないお店ばかりだった。特にラーメン屋と居酒屋が目につく。立ち行かなくなったり、後継者がいないお店の後に、目黒のオフィス街で働くサラリーマン目当てに今どきの飲食店が進出した、そんな構図が見えてくる。OL向けにか、エスニック料理店もちらほら。
肝心のお目当てだったレトロな喫茶店も食堂もなく、さてランチをどうしようかとウロウロ。すると、わりと新しめの喫茶&スナック系の店先に『日替わりランチしょうが焼き780円』の文字を発見(なぜか置かれていたサンプルはトンカツ)。一瞬の決断で入店だ。それにしても、しょうが焼きに弱いなぁ(笑)。
中は、いかにもカラオケスナックという造り。これまたいかにもスナックのママ風のふくよかなお母さんに導かれカウンター席へ。僕が今日ひとりめの客のようだ。
壁に貼ってあるメニューを確認してから、日替わりのしょうが焼きをオーダーした。
「はい、しょうが焼きねー。えっ?しょうが焼き?あらヤダ、今日はトンカツよ、ごめんなさい、どーしちゃったのかしらアタシ」
トンカツを用意しながらしょうが焼きと書いてしまったのかー(笑)。
「いいですよ。でも、表も『しょうが焼き』になってましたよ」
「そ・そうだ!」
お母さん、慌てて飛び出していった。12時を過ぎればお客さんがかなりの数、入ってくることは、厨房に並べられたお皿を見れば明らか。みんなが「しょうが焼きね~」「オレも」「僕も」と注文したら大変だもんね。
さて、北関東訛りの「ごめんね~」の声と共に現れた『トンカツ』。これが、なかなかどうしてしっかりしたトンカツだった。付け合わせのキャベツとトマトもたっぷり。さらに、もやしや青菜、油揚げのおひたしは小鉢というより中鉢。そして、小さな冷奴まで付いている。これは、かなりお得ですよ。しょうが焼きのこと、すっかり忘れてしまったほど(笑)。
「おかわりできるから言ってね」
「さっきはありがとね」
ニコニコ声をかけてくれるお母さん。こんな人柄で、この味、このボリュームなら、表のメニューが間違っていたって、きっとみんな笑顔で許してくれるはずだ。
「ごめんね~」
「いいよ、いいよ」
そんなシーンを思い浮かべ、僕はひとりニヤニヤしながら権之助坂を上るのであった。

残念ながら、問題のトンカツの写真はナシ。今日は会社のデジイチしかもっていなかったので、これで「撮らせてください」なんて言ったら、また慌てちゃうと思って止めときました。なので、権之助坂商店街にあった古書店。ここは古そう。置いてあるものも古い本ばかり(笑)。

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