湘南ライナー日記 SHONAN LINER NOTES

会社帰りの湘南ライナーの中で書いていた日記を継続中

沖縄エピソード2 Timetrip

2007-12-13 01:37:50 | 沖縄日記


「すみません、すみませ~ん」
お店の人の姿がなく、サーターアンダギーを手に僕は途方に暮れていた。
店の奥、壁の向こうをのぞきこむが、そこはもう別のお店だ。腰の曲がったおばあさんが丁寧に品物を並べていた。
「コレ、買いたいんですけど、お店の人がいなくて」
「えっ、今いたけどね…」
と言いながら出てきてくれた彼女に、僕は自然にお金を渡した。
すると、まるでいつもそうしているかのように、柱に掛かっている袋をピッと一枚取って商品を手早く放り込んでくれるのだった。
こんなことは、当たり前のように何十年も繰り返されているに違いない。お隣とも、お客とも、顔と顔を見合わせ、言葉を交わしながら信頼関係を築いているのだ。


モノレール安里駅近くの栄町市場は、牧志公設市場あたりと比べ観光客の姿はほとんどない。小さな店が肩を寄せ合う地元の人向けの昔ながらの市場である。
訪れたのが朝の9時前だったので、まだ開いている店も少ない。
それでも、ご近所同士で朝の挨拶を交わしていたり、家族総出でもやしの根を取っている店先の風景に遭遇。どんどん昭和にタイムスリップしていった。
見るもの、聞くもの、ここで暮らす人々にとってはすべて何気ない、ごく普通のことばかりのはず。
でも僕たちにとっては、それがどうしようもなく愛しくて、涙が出そうになるほど懐かしいことばかりなのだ。
「ありがと」
「こちらこそ、お世話さま」
シワだらけのおばあさん笑顔に送られ、なんだかホンワリした気分で市場を後にした。
これも沖縄ではごく当たり前のお菓子サーターアンダギーが、忘れられない味になったことは言うまでもない。


サーターアンダギーを買ったお店で。

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