これはカレーなのか?
一口食べた時の印象だ。
銀座『ニューキャッスル』の「カライライス」や神保町『共栄堂』の「スマトラカレー」の系列であることは確か。どちらも、辛いけどカレーの香辛料独特の匂いが薄い。
鎌倉の若宮大路に面した古い食堂『あしなや』の「カレーライス」(680円)は、それらにも増してさらに独特なカレーである。確かなのは「よーし、カレーを食うぞー」と意気込んで頼んでしまうと痛いめに遭うということだ(笑)。
おっと、目の前の壁に貼り紙があった。
ここは「サンマー麺」や「タンメン」が大人気の古い大衆食堂で、それらに使われる鶏ガラスープがベースになっているという珍しいカレーなのだ(そうそう、チャーハンみたいにラーメンのスープも付いてくる)。
で、そのレシピ同様、辛いけどまことに珍しい味である。小麦粉のせいかドロリというよりザラリとしていて水分が少ない。もう少しでドライカレーになっちゃいそうな段階にも思える。『ニューキャッスル』や『共栄堂』のを、もっともっと煮詰めた果てか。
こりゃ何だ? カレーなのか?
「カレーライス」と言って自分で頼んだからカレーライスだとわかっているんだけど、知らずに目の前に出されたら「カレーに似た何か」と答えるだろう。色も黒っぽいし、グリーンピースも映えているし、見た目はハヤシライスにも似ているからねぇ。
でも、不思議だ。
これを書いている今、また食べたくなっている。