湘南ライナー日記 SHONAN LINER NOTES

会社帰りの湘南ライナーの中で書いていた日記を継続中

仏師とご婦人

2012-02-22 19:36:30 | ぶらかま


和尚さまにお呼びいただいて、自分が彫っておさめたある仏像に1年後会いにいきました。すると、姿形は何ひとつ変わっていないのに、1年分の皆さんの祈りが込められていたのでしょう、なぜかもう近づくことができなかったんです。そこが工芸品とは違うところかもしれません。
でもね、その時に思いました。自分の作ったものが、そこでしっかり仕事をしていてくれたんだって。仏像を彫ったらそれでお終いではないんだと。

仏師さんかの口から出たそんな言葉に、ジンワリ涙ぐんでしまった。
周りを見ると、やはりハンカチを使っているご婦人の姿が。

今日は『大森昭夫仏師が案内する工房と長谷寺の仏像特別拝観』に同行、実に貴重な体験をさせてもらった。

そんな中、「最後から二番目の戯言」経由で検索いただいた娘さんがお連れになった最年長のご婦人が、また素敵だった。
俳句がご趣味とのことで、先生の言葉はもちろん、見るもの聞くものをどん欲にメモしていらっしゃる。きっと、お帰りになってからゆっくり今日を振り返りお詠みになるのだろう。
いくつになっても生産活動に邁進する意欲的な姿勢に元気をもらった。
ぜひその句を発信していただきたい。なぜなら、きっとどこかで誰かの心に語りかけるに違いないから。

何かをカタチにするということは、自分が考えている以上に、もっともっと素晴らしいことなのだと、しみじみ思らされる一日だったのだ。