後半+4分、湘南ゴール裏にいたサポーターの多くが、これから目の前でおこる最悪の結末を想像していたのではないか。少なくとも僕は、そうだった。
後半41分に追いつかれた時点で、今日のシナリオは書きかえられていたのだ。
終了を告げる長いホイッスルを聞いて、しゃがみ込んだのは勝った横浜FCの選手たちだった。長いトンネルを抜け出すために全力で戦った証。むしろ湘南のほうには余力が残っていたようにも映った。
ユニフォームを引っ張ってでも、足の裏を見せてでも、ボールにではなく体当たりをしてでも、ただただ勝つことにこだわったのが横浜だった。勝利の女神も、その気持ちの強さに心をうたれ微笑んだのだろう。
そういう意味では僕たちにとって「最悪の結末」は「当然の結果」とも言える。
湧き上がる横浜のスタンドがうらやましい。
あんなふうに喜びを爆発させたい、そう期待して僕たちは三ツ沢に足を運んだのだから。
日が落ちた宮谷への急坂は、闇の中へ落ちていくような感覚で恐ろしい。昇格を逃した上、今度はどこまで転がっていくというのか。気持ちまで落ち込んでいく。
ところが、坂が終わると急に明るい通りに出て、僕はようやく落ち着きを取り戻した。
こんな結末になったが、考えてみると、だからこそよかったことにも気づくことができた。
それは負け惜しみでもなんでもなくて、自分の応援するクラブが今日の横浜のようなサッカーを選択していなくて本当によかったということだ(個人的な好みの問題です)。
横浜駅が近づくころには、そう考えたら僕たちはけっこう幸せじゃないかと思い直し始めるのだった。
そういう意味では次の監督選びをシッカリやってほしいと願うばかりですね。
試合前、ドラゴンが空を駆けた!