こうして日記を書いている僕の胃袋は、今も満たされたままだ。
ただし、お昼にこれだけのものがお腹の中に入ったにもかかわらず、まったく胸焼けしないのはどうしたことだろう。
まずは、写真をじっくりとご覧いただきたい。
このボリュームたっぷりのランチメニューの名前は、何だと思いますか?
『餃子ライス』です。
信じられないとは思いますかが、みんなこう言って頼んでいます。
いちばん幅をきかせているように見える唐揚げは、餃子の単なる付け合わせに過ぎないというのだ!
この信じられない定食を真っ昼間から(そりゃそーだ)堂々と提供している嬉しいお店は『大島や』さん。実は、おととい東大生が次々と吸い込まれていく様を見て、どうしても行かねばならないと決意した
落第横丁にある中華料理屋だ。
「もう一年前位にネットで見て行ってみたかったんですよ」
というM博士を伴って、今日は歩いて赤門方面に向かった。
12時15分、入店。東大の学生や職員などに混じって、肉体労働者の方々の姿も見える。すでに金髪の外国人女性も『餃子ライス』を、かっ込んでいた。
ただ、ちょっぴり不安なのは、ほぼ満席のテーブルの上の多くに何も乗っていないこと。『餃子ライス』以外のメニューは、どんどん出て来るようなのだが…。
その理由は12時40分、遂に僕たちの目の前にドドーンと並んだ『餃子ライス』に挑んだ時にわかった。
餃子も、唐揚げも、フライドポテトも、みんな出来立てだったのである。なかなか出てこないはずだ。
最もオーダーの多いメニューを作り置きせずに、アツアツの出来立てを提供する。それはそれで、なんとも素晴らしいではないか。
しかし、感心しているヒマなどないぞ。僕たちに残された時間は短い。
口の中のあちこちを火傷しながらも、ガツガツとかっ込む。喜ぶべきアツアツが、早食いのネックになろうとは思いもよらなかったのだが。
いやいやいや、それにしても量のほうもハンパではない。唐揚げもデカイが、実は餃子も結構デカイのだ(考えてみれば、餃子が主役なんだから)。また、白飯も意外に量があって嬉しいはずなのに、なかなか減らない。このスンゴイ定食と格闘しているうちに、時計の針はもう12時51分を指している。
僕たちは重いハラを抱えながら通りに出ると、迷わずタクシーをつかまえ飛び乗った。
車内での僕たちの幸せな会話を聞いた運転手さんが、こう言う。
「お客さんたち、タクシーでお昼を食べにですか」
とても気が利く女性従業員のいるステキなレストランで、さぞかし素晴らしい料理に舌鼓を打ってきたのだろうと彼は思ったに違いない。
でも、僕たちが幸せに浸っていたのは落第横丁の古~い中華屋さんで、値段は780円。ヘタすりゃタクシー代のほうが高くなるとこだったのである。