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湘南ライナー日記 SHONAN LINER NOTES

会社帰りの湘南ライナーの中で書いていた日記を継続中

野菊の墓にまいる

2010-01-22 17:29:45 | 湘南ライナーで読む


朝から泣いてしまった。図書館で(笑)。
ハロワで求職活動→ビーチでコーヒー→図書館といつものコースをたどる。
ところが机のある席はいっぱいだったので、今日は調べ物を休んで本棚の前に置かれている椅子に腰掛け読書を。
なぜか伊藤左千夫著『野菊の墓』である。
“名作”でもと軽い気持ちで読み始めたら、甘くせつなく懐かしく、そして悲しく…最後は涙があふれて活字がぼやける。いいおじさんが、こんなところで一人(笑)
あらすじは知ってはいたものの、こうした美しくも清廉な文体で読まされると、余計に気持ちが揺さぶられますね。
この時代の作品を読まないまま過ごしてきたことが、実に惜しい。と思う反面、この年になったからこそ、たっぷり味わえるのかなという気もしている。


降り注ぐ光の中で今日もトレーニングに励むチーム浅草。

湘南の風に吹かれ仕事を

2010-01-13 17:39:00 | 湘南ライナーで読む


藤沢の養豚農家の“こせがれ”宮地勇輔氏が書いた『湘南の風に吹かれて豚を売る』(かんき出版刊1400円+税)を読んだ。
テレビや雑誌をはじめメディアにもかなり露出しているので、ご存じの方も多いだろう。それまで単なる豚肉として出荷されていた、しかし実は父親がこだわりをもって独自の手法で精魂込めて育てた豚肉を、『みやじ豚』というブランド商品に昇華させた青年の著である。
それは、農業を「きつい、汚い、かっこ悪いの3K産業」から「かっこよくて、感動があって、稼げるの3K産業」に変革しようという挑戦でもある。その発想や、それを実行していくプロセスがわかりやすく描かれていて面白い。ビジネス書としてとらえることもできるだろうが、やはり農業そのもの、これからの日本の食についても考えさせられる。

「あのイチゴよりおいしいイチゴに出会ったことがないんですよ」
年末に会った経理のK嬢に言われたのは、妻の実家のイチゴのことだ。ずいぶん前に会社に持っていったことがある。そのときの話を今でもするのだ。
会社以外でも「このあいだのイチゴはどこへ行ったら買えるの?」という質問をよく受ける。
答えは「海老名の実家」としか答えようがないのが現実。だって、いったん農協に出荷してしまえば「海老名いちご」というフィルムで覆われてはいるが、どこの店頭に並ぶのかは全くわからないからだ。しかも、市内で生産されたいちごには「海老名いちご」と表記されているが、妻の実家で作ったものかどうか判断するすべはない(4パック入った箱には生産者名が入っているが)。それは、消費者側にとっても「あのとき食べたあのイチゴ」を狙い買いできないということでもある。お店で「海老名いちご」を見つけたとしても、「あの時」と同じイチゴを食べられる可能性は高いとは言えないのである。
そんな従来の流通スタイルを打ち破る仕組みをカタチにしながら、農業の、そして日本の未来まで動かしていこうとしている、それが宮地勇輔氏という若者なのだ。
身近にもどかしいこうした例があったので、とても共感しながら読むことができた。
そして、これをいま一番伝えてあげたいのが、甥である。妻の実家を継ぐであろう高校3年生。ただし、内側からの視点だけでしか農業を見ていないので、逆に理解が難しいかもしれない。
もしも農業を“プロデュース”していくのであれば、宮地氏のようにいったん外で学ぶべきなのだろう。もちろん、その必要性も宮地氏は説いている。
帯にある『「働く」と「生きる」はきっとつながる!』というフレーズ。働く価値感をどこに求めるのか、どうしたら自分にとってやりがいのある仕事ができるのか、考えさせられる本である。

デパートへのめり込もう

2009-11-04 22:37:38 | 湘南ライナーで読む


いつだったかの『週刊ブックレビュー』で紹介され盛り上がっていたのを思い出して購入(笑)。
贈収賄事件と合併の噂で揺れる老舗百貨店「鈴膳」を舞台に起こる、たった一夜のドタバタを描いた『デパートへ行こう!』(講談社刊 1600円+税)だ。
この百貨店や事件に関わる様々な立場、様々な年代の登場人物がなぜかこの夜に集合してしまう。そして、デパ地下から、かつてはステージや遊具があった屋上までのすべてのフロアを行ったり来たりの大騒動。もともとありえない話なので、疑いを持ってはいけない。ただただ展開の面白さに、のめり込もう。先日テレビでチラッと見た三谷幸喜監督『有頂天ホテル』のようなノリだろうか。登場人物を、自分なりに配役してみると面白いかもしれない。
自分自身も子供の頃、デパートへ行くこと自体が家族の大きな娯楽だった。一人目の登場人物と同じような思いを抱いていたので、導入部から期待感も大きかった。でも、どうも自分にはしっくりこなくて残念。一生懸命のめり込もうとしてみたんだけどね。まあ、こればっかりは合う合わないがあるから仕方ないな。

湘南ライナーノート

2009-10-23 23:27:09 | 湘南ライナーで読む


ミステリーを読むつもりだったのではない。
そのタイトルを見て、買わないわけにはいかなかったのだ。

『湘南ノート』(式田ティエン著 宝島社刊1300円+税)

ねっ、この湘南ライナー日記は「ダイアリー」ではなく、「湘南ライナーノーツ」としゃれてしまった行き掛かり上、「湘南ノート」を無視するわけにはいかなかったというわけだ(どうかな)。
そんなわけで偶然読み始めたのだが、これが面白かった。
時間や登場人物が、6つの短編で交錯していく。そしてすべてを結ぶのが、タイトルのノートである。
ひとつの物語のワンシーンの背景を、他の物語の登場人物が横切っていく。あるアイテムが、違う物語ではスポットを浴びる存在となる。複数の物語で名前と人となりだけ語られていた人物が、最後の話でいきなりしゃべりだしたり。
「あっ、あの時の…」と、思わずページを戻って読み返してしまうともあった。実に楽しい。
中でも最も楽しかったのは、ちょうど真ん中あたりに据えられている『夏の門衛』だ。
参考人として警察で若いチンピラ風がこと語りした供述調書の仕立てになっている。
供述の中身はジェットコースタームービーを見るよう。ただし、人気の巨大なジェットコースターのようなダイナミックさはまるでくない。浅草の花屋敷にある軒先をかすめガタガタゴトゴトいいながら上下左右する壊れそうなローラーコースターのイメージだ。
思いっきり揺さぶられながら、夢中で一気に読んでしまった。読後感もよかったなあ。
とりあえず大崎の葛が浜へ行ってみようか。

東京人の中の大瀧詠一

2009-10-07 00:49:16 | 湘南ライナーで読む


我もまた渚を枕』に続き『東京の空の下、今日も町歩き』(ちくま文庫)と、川本三郎氏の著者を遡るように読む。
いずれも、エリアを決めて町歩きをし、大衆食堂で昼食をとり、昼間のうちに目星をつけておいた酒場で夜にビールを飲んでから駅前のビジネスホテルへ。古本屋で買った本を読みつつ、いつの間にか就寝。翌朝は早起きをして吉野家で納豆定食を食べてから2日目の町歩きへ。という、散歩者にとっての夢を地でいくような日を綴った本だ。
そして、文中に必ず出てくるのが、映画のワンシーンである。特に、その場所で撮影された古い日本映画が紹介されていると、今度はその映画で当時の風景を見たくなってしまう。氏は映画への造詣が深く、実は映画に描かれた東京を訪ねる『銀幕の東京』といった著者もある。
ところが、その『銀幕の東京』に刺激されて、『銀座化粧』(昭和26年)と『秋立ちぬ』(昭和35年)という成瀬巳喜男監督作品に登場する銀座周辺のロケ現場を調べ上げてしまった人物がいる。

大瀧詠一氏である。

そう、あの『ロンバケ』の巨匠だ。
今月の『東京人』(都市出版)特集「映画の中の東京」の、川本三郎氏との対談で、その調査結果が細かく報告されている。
「彼ならやる」
大瀧マニアなら、誰もがそう納得するだろう。驚くべき調べっぷりである。
それを川本氏に夢中でしゃべっている鼻息まで聞こえてきそうな楽しい対談になっている。
ファンならずとも必見(必読)ですよ。なにしろ、新富町あたりの路上に立つ大瀧氏(と川本氏)のショットが、普通に掲載されているのだから。
ちなみに“微熱少年”松本隆氏も別の対談で登場しているのは、編集者の趣味かサービス?それとも、単なる偶然か。

尚、冒頭にあげた二冊は、もともと『東京人』の連載をまとめたものである。

そういえば、今日は有楽町線に乗っていたら、大瀧氏が調べたおした新富町、銀座一丁目を通過。思わず、上を見上げてしまった(笑)。

名も知れる近き町

2009-09-08 23:30:07 | 湘南ライナーで読む


『我もまた渚を枕』(川本三郎著 ちくま文庫820+税)
タイトルは、島崎藤村作詞『椰子の実』の2番からとったと後書きにある。取材はしないで「ぶらっと町を歩き風景の中に身体を溶け込ませる他所者の流儀に徹したかった」からだそうだ。
5年前に新刊として並んでいた時に手にしたのに買いそびれた本が、文庫になっていた。もともとは『東京人』の連載で、東京近郊を散歩した記録をまとめたものだ。
歩いた町が都内ではなく、近郊というところがポイントである。登場する町の名前を列挙してみよう。
船橋、鶴見、大宮、本牧、我孫子、市川、小田原、銚子、川崎、横須賀、寿町、日ノ出町、黄金町、千葉、岩槻、藤沢、鵠沼、厚木、秦野、三崎。
どうですか、なかなか渋い選択じゃありませんか。こうした町を徘徊しながら、得意の文学や映画のエピソードなどを織り混ぜ淡々と伝えてくれる。そこからまた、読んでみたい、見てみたい、そして行ってみたいと、どんどん広がっていくすてきな紀行文だ。
また、ついつい(いや意図的にか)大衆食堂に引き込まれてしまうところが共感できる(笑)。ただ、川本氏は1日目の終わりに、そこで一杯やることを常としているのだが。
「我もまた渚を枕、ひとり身の浮き寝の旅ぞ」
その町らしいものを食べ、それからビジネスホテルに素泊まり。ん~、なんかそういうのもいいなぁ。

はだしのゲン初版を読む

2009-08-24 23:41:21 | 湘南ライナーで読む


高校生の頃の愛読誌『少年ジャンプ』に連載されていたものが、政治的背景があって集英社からではなく汐文社からコミックスとして発売された。これは、その初版本(昭和51年)である。
『はだしのゲン』(中沢啓治著 汐文社刊 当時380円)は、広島の爆心地近くで被爆した中岡元の戦前・戦中・被爆・そして戦後の人生を描いた壮絶なドラマだ。
すごいのは、著者自身の体験が元になっているところ。しかも、ビジュアルだから活字よりも迫力を伴って伝わってくる。とはいっても、写真ほどのリアルさはないので、どうにか受け入れることができるのだ。
原爆の悲劇が中心に据えられているものの、語られるのは戦争や戦争によって翻弄される人間の弱さ、身勝手さ、醜さ、悲しさといったエピソードだ。戦場は、兵隊が戦う最前線だけではなく、一般市民の生活の場でもあったことがよくわかる。
しかし、戦争の悲惨さだけで終わらないのが、この物語のポイント。主人公ゲンが、父親ゆずりの誠実さと頑固さを発揮するのだ。そして、持ち前の明るさと前向きさでたくましく生き抜き、それどころか関わる人々に勇気を与えていく。
当時は、戦争がどうこうではなく展開の面白さだけで夢中になって読んでしまったような気がする。でも、やはりこれは戦争を描いた作品だと思う。終戦してもなお人間が戦争に翻弄され続けるドラマだ。
何十年ぶりかで読み返してみて、それがよくわかった。

二つの昭和を読んでみたい

2009-08-08 19:50:27 | 湘南ライナーで読む


『てんやわんや』
辞書で引くと、「大勢の人が秩序なく動き回り、ごった返すこと」とある。
マイナーだったこの言葉を、戦後一気にメジャーにしたのは、獅子文六著の新聞連載小説のタイトルになってから。
僕たちにとって「てんやわんや」といえば、子供のころ日曜のお昼だよ~『大正テレビ寄席』などで人気だった漫才師の「獅子てんや瀬戸わんや」。彼らの芸名も、実はこの小説からいただいたのだという(後年、獅子文六氏宅にお詫びに訪れたらしい)。

横浜名物の『崎陽軒のシウマイ』
昭和25年に、横浜駅のホームで赤いチャイナドレスを着たシウマイ娘が販売する。当時大磯に住んでいた獅子文六氏は東京への行き帰りにこれを目撃、昭和27年に連載が始まった『やっさもっさ』の主人公に抜擢する。すぐに映画化されて、シウマイが横浜名物として全国的に認知された。
こちらは、著者が勝手に小説の主人公に仕立てたので、崎陽軒の社長は朝刊を読んで驚いたというのも、おもしろい。獅子氏は、お詫びに行ったのか(笑)。

『ゴールデンウイーク』
昭和24年に朝日新聞でスタートした獅子文六氏の小説『自由学校』が翌年、松竹と大映で同時に映画化され5月5日に公開、揃って大ヒットした。それまで映画館にとってかきいれ時だったお盆と正月が入場者数を上回ったこの連休を、大映の役員が『ゴールデンウイーク』と命名した。

というようなトリビアを含め、戦前・戦後を通して小説家、劇作家であり、文芸座の創始者の一人である獅子文六氏を通して昭和を語るのが『獅子文六の二つの昭和』(牧村健一郎著 朝日新聞出版社 1300円+税)。
文学界からは軽んじられていたが、大衆からの人気は絶大。その割には、書店で見かけたことがない。
先日読んだエッセイの『ちんちん電車』が面白かったので、小説も読もうと思い、書店の検索システムを使ってみたが、ごくわずか。大ヒットした作品を、いま読むことができないのが現実だ。
この本がきかっけになって、文庫本でもいいからどこか出してくれると嬉しいのだが。

表紙の左上の絵(203Pに写真もあり)は、御茶ノ水駅のホームに佇む獅子文六氏。御茶ノ水橋の下に建つバラック小屋が「自由学校」にも登場する。

孤独のグルメ散歩の達人

2009-08-03 21:41:44 | 湘南ライナーで読む


発売からだいぶ経ってしまったが、いま書店に並んでいる『散歩の達人8月号』(交通新聞社580円)の特集は「東京マンガ歩き」だ。
懐かしいマンガから最近作までの舞台や、まつわる話が満載。その中に、なんと『孤独のグルメ』も大きく取り上げられていた。12年前の作品で、しかも一巻だけなのに、いまだに売れ続けているというのだ。
記事では、その『孤独のグルメ』のモデルとなっているお店を訪ね、同じメニューを食べようという趣向。
江ノ島丼の回の『魚見亭』には、英訳されたこの本を手にやって来る外国人がいるというから驚きだ。この微妙な面白さを、外国人はどうとらえているのだろうか。そして江ノ島丼を、どんなふうに味わったのだろうか。
外国人に先を越されてしまったが、僕もこの本を手に、どこかに出掛けてみたくなった。


ちなみに春先だったか、久住昌之氏著の『野武士のグルメ』も読んでいる(マンガではなく、エッセイ)。なんだか自分の日記を読んでいるようでもあり(もちろん出来はあちらが何十倍も上だが)、おかしくなった。

湘南B食スタイル

2009-07-28 22:37:23 | 湘南ライナーで読む


遂に出てしまいました『湘南スタイル別冊 湘南 味で勝負のB級グルメガイド』(出版980円)
これだけはあり得ないと思っていたんだけどね。だって「湘南スタイル」のスマートさと「B級グルメ」のジャンクさが、まったく結びつかないから。たとえ中身はそうだとしても、いつものようにネーミングは『湘南ローカルフード』だろうと。それが『B級』とはまたストレートな(笑)。
ブランドイメージより、実売ですかね。それともやっぱり時代のすう勢なのだろうか。
ちょっと残念ではあるが、僕にはおあつらえ向き。見ているだけで今にも食欲が爆発しそうなのだ。いつものように写真がいいし、レイアウトもやっぱり『湘南スタイル』っぽい。
ところが、そこに写っている料理のB級度が時に強烈なものがあっておかしいのだ。
もちろんそんなメニューこそが、実は僕にとっての『B食』でもある。このあたりは、値段もリーズナブル。
ただし、僕が行ったことのあるお店はたった3件しか載っていない。ということは、僕のB食は、実は湘南C級グルメなのかもしれない。