錦之助ざんまい

時代劇のスーパースター中村錦之助(萬屋錦之介)の出演した映画について、感想や監督・共演者のことなどを書いていきます。

中村錦之助伝~マスコミの寵児(その2)

2013-05-13 18:40:31 | 【錦之助伝】~スター誕生
 「平凡」9月号(7月下旬発売)は、錦之助を前回よりもはるかに大きく取り上げた。この号には、錦之助が三つの記事に登場している。
 一つは、お好み座談会「乾杯!チャンバラ青春」で、高田浩吉が司会役、それに北上弥太郎、瑳峨三智子、東千代之介、田代百合子、そして錦之助が加わり、チャンバラ時代劇について、いろいろ語り合っている。
 あとの二つは、美空ひばりと錦之助のコンビを前面に押し立てたものだった。ひばりが錦之助の麻布三河台の家を訪問した時のグラビア「錦之助さん、こんにちは!」と、ひばりと錦之助共演の絵物語「明玉夕玉」である。
 当時の「平凡」の編集方針は、錦之助をひばりの恋人のように扱って、読者の関心をあおり、売り上げを伸ばそうというものであった。とくに、「錦之助さん、こんにちは!」は、母や姉妹が待ちかまえている錦之助の実家にわざわざひばりが訪問し、錦之助がガールフレンドを家族に紹介するといった感じで、プライベートな雰囲気が色濃く漂う記事であった。その時体調を崩して寝ていた母のひなをひばりが見舞った写真や、姉の多賀子、妹の淳子と正子、兄嫁の銀子(芝雀夫人)たちの間にひばりが加わって、ひばりが妹の正子(7歳)を膝の上に乗せた写真が掲載されている。






 また、8月号からすでに連載が始まった絵物語「明玉夕玉」(中沢巠夫作 山口将吉郎画)は、ラジオドラマ化され、主役の珠姫と竜太郎にひばりと錦之助が選ばれ、7月下旬からニッポン放送で番組が開始されていた。毎週日曜午後7時30分からであった。その「明玉夕玉」の第二回が9月号に載った。番組の放送日程も書いて宣伝を加え、さらに、挿絵のいくつかに、ひばりと錦之助の顔写真を配して、物語のイメージを掻き立てた。



 「明玉夕玉」は、珠姫と竜太郎の冒険時代活劇であった。豊後の臼杵(うすき)家に伝わる家宝の真珠・明玉夕玉をめぐって、臼杵家の娘珠姫とその恋人の竜太郎が悪漢たちと争奪戦を繰り広げ、珠姫の父で囚われの身にあった豊後守を救出するといった物語である。
 ひばりと錦之助は映画だけでなく、ラジオドラマでも共演をしたわけであるが、ただし、声だけの共演である。多忙な二人は、それぞれ別々にスタジオでセリフを録音することがほとんどだった。
 初めてのラジオドラマ出演に錦之助は戸惑った。「錦」第3号(昭和29年9月発行)で錦之助は、こう語っている。

―――ラジオというやつは馴れないせいもあって、まるっきり苦手である。ひばりちゃんはじめ、レギュラーの方々は、オーソリティばかり。私だけが取り残されているみたいで、最初は全くマイク恐怖症にかかってしまった。が、最近漸く馴れて来た様に思うが、あとで聞いてみるとまだまだ勉強不足。アクションなしで、声の変化によって感情を出すという事の難しさをしみじみと味わっている。一日も早く「明玉夕玉」がおしまいになることを祈るや切。

「明玉夕玉」は、昭和29年の暮まで24回続いた。映画化する話もあったが、それは流れた。




最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
明け玉夕玉 (トム)
2020-01-05 01:08:44
明玉夕玉は映画になりました。確か小学4年生の
時に母親に連れて行かれました。
その時の歌、明玉夕玉は今だに脳裏に残っています。
確かです。

URLが不正とはどういう事か⁇
悪いが、URLの意味が解らない。

コメントを投稿