錦之助ざんまい

時代劇のスーパースター中村錦之助(萬屋錦之介)の出演した映画について、感想や監督・共演者のことなどを書いていきます。

記念文集「一心 錦之助」

2009-02-11 01:55:21 | 錦之助映画祭り
 「錦之助映画祭り」を記念して発行する本のことについて、これまでほとんど何も書かずにいた。実は、編集がなかなか進まずに、あせっている。原稿はほぼ集まっているのだが、パソコンの前に座って作業する時間がなかなか取れず、まだ30ページほどしか組版が出来ていない。あさってから追い込みに入って、一週間で完成させるつもりだが、どうやら大変なことになりそうだ。3月6日の金曜までには本が製本所から入荷していなければ、「映画祭り」初日(3月8日)の発売に間に合わない。逆算すると今月20日には組版を完成させ印刷所に入稿が必至。
 記念本のタイトルは、「一心 錦之助」にしようと思っている。「一心太助」ではなく「一心 錦之助」である。「一心」と「錦之助」の間を離すところがミソで、われらが錦之助へ向け「心を一つ」にするという意味である。各人が「一心不乱」に錦之助に思いを傾ける、といった意味も含めている。本の内容は、錦之助さんと仕事をなさった映画人の皆さんが「錦之助さんとの思い出」を語った文章をメインに、映画の写真もたくさん入れようと思っている。アンソロジー+写真集である。文字ばかりだと読みくたびれてしまう高齢者(若者もそうだ)が多いから、できるだけビジュアルに、読んで楽しく、見て楽しい本にしたい。全部で120ページくらいで、A5より少し大きめのサイズにする。カラーページも16ページほど加えるつもりだ。中村錦之助=萬屋錦之介のフィルモグラフィと経歴も付ける予定。
 さて、どんな映画人が寄稿するのか? 皆さん、興味津々かと思うが、20人ほどの方からすでに原稿をいただいている。ご紹介は、次回のお楽しみ。(疲れたのでもう寝かせてください。ごめん!)



「錦之助映画祭り」(その10)

2009-02-11 01:05:05 | 錦之助映画祭り
 おとといから一日がけでチラシの発送に専念。宅急便で100部の包みを三箇所(東映本社、シナリオ会館、二代目錦之助さん宅)に送り、5部ずつ入れた封筒を120人に送った。封筒の宛名書きはほとんどTさんにやってもらったが、チラシと書面の封入、糊付けは私がやった。私は結構こういう単純作業は好きな方なのだが、疲れました。
 封書は、錦之助映画ファンの会の会員(皆さん寄付している)、会員ではないが寄付してくださった方々、そして関係者などに送った。メール便なので、二、三日後には皆さんのお宅へ届くはずだ。開けてびっくり玉手箱ではないが、5000円以上寄付された方には新文芸坐の招待券を同封した。5000円の方には1枚、10000円の方には2枚、20000円の方には3枚、それより多額の方々にはこの比率通りではなく、4,5枚になっている。5万円とか10万円とか30万円(最高額)とか寄付された方は別に招待券が欲しくて寄付されたわけではないのでご理解いただけると思う。前もって根回しもしている。
 同封した書面には、こんなことを書いた。チラシ5部のうち3部は知り合いに渡してほしい。招待券も出来れば自分で使わずに誰か他の人を招くために使ってほしい。一人でも多く観客を増やしたいためだ。100人が2人ずつ誰か他の人を連れてくれば、総計300人になる計算だが、はたして皆さんが実行するかどうか。それが問題だ。
 
 発送業務はまだ終わったわけではない。祇園会館、京都シネマ、京都文博などにも100部ずつ送る予定。まだ、送らなければならない人も、30人ほどいる。私の手元にある2000部のチラシも間もなく、なくなりそうだ。


「錦之助映画祭り」(その9)

2009-02-09 03:09:23 | 錦之助映画祭り
 夜、池袋の新文芸坐へ行ってきた。チーフのYさんから電話があって、招待券が出来たというので、早速もらいに行くことにしたのだ。明日、明後日で、チラシをあちこちに送らなければならない。寄付をしてくれた皆さんと、記念文集に寄稿してくださった関係者の方々、それから錦之助さんの親戚の方々には招待券を同封しようと思っている。
 新文芸坐のあるビルの入り口の前にはウィンドウが二面あって、正面のウインドウを見ると3月の上映予告として「錦之助映画祭り」の掲示がドーンと出ているではないか!色付けのポスターが8枚、二段に並べて飾ってあり、その下にゲスト4人の名前と、ニュープリント10本、フィルムセンター提供5本の作品名を書いた貼り紙がしてある。ポスターは、ワイズ出版発行の「東映時代劇ポスター集」を拡大コピーしたものだと思う。『若き日の次郎長・東海の顔役』『家光と彦左と一心太助』『独眼竜政宗』『遠州森の石松』『蜘蛛の巣屋敷』などが飾ってあった。入り口のエレベーター横のラックに、「錦之助映画祭り」のチラシがバーンと二列・面出しで置いてあるのを発見。黒地に桜色の文字の表紙、なかなか目立つ。
 エレベーターに乗って、3階の新文芸坐へ行く。受付の女性にチーフのYさんを呼んでほしいと頼む。すぐにYさんが4階の事務室から降りて来る。新聞社への連絡の件でちょっと打ち合わせして、招待券の束をもらう。折角、文芸坐へ来たのだから、今上映しているトリュフォーの映画を観ることにする。最終回は、『突然炎のごとく』で、以前二度ほど観たことがある映画だ。ジャンヌ・モローをスクリーンで観るのも久しぶり。切符のお金を払おうとすると、Yさんがまた別の招待券を1枚くれたので、結局無料で入場させてもらうことに。なんだか急に待遇が良くなった感じだ。
 上映開始まで20分ほど時間があったので、館内の様子を探る。「錦之助映画祭り」の上映予告の掲示が通路に二箇所も出ていて、もう錦之助映画のポスターだらけになっている。新文芸坐も、やる気満々なのだ。チラシも棚に二箇所バーンと積んであって、嬉しさがこみ上げてくる。喫煙所でたばこを吸いながら、入場したお客さんがチラシを取るかどうか、また掲示されたポスターを見てどういう反応をするかをしばらく観察する。最終回は8時50分からだし、日曜日の夜にラスト1本を観にやって来る人は少ないと思っていたが、それでも20人くらいのお客さんが入って来た。ほとんどは20代の若い男性だったが、みんな、へー、こんなの上映するんだみたいな顔をしてチラシを取っていく。50歳以上の年配の男性も4、5人いたが、彼らはかなり反応が違っていて、ポスターの一枚一枚しげしげと眺めている人もいた。以上、報告まで。
 トリュフォーの『突然炎のごとく』は、原題を『ジュールとジム』といい、一人の女性を愛する親友の男同士の不思議な友情を描いた作品だが、以前観た時よりずっと面白く感じた。


「錦之助映画祭り」(その8)

2009-02-06 23:38:25 | 錦之助映画祭り
 やっと「錦之助映画ファンの会」のホームページが出来た。以前私の出版社に勤めていたSちゃんに頼んで、ホームページを作ってもらった。彼女は20代半ばの女性で、独特なデザイン感覚の持ち主なのだが、私とはセンスが合うので、広告とかの仕事をずいぶん一緒にやってきた女の子である。5年ほど前に私が給料を払いきれなくなって、他の会社へ働きに出したっきり、そのままになってしまった。が、今も時々、アルバイトを頼むことはある。本に掲載する写真の修正とか、原稿の校正とか。彼女は某広告会社のホームページを担当していて、これまでいくつもホームページを作ってきたので、慣れていることは確かだ。が、それでも3日かかった。もちろん、タダ働きというわけにはいかないので、私がポケットマネーを出すことになる。
 このホームページは、取り急ぎ作ったものなので、「錦之助映画ファンの会」というより「錦之助映画祭り」の広告塔のようになっている。スチール写真の使用など、東映著作権室のHさんに検閲してもらったのでご安心を。内容は、徐々に充実させていくつもりだ。
 下に、アドレスを記しておくので、クリックしてご覧いただきたい。

http://www.ecole-sesame.com/kinnosuke/index.htm
 
 池袋の新文芸坐のホームページの上映スケジュールにも「錦之助映画祭り」の詳細が今日掲載された。新文芸坐にはチラシの表紙の画像を送ったりして、打ち合わせした。互いにリンクを張ったので、両方からホームページに入れるようになっている。

 それと、今日の午前中に印刷所からチラシが3000部、私の所へ届いた。新文芸坐へは17000部で、首都圏の映画館などには新文芸坐の方から送ることになっている。来週半ばには東京のあちこちの映画館に置かれていると思う。私の分は、ファンの会や関係者の皆さん、私の知人、それから祇園会館、京都シネマ、京都文博に送ることになる。思ったような仕上がりで、夜桜をイメージした配色にしてあるのが自慢!「錦ちゃん祭り」はお花見気分だ。が、厚めのツルツル紙(コート紙)を使ったので、ちょっとかさばる。安っぽいチラシではなく、保存版のつもりで作ったので仕方がない。
 今日は、私の参謀のMさんとフィルムセンターで待ち合わせて、500部チラシを手渡しに行った。仕事場から地下鉄の駅まで歩こうとしたら、重いのなんの!袋の紐が手に食い込むので、京橋までタクシーに乗ってしまった。たまたまタクシーの運ちゃんが60歳位の人で、大の錦之助ファンだったのでチラシを差し上げる。とても喜んでいた。これで新文芸坐のお客さんが一人増えたと思う。Mさんとは喫茶店で記念冊子の打ち合わせなどをした。彼には「錦之助映画祭り」の企画の段階から協力してもらっている。関係者へもチラシを送ってくれることになっている。それと、記念冊子の編集にも大いに関わっていて、Mさんが依頼して原稿を書いてもらった関係者ご本人に確認してもらう事項を伝える。略歴の内容など。
 夕方、前回も登場した副代表のTさんと会い、茶封筒を100枚、チラシ300部渡す。錦之助ファンの会の会員や寄付してくださった方々へ発送する封筒の宛名書きをしてもらうためだ。Tさんはチラシの作品解説を書いてくれたり、校正をやってくれたり、いろいろ私を助けてくれている。錦之助の映画で意見が合わないときは大喧嘩もするが、彼女は頭のてっぺんから足のつま先まで全身錦ちゃんファンみたいな人である。Tさんは、「錦之助映画祭り」の開催を私よりずっと喜んでいるのではないかと思う。



「錦之助映画祭り」(その7)

2009-02-04 22:45:01 | 錦之助映画祭り
 「錦之助映画ファンの会」に集まった寄付金で、昨年12月東映にニュープリント5本を発注したことはすでにお話しした。『お役者文七捕物暦・蜘蛛の巣屋敷』『独眼竜政宗』『浅間の暴れん坊』『源氏九郎颯爽記・白狐二刀流』『隠密七生記』である。が、1月の後半になって急に思わぬ展開になった。といってもイヤな事態が発生したのではなく、むしろ歓迎すべき方向に風向きが変わってきたのだ。なんと、東映ビデオが『隠密七生記』以外の4本をDVD化するため、35ミリフィルムのニュープリントを作るという話が持ち上がったのだ。
 この話を東映営業部のSさんから聞いたとき、私は一瞬耳を疑った。えっ、どうして?という感じである。『浪花の恋の物語』もニュープリントを作るというのだ。『浪花の恋』は、京都・祇園会館のオープニングで有馬稲子さんをゲストに招くため、どうしようかと考えているところだった。東映に貸し出し用のフィルムがないことは分かっていたので、フィルムセンターが所有している『浪花の恋』のフィルムを借りる手続きをしようとまで考えていた。年が変わり「錦之助映画祭り」の開催年になって、この風の吹き回し、一体どうなっちゃっているんだろうと思う。
 これでも私は人に言えないいろいろな努力をしてきたつもりである。お会いした人の数も数え切れないほどで、募金活動によってお金も集まり、東映からニュープリント5本の見積り書ももらい、発注して、さあいよいよ錦之助映画5作品がファンの力によって再び日の目を見ると思っていた矢先だった。だから、ちょっと拍子抜けしてしまった。
 東映営業部のSさんから話を聞いた一週間後、私はどうしても信じられなくて、今度は営業部のチーフのKさんに電話を入れた。再確認するためだった。やはり、4作品は東映ビデオが3月初めまでにニュープリントを作ることに間違いないという話だった。4本分のお金はこちらが出さなくてもよくなったわけだ。これは喜ぶべきことで、集めたお金で別の作品を4本ニュープリントにすればよいことになった。副代表で側近のTさんにこの話をすると、気の早い彼女は、あれとあれとあれをやろうなんて、もう候補作を挙げている。私の努力が水の泡になった(ではなく報いられたというべきか)ことなど、気にもかけてくれない。

 東映と交渉を始めたのは、昨年の7月末からだった。それ以前にも関係者にいろいろな根回しを行った。東映にニュープリント候補作約10本のネガの有無を調べてもらい、おおよその制作費を聞いて、段取りを立てた。5本なら何とかなる。頑張れば100万円くらいは寄付金を集められるだろう。それから募金活動を始めた。
 東映にネガのチェックをしてもらった時に、がっかりすることもあった。絶対ニュープリントを作ろうと思っていた2作品、『一心太助・江戸の名物男』と『風と女と旅鴉』はネガがなく(可燃性だったので捨ててしまったらしい)、マスターポジ(いわゆる原版の保存用ポジフィルムで映画館には貸し出さない)しか残っていなかったのだ。その場合ニュープリントを作るには、マスターポジからネガを作り、さらにポジを作る作業をしなければならず、1本100万円以上費用がかかるというのだ。これでは、寄付金では作れない。それで泣く泣く見合わせることになってしまった。
 それと、もう一つ。最初、ニュープリント予定作品には『剣は知っていた・紅顔無双流』が入っていた。錦之助の美剣士ものの中でもこれはファンの間で最も人気の高い映画である。『剣は知っていた』はネガがあるというので、仲間はみんな大喜びで、スクリーンで錦ちゃんの眉殿喬之介に会える日を、ことのほか楽しみにしていた。それが、しばらくたってネガの状態を調べてみると、フィルムがあちこち貼り付いてしまい、とてもポジに焼き直せない状態にあることが判明。糠喜びになってしまったのだ。そこで、『隠密七生記』に差し替えたわけである。この映画は、東千代之介が主演で、錦之助は準主演である。私は、「東千代之介を愛する会」の人たちとも仲が良く、前々から、たっての希望があって、この作品もニュープリントにしなければならないと思っていた。錦ちゃんファンの何人かにも意見を聞いたところ、この映画の錦ちゃんも最高にいいからそれでも構わないということになった。
 これまでの経緯を長々と書いたが、そういうわけで、「錦之助映画ファンの会」に集まった寄付金で今回(3月の新文芸坐でのパート1)ニュープリントにするのは、あいにく『隠密七生記』1本になってしまった。余った寄付金は、「錦之助映画祭り」パート2、パート3で上映するニュープリントの制作に当てるつもりなので、寄付に協力いただいた方々は何卒ご理解いただきたい。
 錦之助映画の中には、ニュープリントを作らなければ映画館のスクリーンで観られない作品がまだまだたくさんある。『ゆうれい船』前・後篇、『美男城』『恋風道中』『花と龍』(前篇)『隼人族の叛乱』『任侠清水港』『江戸っ子奉行・天下を斬る男』……。ちょっとマニアックな作品には、『青雲の鬼』『源義経』『紅顔の若武者・織田信長』『あばれ纏千両肌』『晴姿一番纏』『里見八犬伝』(五部作)等々。