錦之助ざんまい

時代劇のスーパースター中村錦之助(萬屋錦之介)の出演した映画について、感想や監督・共演者のことなどを書いていきます。

近況報告―そろそろ始動(その2)

2011-02-15 17:01:33 | 錦之助ファン、雑記
 今日、東映営業部と連絡を取った。
 錦之助ファンにとってはガッカリするお知らせである。
 実は、『剣は知っていた 紅顔無双流』のニュープリント制作が不可能になってしまった。やはり、マスターポジ(原版)がダメになっていた。ネガもなし、マスターポジもなし、ということで、あるのはデジタル素材(D2という素材)だけ、だそうなのだ。これは、ずいぶん前にビデオを作った時に、ネガ(当時すでに劣化していたが…)からポジを作って、デジタルで取り込んだ画像音声データのことで、これを使って今でも東映チャンネルで放映しているのだが、なんせビデオ時代に作ったものなので、画質が悪いらしい。このデジタル素材から再度フィルムのネガを作って、さらにポジに焼くことは技術的には可能なのだが、べらぼうな費用(280万円ほど)がかかる上、画質は悪いまま、というのだから、要するに、上映プリントを作っても意味がないのだ。そういう次第で、錦之助の美剣士・眉殿喬之介を映画館の大スクリーンで再現しようというファンの夢は、はかなくついえてしまった。ああ、なんとも残念な結果である。
 もう一つ、『江戸の名物男 一心太助』も、ニュープリントは不可能という結論。1月の末、『剣は知っていた 紅顔無双流』の依頼をした時に、ついでに『江戸の名物男』も調査してほしいと頼んでおいた。「一心太助」シリーズ第一作、沢島忠監督と錦ちゃんの名作である。にもかかわらず、この映画も、上映プリントもネガもない。マスターポジがあることは聞いていたので、ネガを作ってさらに上映プリントを焼くといくらかかるか、見積りを出してほしいと依頼してあった。実は、こちらもものすごい費用がかかるというのだ。300万円を越えるというので、びっくり仰天した。マスターポジが画像だけで、音声は別データに保存してあるので、シンクロさせるのに費用がかかり、しかも白黒なのでカラーより割高になるのだそうだ。昔はカラーの方が高かったが、今は白黒フィルムの方がマイナーなので、費用がかかるという。
 これでは、マスターポジにして保存しておく意味がない。どうせ、観られないのだから。
 東映営業部の担当舎の話では、ニュープリントの制作を行っている東映ラボ・テック(東映の系列会社)に直接交渉してみたらどうかということだったが、私は意気消沈、戦意喪失してしまった。内心、別会社のイマジカなら、もっと安くできるのではないかとも思ったが、東映のソフトは系列の東映ラボ・テックが一手に引き受けているので、別会社に外注するのは無理である。
 ところで、『関の弥太ッペ』は、20万円ほどでニュープリントが作れるそうだ。
 なんだかやる気がなくなる一日であった。



近況報告―そろそろ始動

2011-02-14 23:46:53 | 錦之助ファン、雑記
 二ヶ月以上、無沙汰だった。2011年を迎え、早45日も経ってしまった。今さら、本年もよろしくなどという挨拶は抜きにして、かくも長期の無沙汰をお詫び申し上げたい。 昨年11月26日に錦之助映画祭りが閉幕して、一週間ほど休養し、それから溜まりに溜まった会社の経理をやっていた。パソコンの経理ソフトに一年間の日々のデータを入力するという単調で骨の折れる作業である。複式簿記というやつで、各項目を勘定科目に仕分け、決算書類を作成しなければならない。1月末日が税務署への提出期限だった。
 なにしろ一年間経理をサボっていたから大変だった。山ほどある領収書と業者からの請求書と銀行通帳の入出金と書籍の納品・返品リストを、全部パソコンに入力したわけだ。項目数にして2000以上はあったと思う。私の会社は有限会社だが、電話営業のアルバイト一人と、不定期に雇うデザイナー一人しかいない。本を制作する時は、二、三人の方に協力(主に無給)をお願いすることがあるが、ほとんど私一人が運営している出版社なので、もちろん経理も私がやらなければならない。そんなわけで、1月半ばまでにやっとこさ完了し、税理士さんにチェックしてもらい、決算書をギリギリ1月31日に麹町税務署へ提出して、事なきをえた。今年も、百数十万円の赤字だ。私の給料はゼロなのに(これ本当の話)……である。
 経理をやっていたこの二ヶ月間は、ほとんど一日中仕事場に引き籠り、仕事に飽きると、本を読んだり、映画のビデオを観たり……。外に出るのは、近くのコンビや飲食店へ行くだけ。あとは、週一回、新宿のツタヤへ行って、ビデオを5本ほど借りてくるのと、たまに気晴らしに映画館へ行ったくらいか。
 本は、主に昭和初期の小説と評論で、多分人の読まないものばかりだった。片岡鉄兵「生ける人形」、菊池寛「東京行進曲」、龍胆寺雄「放浪時代」、横光利一「春は馬車に乗って」ほか短篇、川端康成「浅草紅團」、小林秀雄の初期の評論、志賀直哉「交友録」など。
 映画は、戦前の邦画を20本ほど観た。溝口健二『愛怨峡』『虞美人草』『マリヤのお雪』『残菊物語』、山本嘉次郎『坊ちゃん』『吾輩は猫である』『綴方教室』『孫悟空』『ハワイ・マレー沖海戦』『藤十郎の恋』、島津保次郎『隣りの八重ちゃん』『お琴と佐助』、清水宏『大学の若旦那』、五所平之助『マダムと女房』『朧夜の女』、成瀬巳喜男『夜ごとの夢』、小津安二郎『青春の夢いまいづこ』『東京の女』『朗らかに歩め』『和製喧嘩友達』、黒澤明『一番美しく』など。
 2月は、いささか無気力状態だったが、ようやくやる気が湧いてきた。
 錦之助映画関係では、すでに東映営業部と連絡を取り、『剣は知っていた 紅顔無双流』のニュープリント(マスターポジからネガを作り、上映用プリントを焼くので費用が120万円ほどかかる)が出来るかどうか確認してもらっている。ファンの会の寄付金もほぼ予算額まで集ったので、チェックが済めば、発注可能である。が、マスターポジの状態が悪いような話を聞いたので、ちょっと心配である。それと、『関の弥太ッペ』のニュープリントの見積りを依頼してある。こちらはネガがあるので、20数万円で制作できると思う。
 東映ビデオとも連絡をとった。『剣は知っていた 紅顔無双流』のニュープリントをファンの会で制作するので、ついでにDVDを発売してほしいと要請した。それと、『親鸞』『続親鸞』のDVD化。来年2012年は親鸞聖人の750回大遠忌なので、それに合せて、DVDを発売すべきだと勧めておいた。前向きに検討するとのこと。『親鸞』を東映ビデオがDVDにすれば、副産物としてニュープリントも出来るので、これに越したことはない。(つづく)