錦之助ざんまい

時代劇のスーパースター中村錦之助(萬屋錦之介)の出演した映画について、感想や監督・共演者のことなどを書いていきます。

「有馬稲子と十八人の監督たち」

2014-02-27 23:04:20 | 錦之助ファン、雑記


 有馬稲子さんの上映会のチラシは2月18日に完成し、すでに東京各地の名画座などで配布中である。錦之助映画ファンの会のみなさんには先日郵送したので、お手許に届いている頃だと思う。
 トークショーの予定で、変更点があるので、まずそれを記しておく。
 3月10日(月)有馬さんのトーク 13:50~ → 12:00~ に変更。
 3月14日(金)高千穂ひづるさんのトークが追加 13:10~


 さて、今回のチラシは、かなり凝って作ったので大変だったが、我ながら上々での出来ではないかと思っている。
 表紙のデザインは、私の知り合いのデザイナーにお願いした。末吉亮さんといい、四谷に図工ファイブというデザイン事務所を構え、演劇関係のチラシや本の装丁などの仕事をしている。「中村錦之助伝・上巻」の装丁も彼にお願いしたのだが、30歳代の若くて有能なデザイナーである。
 表紙の写真は、上映作品『かあちゃんしぐのいやだ』のスチールで、有馬さんの柔らかくて穏やかな表情が出ていて、私が好きな写真の一枚である。これは私が選んだ。全体のイメージも「白雪姫と七人の子供たち」といった感じで、監督の似顔絵を添え、シンプルでエレガントなデザインにしてほしいと注文を出した。末吉さんも私の意をくんで、素晴らしい表紙をデザインしてくれた。
 ところで、この似顔絵、昔、雑誌「映画ファン」のイラストレーターだった直木久蓉さん(故人)が描いたもので、同誌の編集者だった渡部保子さん(現・映画評論家)が十年ほど前に直木さんの展覧会を催した時に展示した作品である。それをコピーし、渡部さんはあちこちに配ったそうだが、新文芸坐や新橋のTCC試写室にもパネルに入れて飾ってあるので、ご覧になった方もいるかと思う。今回のチラシでは、五人の監督の似顔絵を使わせていただいた。チラシを見て、誰だが分かるだろうか? 小津安二郎、今井正、成瀬巳喜男は、映画ファンならすぐにお分かりになると思うが、あと二人は、五所平之助と木下恵介である。
 今回のチラシでは、見開きに上映作品のポスターを使ったが、これがユニークな点である。有馬さんが親しくしている方や私の知り合いのコレクターが持っているポスターを掲載した。デジカメで撮った写真が多いので、画像が良くないが、その点はお許し願いたい。『川のある下町の話』と『夜の鼓』はポスターがなかった。また、『抱かれた花嫁』はスペースの都合で、プログラムのカバーを使った。もちろん、著作権については、東宝、松竹、東映の許可を得ている。

 先日の「徹子の部屋」は、寝坊して、最初の10分間を見逃してしまった。あとで人から聞くと、最初に今度の上映会についての紹介があったとのこと。途中から最後まで見ていて、上映会のことを話さずに終ってしまったので、がっかりしたが、あとで、なーんだという結果になった。お知らせは、最後にあるとばかり思っていた。まさか、最初にあるとは!

 2月24日には、有馬さんの「源氏物語」の朗読会を津田ホールへ聴きに行ってきた。「徹子の部屋」で宣伝した効果もあって、超満員だった。主催者に上映会のチラシを会のアンケート用紙に差し込んで配ってもらうことになり、開演2時間前に行ったのだが、早起きしたため、朗読を集中して聴くのはちょっと辛かった。その後、有馬さんのお一人のトーク(講演)があって、こちらの方は楽しく拝聴した。ホールはほとんどが70歳以上の女性で、有馬ファンばかりだったので、反応も良く、和気あいあいの雰囲気。有馬さんもみんなに話しかけるような調子で、20分以上延長して、主催者もハラハラする始末。新文芸坐でのトークとはずいぶん違う感じだった。

 

TSUTAYAへ行ったり、ラピュタへ行ったり

2014-02-06 03:53:38 | 錦之助ファン、雑記
 有馬稲子特集のチラシに載せる作品解説を書かなければならない。それぞれ80字程度で短いのだが、それだけに書きにくい。ポイントは、映画を観たくなるように書くことで、受け売りの知識を物知り顔で書けばすぐに書けるのだが、やっぱり自分の見た目で、ひと言でもふた言でも気の利いたことを書きたいと思うと苦労する。ずいぶん前に観て、内容を忘れてしまった映画もあるし、実は観ていない映画もあったする。そこらは誤魔化して適当に書けばいいのだろうが、私は結構真面目な方なので、ビデオやDVDで観られる作品は再見するようにしている。
 おとといは、新宿のツタヤへ行ってきた。田坂具隆監督の『はだかっ子』、澁谷実監督の『もず』は数年前に観たことがあるが、もう一度観たいと思い、ビデオを借りてきた。早速、『はだかっ子』を観た。田坂監督は戦前、『路傍の石』を撮っているが、『はだかっ子』はこの名作に似ているところがあり、ああこれは戦後版『路傍の石』なんだと思う。近藤健という作家の原作を読んでいないので分からないが、山本有三の「路傍の石」を下敷きにして、原作も映画も作られたことは確かなのではなかろうか。母一人、子一人の貧しい暮らしぶり、小学校の担任の先生の励まし、大人の世界の身勝手さやいやらしさが子供の目から描かれているところなど、共通性が多い。『はだかっ子』のシナリオを書いたのは成澤昌茂さんだが、今度成澤さんとお話しする機会があったら訊いてみたい。

 昨日はラピュタ阿佐ヶ谷へ行って、錦之助の『七つの誓い 黒水仙の巻』を観てきた。久しぶりにリラックスして錦之助の映画を観ることができた。午後5時からで、客は10人ほどで寂しかったが、楽しめた。
 錦之助が洋装で出演するのは、『ヒマラヤの魔王』以来だが、あの服装はロビンフッドを真似たのだろうか。それともピーターパンか。茶色の三角帽子がとてもよく似合っていた。あれは当時美術助手の稲野實さんがデザインしたものとご本人からお聞きした。『七つの誓い』は、佐々木康監督の作品で、『曽我兄弟 富士の夜襲』を撮って二、三ヶ月後に作られた映画。錦之助の役名が同じ五郎なのも親しみやすい。この頃になると、錦之助の演技は飛躍的にうまくなっていて、表情も豊かである。
 丘さとみさんは、この映画が錦之助との初共演だが、実に魅力的で、演技もしっかりしていて、あの若さ(21歳)でスター性を備えていた。有名になる女優は、やはり違うなと思う。とくにラストの亡くなるシーンは、表情とセリフが一体になって、申し分ない素晴らしさだった。「黒水仙の歌」も丘さん本人が歌っているが、うまいものだ。
 この映画では、何と言っても吉田義夫のオンゴ将軍が目立つ。ユル・ブリンナーの『王様と私』を意識して、扮装を考えたようだが、あのスキンヘッドはカツラなのだろうか。頭の部分にカツラの線がまったく見えない上に、浮き出た血管の筋がリアルで感心した。吉田義夫は、額が後退していて、髪の毛は薄くなっていたから、もしかすると残りの毛を全部剃って、頭をツルツルに磨いたのだろう。
 東映東京で現代劇専門の波島進が丘さんのサラの兄の役で出演しているが、あのずんぐりした体形は問題あり。背が低い割りに太りすぎだ。毛利菊枝は母親役で、『紅孔雀』の黒刀自のようなインパクトなし。
 第一部は、舞台がヒマラヤ山脈の麓のどこかで、日本は15分くらいしか出てこない。飛騨の山里と画面に出たが、日本にいる登場人物は顔見世程度だった。千原しのぶの桜子はやや老けすぎか。東千代之介の黒覆面は一度も顔を見せず。黒覆面の衣裳、ラメが入っていて豪華。同じ黒覆面でも悪役の徳大寺伸の衣裳は安っぽい。坂東簑助、大川橋蔵、伏見扇太郎、それと三笠博子がワンカットだけ。悪役では山形勲、月形竜之介、それと中村時之介。
 セットは安っぽいが、あれで十分だろう。キャメラは三木滋人で、フィルムはアグファカラー。三木の特撮シーンがところどころにある。遠景に巨像を彫った石山が出てくるシーンがそうで、あれはキャメラの前に背景用の絵を置いて、前景といっしょに同時に撮影するのだそうだ。三木滋人が独自に開発した秘技で、手法の名前は失念した。また、スタンダードサイズの画面が紙芝居のようで、またそれを意識して作っていると感じた。途中、五郎の父親役の加賀邦男が紙芝居をやるシーンもある。あの絵は、稲野さんが描いたのだろうか。絵がなめし皮のような布に縫い付けてあって、凝っていた。
 ほかに、気づいたこと、調べてみようと思うことを書いておきたい。
 奴隷小屋の見張り役が青柳竜太郎だった。間抜けなイイ役。
 三条雅也は、オンゴ将軍の側近役(息子なのか?)だが、『紅孔雀』の信夫一角と比べれば格下げ。片岡栄二郎も悪役で、錦之助を殴り倒した。あとでファンから非難を浴びたであろう。
 オンゴ将軍のそばに女が何人かいたが、今の愛人と前の愛人の女優名がわからず。
 伊東亮英が子供受けするイイ役で、モクスケといい、日本からやって来て、大切な手紙をオンゴ将軍に騙されて見せてしまう。このシーンは、子供たちが、彼のバカ正直さに呆れながら、笑っているうちに次第に腹を立てて観るように作られた部分で、子供向け東映時代劇には欠かせない場面である。
  
 

ようやく……

2014-02-04 20:40:46 | 錦之助ファン、雑記
 会社の決算が終って、きのう申告書を税務署に提出した。すっきりした。
 今日からは早速、有馬稲子さんの上映会のチラシ制作を始めた。すでに池袋の新文芸坐ではビラを作って配っているが、チラシは私が制作することになってしまった。いつもと同じようなチラシでは面白くないので、ちょっと変わったのを作ろうと思っている。2月17日には完成したい。
 上映作品とトークの日程は有馬さんと相談して決めた。なお、あさって(6日の木曜)、「徹子の部屋」(テレビ朝日、午後1時20分~)に有馬さんが出演され、この特集について触れていただくことになっている。すでに収録済で、有馬さんの話では、ちゃんと宣伝しておいたとのことだが、番組の都合でどういう取り上げ方になるかは不明。
 以下、上映会の詳細を書いておく。

 タイトル「有馬稲子と十八人の監督たち」
 期間:2014年3月8日(土)~17日(月)の10日間
 場所:東京池袋・新文芸坐
 上映スケジュール
 3月8日(土)
 『愛人』(53年東宝)監督市川崑
 『晩菊』(54年東宝)監督成瀬巳喜男
 3月9日(日)
 『川のある下町の話』(55年大映)監督衣笠貞之助
 『胸より胸に』(55年にんじんくらぶ/松竹)監督家城巳代治
  *トークショー 有馬稲子さん
 3月10日(月)
 『黒い河』(57年松竹)監督小林正樹
 『空かける花嫁』(59年松竹)監督番匠義彰
  *トークショー 有馬稲子さん
 3月11日(火)
 『白い魔魚』(56年松竹)監督中村登
 『東京暮色』(57年松竹)監督小津安二郎
 3月12日(水)
 『夜の鼓』(58年現代ぷろ/松竹)監督今井正
 『惜春鳥』(59年松竹)監督木下惠介
  *トークショー 石濱朗さん
 3月13日(木)
 『浪花の恋の物語』(59年東映)監督内田吐夢
 『抱かれた花嫁』(57年松竹)監督番匠義彰
 3月14日(金)
 『はだかっ子』(61年東映)監督田坂具隆
 『もず』(61年にんじんくらぶ/松竹)監督澁谷実
 3月15日(土)
 『わが愛』(60年松竹)監督五所平之助
 『かあちゃんしぐのいやだ』(61年松竹)監督川頭義郎
 3月16日(日)
 『鑑賞用男性』(60年松竹)監督野村芳太郎
 『徳川家康』(65年東映)監督伊藤大輔
  *トークショー 有馬稲子さん
 3月17日(月)
 『危険旅行』(59年松竹)監督中村登
 『充たされた生活』(62年にんじんくらぶ/松竹)監督羽仁進