ブログ 「ごまめの歯軋り」

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読書ノート  清川昌一 伊藤孝 池原実 尾上哲司著 「地球全史スーパー年表」 (岩波書店 2014年)

2015年03月29日 | 書評
宇宙の誕生から138億年、地球の誕生から45億年の時空のタイムワープ 第3回

地球史七大事件

① 微惑星の衝突によって地球の基本的構造が出来た(45.5億年前)
原始地球は最初直径10kmくらいの微惑星が衝突合体を繰り返して雪だるま式に大きくなった。約45億年前に今の地球の直径の1/3くらいの大きさの時に、別の惑星が地球に衝突し、地球が分裂して月が出来たとする「ジャイアント・インパクト説」が有力である。その時点では地球と月は中心までマグマの海であった。2/3直径の時、鉄のような重い金属は中心に沈んで核を形成した。こうして核・マントル・マグマオーシャン・原始大気という成層構造が生まれた。しだいに冷えてマグマオーシャンが冷えて地殻が形成されると、大気(炭酸ガス、水蒸気)は地表まで下降して液体つまり「原始海洋」ができた。海洋の形成は40億年前といわれる。マグマオーシャンの完全な固化には43億年までかかった。地球誕生から40億年前までの時代を「冥王代」というが、何も証拠のない分らない時代という意味である。

② プレートテクニクスの開始、生命の誕生(40億年前)
40億年前の地球には、原始海洋が出来て大気の炭酸ガスを吸収したために地球が冷却し、マントルを形成する玄武岩が水を含んで二酸化珪素にとんだ花崗岩が固まった。表層の岩石が剛体化して「プレートテクトニクス」が機能するようになった。地球上の最古の花崗岩の年代は40億年前で、オーストラリアで発見された最古のバクテリアの化石が35億年前である。溶岩に飲み込まれたバクテリアは炭化するが、生物は小さい炭素同位元素を同化するので、化石炭素の同位体組成を分析すれば生物起源かどうかわかる。ただし岩石の変成作用中に同位体組成は変化するので細心の注意が必要であるらしい。40億年前から27-20億年前を「太古代」という。

③ 地球磁場の誕生、酸素発生型光合成生物の誕生と浅瀬への移動(27億年前)
28-27億年前、地球の核内部に大きな対流が起き始め、地球には強い磁場が発生した。原因は地球の冷却によって低温のプレートがまとまって下部マントルまで崩落し、外核表面の異常冷却部が局部的に出来たため液体鉄が対流を起こしたことによる。磁場によって宇宙粒子のバリアーができたので、生物は浅い海まで進出して、酸素発生型光合成が27億年前に始まった。これは「ストロマトライト」化石に観察されるシアノバクター(藍色細菌)であった。又海水中の鉄イオンはバクテリアに利用されて酸化鉄に変化し海中に沈殿した。これが人類が利用する鉄鉱石である。

④ 超大陸の形成(19億年前)
地球の歴史で、27億年前と19億年前が一番激しい火成活動(マグマ)がおきた時代である。地球の冷却によって、低温のプレート集積物が下部マントルに崩落すると、下部マントルから上部マントルに向って対流が発生する。これを「マントルオーバーターン」(マントルの入れ替え現象)とよぶ。一部の熱い下部マントル物質が地表へ吹きだして火山活動となり地球内部の熱を放出する。太古代末までは乱流的な対流だったマントルの流れは、27億年前にプルームの数の減少と大型化がおきついに単一の巨大な下降流「スーパーコールドプルーム」が発生した。「スーパーコールドプルーム」の周辺ではすべてのプルームが集合して一点に飲み込まれるため、大陸は衝突・会合・融合を繰り返して「超大陸」が誕生した。ローレシア大陸、ヌーナ大陸と呼ぶ。この時期以降、大陸は10億年前、5.5億年前、3億年前に「超大陸」を生んだ。この大陸の離合集散のサイクルを「ウイルソンサイクル」という。生物の進化は21億年前に核が膜に包まれて安定した「真核生物」が出現し、10億年前には多細胞生物が生まれた。25億年前から5.5億年前を「原生代」と呼ぶ。

⑤ 海水のマントルへの侵入、スーパープルームの開始、硬骨格生物の誕生(7.5-5.5億年前)
地球が冷却され、7.5億年前海水が海溝から深さ30kmのマントル境界へ注ぎ込んだ。と言っても海水ではなく含水鉱物である。そして少しづづであるが海水が減少して、陸地面積が増えた。7.5億年前の陸地は5%であったが、現在は30%が陸地である。陸地の大量の堆積物が河川によって海に運ばれ、光合成生物を堆積岩に封じ込めた。これによって急速に大気中の酸素量が増え、酸素環境で生物は大型化した。6-5億年前の生物は硬い外骨格生物が出現して浅瀬に進出した。酸素が増えて、4.5億年前にはオゾン層が出来、紫外線が遮られると、水中の動物が陸上に進出した。そして爆発的な生物の多様化が始まった。また陸地の土砂が海に流れ込むと塩化ナトリウム成分が増加して海の塩分が増えた。そのため塩分に耐性を獲得していない生物は陸地へ逃れた。7.5億年から5億年前に地球史上3番目の大規模な火成活動が起きた。スーパープルームの上昇によって大陸が分裂するのである。

⑥ 古生代の終わりでの生物大量絶滅(2.5億年前)
2.5億年前アフリカの下で「スーパーホットプルーム」が誕生して、超大陸パンゲアが分裂し、マグマの大爆発で大気に撒き散らされた塵によって光合成が妨害され生物の96%が絶滅したという。またこの時期海洋では「スーパーアノキシア」と呼ばれる2000万年間に渡る酸素欠乏状態が続いた。一方アジアでは「スーパーコールドプルーム」が誕生した。アジアの「スーパーコールドプルーム」とアフリカ、南太平洋の「スーパーホットプルーム」は現在も続いている。今大陸はアジアに向って動いているのだ。6500万年前恐竜が絶滅し、哺乳類が取って代わった。

⑦ 人類の誕生(500万年前)
約500-400万年前アフリカのリフトバレーで人類が誕生した。長い間人類(猿人類から原人)はアフリカにいたが、人口は15万人ぐらいであった。100万年前人類はアフリカを脱出して世界中へ移動し、北京原人、ジャワ原人と進化したが、アフリカに留まった人類から20万年前に新人(ホモサピエンス)が誕生した。我々の直接の先祖である。世界中へ広がって、ヨーロッパにはクロマニヨン人、アジアにはモンゴロイドらが適応した。モンゴロイドの一部は1万3000年前アメリカ大陸へ移動した。1万2000年前に最期の氷河期が終り、間氷期になる。温暖な気候で人類は農耕を発明し、約5000年前に初めて文明を築く事になった。

(つづく)



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