ブログ 「ごまめの歯軋り」

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読書ノート 橋本治著 「日本の行く道」 集英社新書

2008年09月24日 | 書評
今の日本の社会はどっかおかしい もうひとつの選択肢があったら 第2回


橋本治著  「上司は思いつきでものを言う」 集英社新書(2004年4月) ー日本社会の閉塞観ー
本書はサラリーマン社会の心理や欠点を笑う書かなと思いきや、バブル崩壊以降の会社という組織、日本社会の閉塞観や手詰まり感を解きほぐす書物である。いわば会社社会論から日本経済を論じたものだ。「上司は思いつきでしかものがいえない」組織的な欠陥について考察を回らす。私は会社という組織に38年間もいた。私は高度成長期に入社した。時代を回顧しますと、給料がどんどん上がる高度成長期に石油ショックを二回も経験してそれを乗越え、日本経済は1980年代に「JAPAN AS NO1」と世界第二の経済大国の地位を得た。そしてバブルの狂乱の昭和が終わって平成になるとバブルは崩壊した。それから会社の不良採算部門の切り捨て・賃金低下・就職氷河期の不況期が10年近く続きましたが、軽薄短小の企業体質の改善と何回かのIT景気のおかげで、21世紀には大企業は持ち直し現在の好況に至った。ところが建設業界や金融資本は実に長く不良資産に苦しみ、証券会社・銀行などが倒産した。この激変期での最も大きな変化は企業の再編成とグローバル化(大資本への傾斜)でした。小売商店は殆ど壊滅し、町にはゴーストタウンになったところが多い。東京一極集中で地方は公共工事がなくなって疲弊し、地方自治体の借金倒れが進んだ。格差社会が進んで貧困化層が増大し、日本社会はズタズタに切り裂かれ再構築が叫ばれている。 本書の構成をみると、第一章で日本の会社社会の停滞を「上司は思いつきでものをいう」という文句ではじめる。第二章で会社の中の上司と会社という組織の構造的問題を社会科学論的に述べ、第三章で「下から上へ」がない組織はつぶれるという、市場に立つ企業では当たり前すぎることを得意そうに述べ、第四章では会社組織の序列を儒教からみた日本歴史から解説するいわばおまけの章である。



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