ブログ 「ごまめの歯軋り」

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医療問題 真野俊樹著 「入門 医療経済学」 中公新書

2008年09月05日 | 書評
医療制度を考える上で、医療経済学的視点は欠かせない 第21回
医療の仕組みを経済学で分析する (4)

医療機関への報酬の支払い方式まさに医療経済学の中心課題である。公的経営や介入の多いイギリスやフランス、ドイツでは開業医に対する人口に相当した「人頭払い」や「予算配分方式」(包括払い)がとられている。日本では「出来高払い」である。出来高払いのメリットは医療関係者が費用を気にしないで適切な治療を行える点である。「包括払い」のメリットは国や健康保険組合が医療費を管理することができるのである。日本では2003年に特定機能病院82病院に対してDPC(一日当りの疾患別定額払い)と云う支払い方式が始まった。DPCでは診療報酬算定式は基礎償還点数×診断群分類別係数×医療機関別係数になる。包括払いと質の保証がセットになった点がユニークである。DPCのもとの経営では在院日数の短縮、薬剤の管理といった原価管理が重要になって来る。アメリカではICD(国際疾病分類)に基づいた1万種の病気に対して500程度の病名グループ別に医療費を設定するDRG(診断群別分類)方式である。病気がコストによって分類されたことである。DRG/PPSという疾患別支払額定額制度である。


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