アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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災害と軍隊・米軍「トモダチ作戦」とは何か

2024年01月09日 | 日米安保・軍事同盟と政治・社会
   

 岸田首相は4日の記者会見で、能登半島地震について「米国を含む主要7カ国(G7)や中国、台湾などからお見舞いや支援の申し出があったとした上で、受け入れ態勢構築の必要性や現地の状況に鑑みて、「人的・物的支援については一律に現時点では受け入れていない」と説明」(5日朝日新聞デジタル)しました。

 ところが、エマニュエル駐日米大使(写真中)は同日、共同通信との単独会見で、「米政府が在日米軍などを活用した被災地への支援を日本政府に申し入れ、同日受け入れられたと明らかにし」ました(5日付京都新聞=共同)。

 同大使は5日には、「友人、同盟国である日本の地震対応を支援するため、米国はここにいます」などとするSNSを発信しました(写真右)。

 米軍は2011年の東日本大震災のさい、「トモダチ作戦」と称して約2万人の米軍を展開しました(写真左)。同大使はその経験にも言及しました。

 エマニュエル氏の言明は岸田氏の会見と明らかに食い違っています。どちらかの発言がウソだということになりますが、「一律に受け入れていない」と言いながら、米軍を例外・特別扱いしているのが実態でしょう。

 この点についてエマニュエル氏は「首相発言と矛盾しない。邪魔にならないように、日本が求める場所に物資を輸送する。他国にはできないことだ」(同上共同配信)と述べ、米軍は日本で特別な存在だと強調しています。

 米軍の「トモダチ作戦」は、まさに軍事同盟を結んでいる日本における米軍の特別な活動です。それはどういう意味か。東日本大震災における「トモダチ作戦」がいかなるものであったかを想起する必要があります。

<「トモダチ作戦」は二つに側面を持っている。一つは、災害に対する人道支援。いま一つは、アメリカが地球的規模で「脅威」としているものの一つである核施設・原子力発電所の事故に対する対応だ。…私たち日本人が大地震と巨大津波に釘付けされている間に、陸海空海兵の米四軍の放射線部隊が日本国内に大規模に展開し、各地の放射能や放射線の測定を行っていた事実は、まったく日本人には知らされていない。

 今回の「トモダチ作戦」を通じて米軍は、「日米同盟が深化」したと言っている。…各自治体は進んで自衛隊や米軍のヘリなどの支援をあてこんでいる。…いま軍隊が日常の風景になろうとしている。それはいままでの平和国家から、戦争をする国、戦争を準備する国への舵の切り替えにも見える。>(石井康敬著『フクシマは核戦争の訓練場にされた 東日本大震災「トモダチ作戦」の真実と5年後のいま』旬報社2017年、抜粋)

 石井氏(フリーライター)が7年前に指摘した「戦争をする国への舵の切り替え」は、軍拡(安保)「3文書」(2022年12月16日閣議決定)で現実になっています。

 エマニュエル氏が申し入れ、岸田首相が特別扱いで認めた(とみられる)“第2の「トモダチ作戦」”は、たんなる「人道支援」ではなく、その背景には「有事(戦時)」を念頭に、米軍が日本国内で自由に活動し、米軍に対する日本市民の抵抗感を払拭する狙いがあることを見逃すことはできません。

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