アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

ウクライナ政府が抗議した「通販生活」表紙は間違っていない

2023年11月03日 | 国家と戦争
  雑誌「通販生活」(2023年冬号、マガジンハウス社発行=写真)の表紙の文章に対し、在日ウクライナ大使館が10月27日に抗議。マガジンハウス社は30日、「おわびの文書」を同大使館に渡しました。

 ウクライナ大使館が抗議した「表紙」の文章は、猫が武装した兵士の映像を眺めて語っているもの。全文は以下の通りです(実際は縦書き、改行はそのまま、太字部分は実際は赤字です)

 プーチンの侵略に断じて屈しない
 ウクライナの人々。
 がんばれ、がんばれ、がんばれ。
 守れ、守れ、守れ。
 殺せ、殺せ、殺せ。
 殺されろ、殺されろ、殺されろ。
 人間のケンカは「守れ」が
 「殺し合い」になってしまうのか。
 ボクたちのケンカは
 せいぜい怪我くらいで停戦するけど。
 見習ってください。
 停戦してください。

 これに対しウクライナ大使館がSNS上で抗議。同社は「ロシアのウクライナ侵攻を猫のケンカに例えたことについて、「不適切な言葉で表現した」とするおわびの文書を在日ウクライナ大使館に渡したと発表」(10月31日付朝日新聞デジタル)しました。

「同社によると「通販生活」の表紙では毎号、猫のイメージを使用している。担当者は「これ以上、一人でも亡くなったり傷ついたりしてほしくないという思いで掲載したが、ケンカに例えた表現は軽率だったと反省している」と話した」(同)

 この表紙の文章のどこが「不適切」なのでしょうか。ケンカに例えたことも「軽率」だとは思いません。戦争はまさに「人間のケンカ」であり、「守れ」が「殺し合い」になるという指摘はまったくその通りです。それが戦争・国家の論理です。

 動物に語らせるのは典型的な表現技法の1つであり、同誌は毎号その手法を使っているとのこと。この文章は芸術表現です。ウクライナを批判しているものでもありません。むしろウクライナ市民を応援しているとも読めます。停戦の必要性を印象深く表現した、時宜に適した優れた文章だと思います。

 これに抗議したウクライナ大使館(ウクライナ政府)の方が「不適切」です。それは「表現の自由」に対する圧力と言えるでしょう。ウクライナ政府の「抗議」なら何でも無条件で通用する(批判されない)という風潮はきわめて危険です。

 しかも重大なのは、このウクライナ政府の抗議によって、停戦を訴える声がかき消されたことです。

 不当な圧力に屈することなく、ウクライナ戦争においても、パレスチナにおいても、声を大にして訴えなければなりません。「直ちに停戦せよ、猫に見習って!」
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