アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

日曜日記303・「虎に翼」とウクライナと沖縄

2024年05月26日 | 日記・エッセイ・コラム
  

 先週のNHK朝ドラ「虎に翼」(作・吉田恵里香、主演・伊藤沙莉)は夫・優三(仲野太賀)ら家族の出征場面だった。

 「赤紙」が来て家族が戦地へ行かねばならないシーンは何度もドラマや映画で見てきたが、いつ見ても胸が詰まる。「徴兵」「戦争」の悲しみ、理不尽さが典型的に表れるからだろう。

 いま、そのシーンを見ると、すぐ脳裏に浮かぶのがウクライナだ。

 折しも今月18日、ウクライナは徴兵ルールが変更になった。徴兵年齢が18歳~60歳に拡大した。一方、戦場にいる兵士の家族が切望していた「36カ月で交替させる」という規定は盛り込まれなかった。「兵士が足りない」からだ。

 「虎に翼」が描いている80年前の光景が、現在、リアルタイムでウクライナで進行している。

 「虎に翼」は、見る者に「二度と同じことを繰り返してはいけない」という思いを抱かせるだろう。だが、その思いは「だからウクライナのそんな状況は今すぐなくさないといけない」という思いにつながっているだろうか?

 愛する人(家族)を徴兵されたくないと思うなら、ウクライナで直ちに停戦協議を行うことを支持すべきだ。

 だが、少なくとも(というのは他国の状況をよく知らないから)日本ではその世論は大きくない。「虎に翼」を放送しているNHK自体、相変わらず防衛研究所の幹部(自衛官)に、「ウクライナがどれだけ兵力を確保できるかが焦点」などとコメントさせている(例えば12日夜7時のニュース)。

 ウクライナ戦争の継続を煽る論拠は、「国際法を侵したロシアから国を守る」という「正義の戦争」論だろう。ロシアの軍事侵攻(2022・2・24)以降、この論理を克服できていない。

 そしてこの論理はいま、急速に日本の軍備拡張・米軍と自衛隊の一体化に利用されている。「台湾有事は日本の有事」(安倍晋三、麻生太郎)、「中国の侵攻から国を守らねばならない」

 その最前線に立たされているのが沖縄だ。ここでは「赤紙」という形ではないが、逃げ場のない島が戦場になって住民が犠牲になるという形で80年前の悲劇・国家の過ちが繰り返されようとしている。

 今年も夏になると戦争関係のドラマや映画、企画が多くなるだろう(「8月ジャーナリズム」)。それらを見て、「この悲しみを繰り返してはいけない」と思うなら、その思いを、「ウクライナで直ちに停戦協議を」「沖縄の自衛隊基地増強反対」の世論に繋げなければならない。

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