アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

日曜日記45・共産党と元号、憲法・歴史学者の沈黙、イチローに拍手

2019年04月07日 | 日記・エッセイ・コラム

☆日本共産党と元号

  1日、新元号の発表に際し日本共産党の志位和夫委員長は記者会見で、「元号は、もともと中国に由来するもので、『君主が空間だけでなく時間まで支配する』という思想に基づくものである。それは日本国憲法の国民主権の原則になじまないものだと考えている」(2日付「しんぶん赤旗」)と述べた。正当な見解だ。 

 ところが質疑応答で、「いま元号あるいは元号法を廃止すべきという立場には立っていない」と述べた。さらに、機関紙「赤旗」が再開(2017年4月1日付から)した1面の元号表記について、「慣習的に元号を使用する方に便宜を図る上で、『しんぶん赤旗』で引き続き併記していきたい」(同)と述べた。

 奇妙な”論理“だ。「憲法の国民主権の原則」に反するが、「いま廃止する立場には立たない」し、機関紙で使用し続けるという。いわば、「憲法原則」よりも「元号使用の便宜」を優先するというわけだ。そんな価値観が政党(いやしくも社会変革を標榜する政党)に許されるのか。

 元号に限ったことではない。天皇制、自衛隊、日米安保条約に対しても現在の共産党指導部の共通する立場だ。憲法原則に反するが、多くの「国民」が支持(容認)している以上、いまは廃止を求めない。これでいいのか。これで「前衛党」(共産党がいうところの)の役割が果たせるのか。一人ひとりの共産党員が考えるべき重大問題だ。

 ☆憲法・歴史学者はなぜ沈黙するのか

 それにしても「新元号」「天皇生前退位」という憲法上の重要な局面を迎えているにもかかわらず、憲法学者や歴史学者の多くが沈黙しているのはいったいどうしたことだ。

 新聞に掲載される「識者コメント」は、露骨な元号・天皇賛美か、自称「民主的学者」の天皇・天皇制擁護ばかりだ。まともなコメントを目にすることはほとんどない。

 メディアがコメントを求めないこともあるが、それなら自分で(自分たちで)投稿、あるいは会見して発表すればいい。そうすべきだ。憲法学会、歴史学会は何をしているのか。

 ノーベル賞受賞の学者が「日本における自然科学衰退の危機」を訴えている声はよく聞くが、衰退しているのは自然科学だけではない。人文・社会科学の停滞・衰退、社会的責任の放棄も目を覆うばかりだ。
 メディアの退廃は目につくが、学者・研究者のそれは目立たない。しかし、ある意味ではメディア以上に深刻な問題だ。

 ☆イチローの「国民栄誉賞辞退」に拍手

 5日、菅官房長官が会見で、引退したイチローが安倍政権の国民栄誉賞の申し出を断っていたことを明らかにした。イチローの辞退は3回目だ。
 3月24日の「日曜日記」で、「イチローは国民栄誉賞を拒否すべきだ。拒否したら本当のヒーローになる」と書いたが、それが実行された。彼は本当のヒーローになったと思う。 

 イチローだけの問題ではない。安倍長期政権の下で、メディア、「学者・識者」はじめ、多くの「文化人」「市民」が体制迎合を強めている。スポーツ分野でも顕著だ。そんな中で「国家・政権」の表彰を拒否したイチローの態度は快挙だ。

 大勢に流されず、権力におもねらず、「世論」に迎合せず、自分で考え、道理・信念を貫く。そんな生き方が今ほど求められている時はないだろう。


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 沖縄・玉城県政半年―いま必要... | トップ | 明仁天皇と「琉球併合」 »