アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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「東京五輪」への固執はコロナ対策歪める

2020年09月14日 | コロナ禍と政治・社会

   

 安倍晋三氏が菅義偉氏を後継者にした狙いは、「安倍政治」の継承であり、その大きな柱の1つが「東京五輪・パラリンピック」強行であることは明らかです。
 安倍政権は「東京五輪」強行のために、コロナ対策を検討する調整会議なるものを立ち上げ、年内に「中間報告」を出すとしています。これが「菅政権」の指針になります。

 しかし、「東京五輪」はそもそも安倍氏が「国威発揚」と自らのレガシー(遺産)づくりのために誘致を強行した政治的思惑の産物です(写真左はリオ五輪閉会式でマリオに扮した安倍氏)。

 「1年延期」の決定(3月24日)がJOCの山下泰裕会長さえ排除し、安倍氏と森喜朗、小池百合子氏ら政治家だけで決定された(写真中)ことは、「今回の五輪が政治主導であることを象徴する出来事」(石坂友司奈良女子大准教授、8月31日付中国新聞=共同)であり、「政治利用の典型」(中村祐司宇都宮大教授、同)です。

 加えて今見過ごすことができないのは、「東京五輪」への固執がコロナ感染の科学的対策を歪める恐れが大きいことです。

 第1に、PCR検査体制の手抜きです。

 私たちは政府や自治体が発表しメディアが報じる「新規感染者数」で感染の広がりを知る形になっていますが、この数字はけっして感染の実態を示すものではありません。「感染者数」は「検査数」によって大きく変動するからです。そのPCR検査がどこでどのくらい行われているかは明らかにされていません。「感染者数」は政府によって操作が可能な数字なのです。

 現に、「東京五輪1年延期」を決めた3月24日以後、「感染者数」は急増しました。これは偶然でしょうか。安倍政権は当初からPCR検査を抑えてきました。それが「五輪」強行へ向け「感染者数」を低くみせるためだった疑惑は消えません。

 それと同様のことが、来夏の「五輪」強行へ向けて行われる可能性は否定できません。情報隠ぺい・操作は、安倍・菅体制の常とう手段です。

 第2に、ワクチン拙速使用の恐れです。

 安倍首相は「1年延期」にあたって、開催の可能性は「今後のワクチン開発」が鍵を握ると強調しました。そのため政府は早々に、米ファイザー社、英アストラゼネカ社とそれぞれ1億2000万回分の供給を受ける合意をしました(費用は巨額にのぼりますが、明らかにされていません)。

 そのアストラゼネカ社(写真右)が、臨床実験で深刻な副作用がみられたとして実験を一時中断したように、ワクチン開発の行方は予断を許しません。

 ところが米トランプ大統領は大統領選挙の政治的思惑から臨床実験が完了していないワクチン使用を言明し、医療関係者から不安・批判の声が上がっています。
 今後「菅政権」が、トランプ氏に倣って、「東京五輪」の政治的思惑からワクチン使用を見切り発車する可能性は否定できません。

 ワクチンは重要ですが万能ではありません。しかもそれは安全性の検証が前提であることは言うまでもありません。「東京五輪」のための拙速使用は言語道断です。

 第3に、水際対策=入国・移動規制の形骸化です。

 五輪開催へ向けた政府の調整会議は、第1回会合(4日)で早々に、「入国する選手らの水際対策や日本国内の移動に関する」“新規準”をつくる方向を打ち出しました。入国・移動規制の大幅緩和です。これが実行されれば感染の危険性が格段に拡大するのは明らかです。

 五輪強行の政治的思惑は科学的思考を阻害します。現に、安倍氏や森氏と連携をとっているジョン・コーツIOC調整委員長は、「東京五輪はウイルスが『あろうがなかろうが』開催される」(7日、仏メディアのインタビュー)などと暴論を吐いています。

 開催が可能かどうかという以前に、コロナ対策を歪める「東京五輪」はきっぱり中止すべきです。しかもその決定は直ちに行うべきです。それがアスリートたちのためでもあり、科学的なコロナ対策にとって不可欠だと言わねばなりません。

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