アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

「ジャニー喜多川性暴力事件」と統一教会問題

2023年05月27日 | 人権・民主主義
   

 ジャニー喜多川氏の性暴力事件は、元ジャニーズJr.のカウアン・オカモト氏の記者会見(4月12日)以降、告発が相次ぎ、事実の徹底究明と対策が急務になっています。NHKはじめ、当初オカモト氏の会見を無視・軽視したメディアも(4月15日のブログ参照)、被害者の相次ぐ勇気ある告発に押されて報道を行うようになりました。

 しかし、報道回数は増えても、根本的な問題は完全にスルーされています。それは、問題を知っていながら報道してこなかったメディアの責任、その経過と反省の自己検証が全くなされていないことです。

 NHKクローズアップ現代は5月17日にこの問題を取り上げました(写真左)。
 冒頭、桑子真帆キャスターは「永年問題が指摘されながら日本のメディアが大きく取り上げることはありませんでした。なぜ報道してこなかったいのか、私たちは重く受け止めています」と反省の弁を述べました。しかし、なぜ取り上げてこなかったのかという肝心な問題についての言及はありませんでした

 ゲストのジャーナリスト・松谷創一郎氏は、問題の元凶として、「事務所(ジャニーズ事務所)の体質」とともに、「メディア・社会の状況」を挙げ、次のように指摘しました(写真中)。

「これまで報道してこなかったNHKはじめメディアは今も抑制的だ。これが一番大きな問題。メディアはある種の共犯関係にあるといえる。各社は過去を振り返って検証すべきだ。逃げないで向き合わねばならない。この問題は社会として議論する必要がある」

 この問題を当初から追及してきた元文春記者の中村竜太郎氏(写真右=朝日新聞デジタルより)は、新聞やテレビが報じてこなかった「理由」について、こう指摘しています。

 「テレビ局とスポーツ紙について言えば、ジャニーズ事務所との商売上の利害関係が構造的に強かったためだと思います。NHKは公共放送ですが、やはりジャニーズにべったりでした」

「大手新聞が書けなかった理由は、深刻な人権問題だという認識が薄かったためでしょう。この問題は芸能ゴシップではないのだと私は訴えてきましたが、理解されませんでした。加えて、週刊誌が報道したことを新聞が取り上げるなんて恥ずかしいという意識もあったかもしれません。背景には『週刊誌の書いていることなんてウソだ』という偏見がありそうです」(5月22日付朝日新聞デジタルのインタビュー)

 松谷氏や中村氏の指摘ですぐに想起されるのは、統一教会問題です。

 事実を把握し、被害者らが苦しんでいることを知っていながら報道してこなかった(自己規制・責務放棄)。被害者の告発が相次ぎ(あるいは事件が起こり)、問題が大きくなって無視できなくなるといっせいに報道を始める。その根底には、権力をもつ加害者(側)(政界・芸能界の絶対権力者)への忖度があった―2つの問題と日本のメディアの関係はまったくの相似形なのです。

 松谷氏や中村氏が指摘する通り、今こそメディアの責任・体質に徹底的にメスを入れない限り、メディアの腐敗を食い止めることはできず、同様の問題は繰り返されるでしょう。
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