アリの一言 

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日曜日記216・報道特集・金平氏は山口敬之性暴力事件の自己検証を

2022年09月25日 | 日記・エッセイ・コラム
 
 24日のTBS報道特集で、永年キャスターを務めてきた金平茂紀氏がレギュラーから降りる挨拶をおこなった。

 報道特集は日本の報道番組としては傑出している。金平氏も並みのジャーナリストではないと思う。だからこそ、言わねばならない。かつて番組で公言した重要な約束がまだ果たされていない、このままうやむやにすることは許されない、と。

 フリージャーナリストの伊藤詩織さんが2015年4月、性暴力に遭った。伊藤さんは実名で告発し、法廷闘争をたたかった。結果、東京地裁は2019年12月18日、伊藤さんの訴えを認めて加害者に損害賠償を命じる判決を下した(今年1月に東京高裁でも同様の判決があり、7月7日上告棄却で判決は確定)。

 加害者は元TBS記者の山口敬之氏(事件当時ワシントン支局長)。金平氏は事件当時TBSの執行役員で、山口氏の上司だった。事件はTBSにとっても金平氏にとっても文字通り他人事ではない。

 東京地裁判決から3日後、2019年12月21日の報道特集の冒頭、金平キャスターは、判決を「画期的な出来事」としたうえでこう述べた。
「今日は残念ながらできないが、いつの日か(この問題を)取り上げたい」

 報道特集・金平氏がこの事件をどういう視点で「取り上げ」るのか注視してきた。しかし、今日に至るも取り上げられていない。

 山口氏による性暴力事件は、大手メディアの記者がその立場を利用してフリージャーナリストに被害を及ぼしたという点でも、メディアとして絶対にあいまいにしてはならない事件だ。メディア全体の中に巣くうジェンダー・性差別の氷山の一角でもある。

 さらに山口氏は、自身が公言しているように、安倍晋三元首相ときわめて親密な関係にあった。刑事事件としての起訴を免れたのも政権との関係が取り沙汰された。事件を検証することは、安倍元首相と記者(メディア)の癒着を明らかにするうえでも重要だ。

 あらゆる点から、報道特集にはこの事件を自己検証する責任がある。番組で公約したことを実行しなければならない。

 金平氏はレギュラーキャスターは降りたが、特任キャスターとして番組には関わり続けるという。今からでも遅くない(実際は遅いが)、公約通り、山口敬之性暴力事件を自己検証し、報道特集で放送すべきだ。

 一部に、金平氏は社内で検証を主張したが上層部が退けたとも言われている。もしそれが事実なら、そのことも含めて、金平氏は真相・経緯を明らかにすべきだ。
 仮にそれでTBSを去らねばならなくなるとしても、自身の言明に反してこのまま事件にフタをしてTBSに留まることと、どちらがジャーナリストとしてとるべき道であるかは、自明ではないだろうか。

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