アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

東京五輪と「旭日旗・日の丸」と歴史認識

2021年06月05日 | 五輪と国家・政治・社会

    
 東京五輪が問題なのはコロナ感染だけではありません。
 5月31日、日本ゴルフ協会(竹田恒正会長)は「東京オリンピック2020ゴルフ競技日本代表ユニフォーム」を記者会見で発表しました。写真左(同協会ホームページ)がそうです。どう思いますか?

 協会のHPには、「デザインコンセプトは「Rising to the Challenge」。右斜め45度にあがるラインを象徴的に使い、常に高みを目指して挑戦する姿勢を表現しています。カラーは、赤、ピンク、ブルーをキーに、日の丸や日本の自然をイメージしています」とあります(太字は私)。

 記者会見で服部道子女子コーチ(写真左の左)は、「日本代表ということで、国を背負うユニフォームです。デザイン的には、斜めのストライプを基本にすることで、日本の太陽が昇るイメージ担っています。製作いただいたデサント社がこだわり抜いた最高級のユニフォームになったと思います」(同HP)と述べました。

 記者会見に出席した日本人記者、あるいはこの協会のHPを見た日本人は、おそらくほとんど、なにげなく受け流したでしょう。現に、これを問題にした日本メディアの記事はなかったと思います。

 しかし、韓国の新聞は違いました。6月2日付のハンギョレ新聞日本語電子版は、「東京五輪のゴルフ日本代表チーム、「旭日旗」を連想させるユニフォームで波紋」の見出しで、こう報じました。

「デザインと服部コーチの説明を総合すると、ユニフォームが旭日旗を連想させる側面がある。旭日旗は第2次世界大戦敗戦まで旧日本軍が軍旗として使用していた。現在は自衛隊が自衛隊旗として使用し、民間でもデザインをとって使用しているところがある」

 赤と白を基調とした五輪の「日本代表」ユニフォームは「日の丸」をモチーフにしたものであることが、ゴルフ協会の説明でも証明されています。加えて、「右斜め45度にあがるライン」「日本の太陽が昇るイメージ」で、ハンギョレ新聞は「旭日旗」を連想させると指摘したのです。

 同紙によれば、これに先立つ5月18日、加藤勝信官房長官の定例会見で、「韓国で旭日旗を使用した場合処罰できる法の制定の動きがある」という趣旨の質問が行われ、加藤氏は「(旭日旗のデザインは)その意匠が日の丸と同様に太陽を模しており、出産や祝日のお祝いの旗である。日本国内で現在も広く使われており、特定の政治的、差別的な主張という指摘は適切ではない」と述べました(2日付ハンギョレ新聞)。

 この加藤氏の発言について、韓国外交部の報道官は、「旭日旗が周辺諸国に過去の軍国主義と帝国主義の象徴と認識されているという点は誰よりも日本がよくわかっていると思う」と批判しました(同紙)。

 韓国が「旭日旗」の使用を厳しく批判していることを日本政府はもちろん先刻承知しています。加藤氏はそれを知った上で、あえて「旭日旗」は問題ないと開き直ったのです。

 東京五輪と「旭日旗」の関係、日本政府の開き直りは今回だけではありません。

 韓国国会の文化観光委員会は2019年8月29日、東京五輪の競技会場に「旭日旗」が持ち込まれることを禁止する措置を五輪組織委に申し入れました。しかし組織委(当時森喜朗会長)はこれを一蹴し、「旭日旗」の持ち込み許可を正式に決め、菅義偉官房長官(当時)もこれを追認しました。(2019年9月14日のブログ参照)

 ゴルフ選手のユニフォームが「旭日旗」を連想させるデザインになっているのは決して偶然ではありません。また、「旭日旗」だけが問題なのでもありません。侵略戦争・植民地支配・皇民化政策の歴史的象徴だったという点では「日の丸」も同罪です。

 多くの日本人はその「旭日旗・日の丸」の歴史的意味を知らず、知ろうともせず、「日の丸」をモチーフにしたウエアに身を包んだランナーが全国を駆け巡る「聖火リレー」に興じ、もし五輪が強行されるなら、表彰台の「日の丸」を見て感動するのです。競技場では「旭日旗」が打ち振られるかもしれません。

 しかし、日本政府(とりわけ安倍晋三、菅義偉ら歴史修正主義者)は、「君が代」とともに「日の丸」が果たす役割を十分知っています。知った上で強行しようとしているのです。東京五輪はそうした歴史修正主義らの格好の舞台であることを銘記する必要があります。


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