アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

「翁長氏が後継指名」という異常

2018年08月20日 | 沖縄・翁長知事

     

「翁長知事、後継2氏指名 知事選 音声で呉屋、玉城氏」(琉球新報)
「呉屋・玉城氏を後継指名 知事選 翁長知事が生前録音」(沖縄タイムス)

 19日の沖縄県紙はいずれも、亡くなった翁長雄志氏が「後継指名」をおこなっていたとする記事を1面トップで大きく報じました。記事の内容はほぼ同じ。情報源も同じと推察されます。呉屋氏とは呉屋守将金秀グループ会長、玉城氏は玉城デニー自由党幹事長。 

 さらに両紙とも、県政与党側(「オール沖縄」陣営)の知事選候補は「呉屋・玉城氏から選出か」(沖縄タイムス)と、翁長氏の「後継指名」通りに候補者が決まる可能性が大きいとしています。

 開いた口がふさがりません。沖縄県知事選は自民党の派閥ボス選びではありません。しかも翁長氏は言うまでもなく、「オール沖縄」陣営の「政策・組織協定」によって当選した知事です。それを派閥のボスのように亡くなる直前に「後継指名」するとは、知事のポストを私物化するものにほかなりません。

 しかも、人選をすすめていた「調整会議」(写真右)が、これまでの選考を白紙にしてそれを受け入れ、また「オール沖縄会議」などからもなんの異論も出ず、翁長氏の「指名」で候補者が決まろうとしている。選挙共闘の民主的原則・手続きのあからさまな蹂躙と言わねばなりません。

 「後継指名の録音」が表面化した経緯も極めて不明瞭です。 

 「音声は膵臓がんで死去する数日前に病院で録音されたもの」(19日付沖縄タイムス)といいます。しかし「関係者」がそれを県紙にリークしたのが死去から10日たった18日。なぜ10日間も秘匿していたのでしょうか。陣営が候補者選びを急ピッチで進めていたのは周知の事実。にもかかわらず「遺言」を10日間も隠していた理由は何でしょうか。

 しかもこれは公式の発表ではありません。琉球新報、沖縄タイムスとも情報源は「関係者」「複数の関係者」というきわめてあいまいなものです。なぜ匿名にする必要があるのでしょうか。
 「音声は17日に新里米吉県議会議長が遺族から受け取った」(19日付沖縄タイムス)といいます。新里氏は受け取った時になぜみずから記者会見して公表しなかったのでしょうか。

  17日は県政与党が候補者選考を行っている「調整会議」が、「選考委員会を開き、各団体から推薦する候補者を募ったばかりだった。(新里米吉氏らが)推薦された候補者への意向確認を進めていた。そのさなか、音源の存在が明らかになった」(19日付琉球新報)。このタイミングはどういう意味を持つのでしょうか。

 17日の「調整会議」では、呉屋氏、謝花喜一郎副知事、赤嶺昇県議が推薦されましたが、「呉屋氏、謝花氏には意志確認があった一方、赤嶺氏には打診がないという。赤嶺氏を推した会派おきなわなどからは選考の在り方に不満が漏れて」(19日付沖縄タイムス)いたと、「調整会議」の民主性に疑問が出ていた矢先でした。

 もともと共闘で当選した知事に「後継指名」などありえません。その上に、こうした不明瞭さ。にもかかわらずその「指名」に沿って候補者が決まろうとしている。それに対して「オール沖縄」陣営から何の疑問・批判も出ていない。何重にも問題が重なっています。

  知事選候補者は翁長氏の「後継指名」を度外視して選考されるべきです。そして、選挙共闘で肝心なのはなによりも「共通の政策」(政策協定)です。「オール沖縄」陣営は「共通政策」づくりを急ぎ、その実行にふさわしい人物を候補者に擁立するという共闘の原則に立ち返るべきです。

 


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