アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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これは「共闘」ではなく、共産党の民進党へのすり寄り

2016年10月06日 | 野党共闘

    

 「民進、共産、生活、社民の野党4党は5日…衆院東京10区、福岡6区両補欠選挙(11日告示、23日投開票)での共闘で合意民進党候補者への一本化を正式決定した」(6日付琉球新報=共同)

 これがどうして「共闘」と言えるのでしょうか。
 「4党合意」の実態は、日本共産党が民進党の言いなりになって、すでに決定・公表している候補者を一方的に降ろすことにほかなりません。「共闘」ではなく共産党の民進党への「すり寄り」です。真の「野党共闘」に逆行するばかりか、共産党の従来の主張・政策にも反する重大な汚点と言わねばなりません。

 4野党は「政策協定は結ばず、民進党候補へ推薦を出さない」(同)ことで合意しました。「政策協定」のない「共闘」などありえません。
 民進党と共産党は、先の東京都知事選で、いちはやく立候補を表明し政策を明らかにしていた宇都宮健児氏を強引に降ろし、民進党が擁立を進めていた鳥越俊太郎氏に一本化し、政策協定なき「共闘」を行った結果、惨敗しました。その教訓をもう忘れてしまったのでしょうか。

 5日の「合意」に至る経過をみると、「民進党は自主的な候補者取り下げを共産党に要請。これに対し、共産党は…共通政策の協定を改めて主張した。だが締結せずに民進党の候補者の政策に共産党が同意する方向で調整している」(5日付中国新聞=共同)といわれていました。
 そして5日の4野党会談で民進党の野田幹事長は、「野党候補が複数出馬すると厳しい。民進党の公認候補一本に絞って戦わせていただきたい」(6日付中国新聞=共同)と改めて要求し、共産党はこれに同意しました。「野田氏は会談後、記者団に両補選について『民進党の理念や政策を打ち出していく』と表明」(同)しました。

 民進党があくまでも「政策協定」の締結を拒んだのは、「民進党の理念や政策」で選挙をたたかうためです。これが「共闘」と言えないことは明白でしょう。

 しかも、共産党は民進党候補への「推薦」も出さないことになりましたが、この背景には、民進党の支援団体である「労働組合」(カッコつき)の「連合」の強い反共主義があることを見逃すことはできません。

 「連合」は、「共産党系の全労連と対立してきた歴史的経緯から『民共連携』に警戒感が根強い」(2日付中国新聞=共同)。「連合は、ダブル補選で民進党候補者の推薦を決めているが、関係者は『候補者を一本化すれば、推薦を取り消すこともあるかもしれない』とけん制」(同)していたのです。
 共産党が一方的に候補者を降ろし、「推薦」もしないことになったのは、「連合」のこうした反共主義に迎合したものです。
 あらゆる面で共産党が民進党のいいなりになったことは明らかではないでしょうか。

 5日の4野党会談後、共産党の小池晃書記局長は、「補選に限った特別の対応」(同、共同)だとし、「『次期衆院選は相互協力だ。一方的にわが党が候補者を降ろすことにはならない。互いに推薦を出して戦うことが必要だ』とけん制し、補選対応は例外との認識を強調」(同)して釈明しました。

 これはきわめて奇異なことです。第1に、小池氏の発言は、今回の同党の対応がおよそ「共闘」とはいえない「特別」なものであることを認めたことにほかなりません。第2に、それならなぜ補選を「特別」扱いしたのか、その理由を説明しなければないませんが、それは行われていません(報道の限りで)。第3に、今回が「特別」「例外」だとして、「次期衆院選」は今回とは違う「相互協力」になるという保証はどこにあるのでしょうか。第4に、そもそも今回のダブル補選を「特別」「例外」扱いして良いのでしょうか。それは同党の方針に反するのではないでしょうか。

 2週間前の日本共産党第6回中央委員会総会(6中総)の幹部会報告で、志位和夫委員長はこう述べました。
 「総選挙での野党共闘を展望しても、安倍政権の暴走政治への審判という点でも、10月23日投票の東京10区、福岡6区の衆議院補欠選挙は重要であります。日本共産党は、野党共闘を実現し、勝利をかちとるために力をつくします」(9月22日付「しんぶん赤旗」)

 この方針に照らして、ダブル補選を「特別」「例外」とすることが許されるでしょうか。「民進党の理念・政策」による選挙が「安倍政権の暴走政治への審判」になるでしょうか。「政策協定」なき一方的候補者取り下げは、「野党共闘を実現」するという6中総決定に反しないのでしょうか。

 民進党の真意は、「まず民進党が旗を立てる。私たちが中心となって候補者を公認していく」(蓮舫代表、9月29日の記者会見)こと、すなわちあくまでも民進党の「理念と政策」で選挙を行うことです。それはもちろん総選挙でも変わりません。
 民進党(そのバックの「連合」)に、政策協定に基づく対等平等な野党共闘など望むべくもありません。
 
 そんな民進党にすり寄って、日本共産党は何処へ行こうとしているのでしょうか。


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