昨日発注したキーボードが、今、もう私の手元にあるという。。
ありがたいことですが、便利さに慣れすぎて、物を大切にすることをつい忘れそうです。
翌日届くと「早い!」と喜び、1日遅いと「遅い!」と怒る😤 お恥ずかしいほどに勝手なものです。
さて、銅版画の技法のいくつかをご紹介致します。
エッチング
腐食により代表的な銅版画技法。
よく磨いた平らな銅版にグランドと呼ばれる腐食剤を引き、その上から先の尖った
鋼鉄の針(ニードル)で引っ掻くように線を描く。すると引っ掻いた部分のグランドが剥がれ
銅が露出する。描画した版を腐食液に入れると、グランドが剥がれた部分が腐食され、線状の窪みとなる。
腐食が終わると、グランドを取り除き、凹部にインクを詰め、余分なインクを拭き取った後でプレス機にかけて
刷る方法。
アクアチント
エッチングと同じく、銅版を腐食させる銅版技法。
銅版の上に細かい松ヤニの粉を振り掛け、版を温めて松ヤニの粉を溶かして付着させる。
これを腐食液につけると、粉がついていない部分が腐食されて、無数の点状の凹部ができる。
諧調(色の濃淡の変化)や面を表現するときによく用いられる。
メゾチント
版を腐食させず、直接版に刻んだ凹部にインクをつめる銅版画の技術の一つ。
ベルソーと呼ばれる先端に櫛状の無数の刃のついた道具を左右斜めに揺らして
版面全体に縦、横、斜めの細かい点の溝を作る。この作業を目立てという。
目立てた状態で刷ればビロードのような質感の黒の画面を得られる。
その後、スクレイパーやバニッシャーという道具で版を削ったり
磨いたりして諧調の調子で図像を描いていく。
ビュラン
ビュランと言われる先端を菱形に鋭く研いだ刃物で、よく磨いた
銅版を直接彫り、その凹部にインクを詰めて刷る技法。エッチングやドライポンイトより
強い線を表現することができる。
ドライポイント
先端が鋭く尖った鋼鉄の針ニードルで銅版を直接彫り、その溝にインクを詰めてする技法。
尚、リトグラフは銅版画と違い
石灰石、またはアルミニウムなどを版材に、水と油の反発作用を利用して
平坦な面をプレス機で刷る技法。石版とも呼ばれています。
リトグラフ
版に直接脂肪性やクレヨンやインクで描画し、その上に弱酸性溶液を塗布
すると、化学反応により描画部分は油性物質をひきつけ、何も描かれていない部分は
水分を保持するようになる。そして、版面を水で濡らしたのちに印刷用のインクをのせると
描いた部分のみにインクがのり、その他の部分はインクをはじく。
加山は最初に銅版画を試み、次にリトグラフの技法を試みたとされています。
特にリトグラフは、刷り師女屋左衛門に指導をされ、また木版画においては江戸時代の浮世絵版画を参考に
絵師、彫師、摺師、版元の共同作業により制作を進めました。
当店で今扱わせていただいております
「蝶」は1986年制作でアクアチント、メゾチント、ビュラン技法が採用され
ています。
いずれも加山が銅版画、リトグラフ、木版画制作に一通り触れた後の作品で、それぞれの技法の特色を十分に心得、活かしたものであるといえるかと思います。
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