つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

エープリルフールに。。  中野弘彦の言葉

2015年03月31日 | 日記・エッセイ・コラム

昨日、今日と一人のお店番が続きましたので、楽しみにしていた中野弘彦の作品集を

パラパラと眺めています。

今年の桜のころに、いくつか中野弘彦の言葉を書き留めておこうと思います。

 

 

存在の根源

この世に存在している我々の足元は実に不安定。そのようものの上に生活している。

いつ砕けるか分からない。

にもかかわらず、一ときの禁断の甘い蜜に誘われ、一喜一憂する。

まさに浅き夢見しである。

この世は無常であることを十二分に心得て生きてゆかねばならぬ。

 

精神性について

浄化されたもの、崇高なるものだけが精神性ではない。

人間の心のさまざま欲望や本能や感情まで真の人間の心をつかまえるのが

精神性の問題、いいかえるならば、芸術性の問題といってもよい。

精神性と芸術性は内容としては結ばれることが多い。

絵画における精神性、即ち何らかの心が作品のなかにあるかないかは比べれがすぐに

わかる。心の「ない」作品は長時間の鑑賞に耐えられない。「ある」作品は

もう一度でも二度でも見たくなる。鐘の音のように余韻さえついてくる。

それは何故か。底の深い心の世界の作品だから、何回観ても飽きない。

むしろ観るたびに観る人の心も深まってくる。逆に心のない作品は目先だけの

ことで終わる。丁度口あたりのよいガムと同じで味がぬければ捨てられて終わるのと

よく似ている。

 

 

本質と現象

人間を例をとれば仕事をしたり、遊んだり、病気をしたり、人それぞれ自由に振る舞っている。これらは人間の現象である。仕事、病気など現象即ち表皮を取り払えば人間そのものだけが残る。残されたものは、身体と心で、この二つは人間の本質である。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

デミタス コスモス 宝石のきらめき★カップ&ソーサー展

2015年03月30日 | おススメの展覧会、美術館訪問

土曜日に臨時のお休みを頂き、東京のオークションに出て参りました。

そしてその帰りには、先日ご紹介した出光美術館の小杉放菴展と

まだ二人とも伺ったことのなかった三井記念美術館へ寄らせて頂きました。

 

同じ展覧会を2回鑑賞するのは久しぶりのことですが、放菴展では、いよいよ気分が清々しくなり

佐橋の影響を受けてか?私も本当に小杉放菴が好きになったのだなぁと実感いたしました。

勿論、佐橋は今までになくゆっくりと館内を歩き、

じっくり作品を見て、「あぁ、やっぱり来てよかったぁ」としきりに感動していました。

 

三井記念美術館では今回 岐阜→京都→広島→の巡回展の最後となる

「デミタス コスモス 宝石のきらめき★カップ&ソーサー」展が開催されています。

時間がなく閉館間際の入場でしたので残念ながらゆっくり拝見できませんでしたが、

こちらの美しさにも圧倒されました。

東京の鈴木ご夫妻がご夫婦で相談のうえ、40年にわたり一つづつお集めになられた

世界のデミタスカップ、マイセン、セーヴル、ロイヤルウースター、ロイヤルクラウンダービー、ミントン、コールポート、KPMベルリン~ ガレ、ドームのガラス製、勿論日本の窯元の作品まで

およそ500点の展示は本当に華やかで見応えがありました。

 

私達には今回の展覧会の解説文のなかの「夫婦で集められた」という一節が

とても興味深く大変よい刺激を頂けたのだと思います。

三井記念美術館は日本橋三越さんのすぐお隣りです。4月5日までの開催。

お花見気分でご覧いただけるお勧めの展覧会です。

 

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お便り

2015年03月26日 | 絵葉書

先週、とても懐かしいお客様から、思いがけずこんなに綺麗な絵葉書を頂戴いたしました。

(サンドロ・ボッティチェッリ 「 若い女性の肖像画 (シモネッタ・ヴェスプッチ) 」 

ドイツ シュテーデル美術館)

展覧会の度にご案内を差し上げるだけの失礼を重ねておりましたので、

私共にお便りをお送りいただけるとは思っていませんでした。

あまりの嬉しさに佐橋は涙があふれそうになっていました

世界各国の美術館をお巡りになられていらっしゃるご様子。

展覧会についても参考になるご意見を頂きました。

またアメリカにご旅行中のお客様からご覧になった展覧会作品の画像を

メールで送信していただきました。

一緒にご旅行に連れていって頂いているようで、とても楽しい気分でした。

私達は外国に出かけませんので教えて頂くばかりですが、

皆さまのお土産話やお便りで「旅行気分」を満喫させて頂いています。

お聞きするばかりでなく。。

いつか必ず佐橋と伺いたいと思います

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

没後50年 小杉放菴<東洋>への愛  東京出光美術館

2015年03月25日 | おススメの展覧会、美術館訪問

どんな内容でお伝えしようかとグズグズ考えているうちに・・今週いっぱいで

会期が終わってしまうことに気づきました。

先週実家に戻りましたので帰りに出光美術館さんに伺いました。

佐橋の大好きな小杉放菴展を見るためです。素晴らしい展覧会でした。

私が一番素晴らしいと思えたのは、この展覧会に大変大勢の方がいらしていることでした。

日曜日ということもあったでしょうけれど、これほどの方達が小杉放菴の作品を今、

ご覧になっているという事実に大変感動いたしました。

ついでとはいえ、名古屋からわざわざ伺った甲斐が勿論展覧会内容も含め、大いにありました。

29日までの展覧会となります。チャンスがあればもう一度佐橋と伺いたいと思います。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

松岡映丘 軸 春宵

2015年03月24日 | 松岡映丘

昨春のブログ記事に作品画像を復活させていただきました。

 

松岡映丘(えいきゅう) 軸  「春宵」です。

弟子にあたる杉山寧の旧蔵、箱書。

昭和12年3月 松岡映丘が神戸新聞社に委託された作品の原画となります。

ほのかな灯りのもとに桜の花びらが舞い込み、そのなかを美しい白拍子が謡い、

舞う姿が描かれています。

映丘独特の絵具の美しさが幻想的な世界観を見事に支え

春の空気が濃密に描きだされています。

初めはおどろおどろしいと感じますが、この画面の密度の高さの虜となり

3月のこの桜の咲く前の季節になるとこの作品を見ずにはいられなくなります。

映丘がどんなに真摯に絵に向かおうとしたか・・

私も背筋を伸ばして桜の季節を迎えようと思います。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする